実践的な環境学プログラムの運営と社会開発について


2001年 4月 13日
親泊 素子 先生
(江戸川大学社会学部環境情報学科 教授)

I. 実践的な環境学プログラムの運営

1. アメリカの環境学の定義
1) 人間環境を扱う
2) 全体環境を扱う
3) 学際的なものを扱う
4) 「象牙の塔」的な学問ではなく、実社会の問題解決に則した学問であり、自由な選択が許される学問
5) 伝統的な枠にとらわれず、人類と全体環境との関係について考える

2. アメリカ、カナダの環境系の学部を持つ大学 (Peterson's 4 Year Colleges 2001)

Environmental Biology (100 校)
Environmental Education (22 校)
Environmental Engineering (86 校)
Environmental Health (42 校)
Environmental Technology (15 校)
Natural Resources Technology
Natural Resources Management
Natural Resources Protective Management
Landscape Architect
Landscape Management
Land Use Management
Water Resources
Wildlife Biology
Wildlife Management

3. ウイスコンシン大学の場合

The Institute for Environmental Studies
  • Environmental Monitoring
  • Land Resource Program
  • Water Resource Program

4. 江戸川大学の場合

5. 現在の状況

1) 既存の学科を環境関連の名称に変更した学科
2) 新設の環境情報学科 (初期の頃)
  • 江戸川大学を除いて情報に重点
  • 慶応湘南、武蔵工大、家政大学、三重大学、立正大学、等
3) 最近の変わった名称の大学

6. 現在の環境教育の課題

1) 環境学は何学か --- 人間学、経済学、文化、哲学?
2) T 字型学問のすすめ --- ジェネラリストとスペシャリストのはざま
3) 環境学専攻の学生の特徴
  • すでに何らかの価値観を持っている
  • 従来の受験競争には弱いが、感性は豊か
4) 学問と社会の需要 --- 日本における環境を職業とする認識の弱さ

II. 持続可能な社会の発展について

   新環境基本計画 「環境の世紀への道しるべ」 (平成 12年 12月 閣議決定)

1. 環境基本法 (平成 5 年)
持続可能な社会を目指し、「循環」「共生」「参加」「国際的取り組み」の長期目標を掲げ、その実現のための施策を示す。

2. 環境基本計画

3. 「21世紀における環境政策の展開の方向」

上記 4つの目標達成のための政策の基本的な考え方
  1. 経済、社会、環境の諸側面を統合的にとらえて環境政策を進めていく「統合的アプローチ」の採用
  2. 「すべての社会経済活動は、生態系を健全に維持できる範囲で行われる必要がある」という考え方の採用
  3. 「汚染者負担の原則」「環境効率性」「予防的な方策」を環境政策の基本的な指針として採用
  4. 「環境上の負の遺産」を将来世代に可能な限り残さないようにする

4. 取り組み方

1) 社会経済システム、国土利用、社会基盤整備などのあらゆる場面で、環境配慮を織り込んでいく
2) 規制や経済的手法、環境投資などあらゆる政策手段の活用と適切な組合せを行っていく
3) 国民、事業者、民間団体、国などのあらゆる主体が取り組みに参加していく
4) 地域段階から国際段階までのあらゆる段階で取り組みを進める

5. 具体的展開

特に重点的に取り組むべきと考えられる分野の「戦略的プログラム」
1) 環境問題の各分野に関するもの
  • 地球温暖化対策の推進
  • 物質循環の確保と循環型社会の形成に向けた取り組み
  • 環境への負荷の少ない交通に向けた取り組み
  • 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取り組み
  • 化学物質対策の推進
  • 生物多様性の保全のための取り組み
2) 政策手段に係わるもの
  • 環境教育・環境学習の推進
  • 社会経済の環境配慮のための仕組みの構築に向けた取り組み
  • 環境投資の推進
3) あらゆる段階における取り組みに係わるもの
  • 地域づくりにおける取り組みの推進
  • 国際的寄与、参加の推進

6. 計画の効果的実施

1) 各省庁の環境配慮方針の策定
2) 環境管理システムの政府への導入の検討
3) 計画の進み具合の点検の強化と点検後の対応の強化

III. 日本の環境問題立ち遅れに関するまとめ

1. Ethical elite の層の薄さ
2. 環境専門家の political skill の欠如
3. 環境学の遅れ、中立的なシンクタンクがない
4. 日本の文化的要因
5. 国民の政治への関心の薄さ

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