後期研修医の日常(2009年2月)

病棟担当医の場合‥‥

昨年の9月より,業務の効率化を目指して,病棟担当医と外来担当医の業務を分担しています。

 病棟は基本的にはチーム医療です。上級医を交えて,外来診療の始まる前の朝8時半からと,1日の外来業務が終わる夕方6時ごろ(目標は5時なのですが)の1日2回,その時点で集合できる医師が集まって情報を交換した後に,病棟を一回りして患者さんの表情と,そして皮疹とを診ています。


月曜日

月曜日は忙しい日です。

 朝の採血から始まり,担当の患者に挨拶をしながら,今日までの治療経過や今週の予定を確認します。

8時半になると,病棟を担当している医師は上級医を含め全員9階のナースステーションに集合し,コンピュータ画面の温度板を確認しながら,週末の出来事や今週の予定をお互い確認し,また今週の新入院の患者について打ち合わせをした後に病棟を一回りします。

 その後,病棟で創の確認や消毒が必要な患者さんの包交が一斉に始まります。最近は水曜日の手術日に加えて月曜日にも手術室での手術が予定されることが多くなり,午前10時からの手術までの時間を利用して,オペレーターの先生方とともに先週の手術患者さんの術創を見て確認しています。

 充実した手術の時間が終わると,夕方6時から夕カンファが始まります。電子カルテに入力された温度板や採血結果,皮膚科で管理しているパソコンからは臨床写真を,顕微鏡からは病理組織の映像をスクリーンに映しながら,担当患者の経過と今後の方針をプレゼンし,上級医の先生を交えて治療方針について検討します。その後,夕回診で病棟を回り,カンファで決まった指示やその他細かな指示を確認すれば病棟の仕事は一段落です。

 その後,外来に貼り出されている今週の病理の割り当て表を確認し,担当の病理プレパラートや割り当てられた患者さんの経過をチェックします。皮膚科の魅力は何といってもやはり,目の前で起きている現象を顕微鏡で観察できることですから,この時間は皮膚科ならではの楽しみが味わえる時間です。

火曜日

火曜日には,市中病院での皮膚科医を経験しています。

 大学から車で40分程の所に位置する総合病院に出かけ,朝から外来診療を行います。湿疹や蕁麻疹,白癬といったcommon diseaseの患者さんが診療の中心ですが,皮膚に起きている変化を一つ一つ丁寧に診察し,他の類縁疾患を思い浮かべながら一人で診察し,カルテを記載し処方までの全てを行うのは,なかなか大変です。もちろん,診断や治療方法で迷うときは常勤医の先生と相談します。先生方はいつも快く足を運んで下さるので,大変感謝しています。

 午後は引き続き,市中病院の外来で3~4件の生検や小手術を行います。大学病院では病棟業務が主なので執刀させてもらえる生検や小手術は今のところ1週間におよそ2~3件くらいです。それと同じくらいの件数をこの1日で経験させて頂いていることになります。

 その後急いで大学に戻り,水曜日の手術の準備のため,放射性同位元素を使ったセンチネルリンパ節の撮影やエコーでの確認など,手術前日に必要な検査を行います。

 病棟担当医の先生方と夕方の回診を済ませた後は,翌日の手術予定の患者さんとその家族に手術の説明をします。オペレーターの先生の説明を聞きながら,手術の流れを頭の中で確認する機会でもあります。その後,翌日に備えて分からないことを調べたり,上級医に確認したりしています。

水曜日

水曜日は,大変だけれども,医師として貴重な体験のできる一日です。

 朝8時15分に患者さんとともに手術室に入室します。千葉大学の皮膚科には人口600万人を抱える千葉県内から広く患者さんが集まってくるので,悪性腫瘍の症例は豊富で,リンパ節郭清術の頻度も高く,また難しい手術も多いと思います。また腰椎麻酔は,上級医の指導の下で,皮膚科医であっても自分達で施行しています。

 皮膚科の手術は体表からアプローチできるのでシンプルなのかと当初は思っていましたが,体の全てが皮膚に覆われているということは,体のどこにでも悪性腫瘍ができるわけで,病変部位に応じた手術ストラテジーや注意点があります。手術はバラエティーに富み,多くの症例を経験しないと一人前の皮膚外科医には決してなれないと実感しました。また,リンパ節は重要な血管周囲にあることから,慎重さや手技の正確さが必要で,出血時のリカバリーの的確さも求められます。今はまだ第3助手や外回りが中心ですが,患者さんの命を預かる医師としていつかは一人前のオペレーターとなれるよう頑張っていきたいと思います。

 手術の後は,切除した標本をホルマリン固定して病理へ提出します。その後,翌日のカンファに向けて担当患者のプレゼンの準備をしたり,担当の病理組織を調べて翌日に備えています。

木曜日

木曜日は1週間を凝縮した濃密な1日です。

 朝8時30分から,ひがし9階病棟のカンファレンス室にて,担当患者さんのプレゼンをします。温度板や臨床写真などをスクリーンに映しながら,1週間の患者さんの病状や検査の進み具合などをチェックし,治療方針の決定など重要な項目が議論されます。受け持ち医として,簡潔に必要なことをプレゼンすることはもちろん,議論となりそうな点については上級医からの貴重な助言や意見を引き出せるように事前に調べて頭に叩き込んでおくことが求められます。

 大変な作業が,この努力が全て担当している患者さんにより良い医療を提供するために役立っていると思います。

 松江教授による病棟回診の後,効率よく病棟患者の包交を済ませ,10時半から外来でクリニカルカンファレンスが始まります。

 ここ1週間に大学病院を受診した患者さんの中で,診断に苦慮したり,手術や入院加療が必要と思われる患者さんに再度受診して頂き,大学にいる皮膚科医全員で診察をしています。千葉県内から集まってこられた患者さんの全てに対して,その場で診断がつく訳ではなく,多くはその日の午後に行う皮膚生検や他の検査を踏まえて診断に至ります。初めて目にする疾患も多く,また上級医の考え方を一度に聞ける機会でもあるので,若手医師にとっては皮膚疾患への理解を広げ,深めることのできる貴重な時間でもあります。

 その後,午後3時からの医学部での病理カンファまでの間に,自分が受け持ちとなる入院予定患者さんの入院準備や検査を患者さんと打ち合わせたり,外来での皮膚生検や小手術を行います。また,この時間を利用して,病棟で受け持っていた患者さんの退院後の外来フォローアップも行っています。退院した患者さんの元気な姿を外来で拝見できるのは本当に嬉しく,医師という職業を選んで良かったと実感する瞬間です。

 病理カンファでは様々な疾患の病理組織が,病歴や臨床写真も交えながらプレゼンされてゆきます。自信がない時など,自分の担当分のプレゼンが終わるまでは緊張しますが,悩んだ時ほど,得られた答えは知識を整理してくれると思います。また,仲間や先輩のプレゼンを聞きながらも色々なことが学べます。

 続いて臨床写真カンファがあり,1週間の外来患者の臨床経過と写真が映し出されます。大学病院なので診断や治療に苦慮する患者が多く集まっており,若手にとってはそこでの上級医の判断が学べる大事なカンファです。

 その後は医局会があり,学会発表前だと予演会があったり,皮膚科のガイドラインの勉強会や他大学の先生を招いての講演会などが催されたりします。

最後に,医学部から病院へと戻り,夕回診で病棟を回って患者さんの顔を眺めて,ようやく長い1日が終わります。

金曜日

1週間で唯一の大学での外来日です。

 朝の定時の病棟回診の後,9時から初診外来のベシュライバーにつきます。千葉大学附属病院の皮膚科では,現在は近隣の開業医の先生や市中病院からの紹介患者さんのみを受け入れており,その最初の窓口となるのがこの初診外来です。その外来に付いて若手は勉強させて頂き,その代り(?)に上級医にとっては専属秘書が付くという,互いにメリットのあるシステムです。

 腫瘍が多かったり,膠原病が多かったり,あるいは炎症性疾患が多かったりと,何となく週によってバラつきはあるのですが,毎週多くの患者が来院します。皮膚科は疾患の数も多く,上級医の先生のように自信を持って診療できるようになるのは何時の事やら…と思ってしまいますが,一朝一夕には成らないので,こういう機会に出会う一つ一つの症例を大事にして勉強してゆかないといけません。

 午後は他科から依頼のあった患者を診察したり,生検の依頼があればこれも効率よく行い,病棟の往診にも行きます。大学病院では皮膚科に限らずいずれの科においても,診療が難しかったり,発症頻度が稀な疾患を有する患者さんが多く入院されている訳ですが,そうした患者で起こりやすい皮膚疾患を学んだり,治療の仕方を学ぶ貴重な機会です。

 その後病棟に戻って,担当患者さんの来週分の指示出しや入退院の準備をします。また,この時間を使って病棟の気になる患者の包交をしたり,時間があればサマリー入力などを行い,最後に夕回診で病棟を一回りすれば,1週間が終わりです。

週末

週末でも病棟患者さんの創の消毒が必要なことは変わりなく,週末の包交は当直医の仕事となります。当直の場合は,午前いっぱいは包交,午後~翌朝までは院内で好きなことをして過ごす,といった感じです。音楽を聞いたり,キャッチボールしたり,学会準備をしたり,論文検索をしたり,研究をしたり,,,人それぞれです。

 また,救急患者にも対応することとなりますが,緊急の処置が必要だったり判断に困る時には待機の上級医にいつでもコンサルトできる体制にあるので安心です。

もちろん,当直でなければ,お休みです。


病棟担当医の日常,その2

千葉大皮膚科入局を考えている初期研修医へのメッセージとして

 やはり大学院生の方がベシュライバー(たぶんドイツ語でそばで書く人という意味だと思うのですが、外来診療されている上の先生のそばでパソコンうちなどのお手伝いをして外来業務の「技」を盗める)をやらせていただける機会をもらえたり優遇される印象なので、やる気と経済力のある人は大学院生に。

もちろん当然研究意欲もないとだめです。

 私は医学部に入る前に生物学の基礎研究をしていた者ですが、やはり研究は趣味の域でなく、役立つことのためにやるものだと思います。もちろん今わかっていないことを純粋に疑問に思い、それを解明するためにやる研究もあると思いますが、時間には限りがあって優先順位の上のものから研究するとなると,そのようになるのではないかと思います。そうでなかったら遊んでいるのと同じだと私は自分の経験から思いました。

 自分の研究成果を診療に役立ててやろうという気概のある方に是非大学院生になって頂きたいです。そうでなかったら、働き甲斐がありません!

 外勤には,こども病院へ講師の先生と働きに行っていました。昨年10月からの試みであり、まだ病院内の認知度は低いですが、病棟を行商人のようにまわって皮膚トラブルのある子供を病棟リーダー看護師さんに紹介してもらいつつ、少しずつ認知され、あてにされるようになってきています。多いのはギブスやオムツによるカンジダ症の患者、テープ固定などによる接触皮膚炎の患者、血液内科入院中のGVHDであるかどうかという紹介患者などです。講師の先生は主に外来診療されていますが、徐々に予約患者(アトピー性皮膚炎の患者が多い印象)が増えてきています。子供好きにはお勧めです。

 もう1日は,大学の前に位置する市民病院へ働きに行っています。常勤の先生が一人いらっしゃいます。午前中の外来診療を担当しています。患者は爪白癬、足白癬が特に多いです。こんなに爪白癬が多いのかと思うくらい爪白癬が多いです。

皮膚科専門医マップ

教室紹介

後期研修医の日常

教室行事

学会印象記

facebook

千葉大学皮膚科の今を発信しています。

業績

病棟カンファ

この年,新病棟へと移り,カンファレンスも新しくなった病棟で行うようになりました。

組織カンファ

組織カンファレンスは研究室のある医学部本館の皮膚科医局で行っていましたが,当時は部屋の明かりを消して,プロジェクターで投影して行っていました。

 2011年より50インチの液晶TVを導入し,今は部屋の明かりを消さずに検討会を行っています。明かりがついていると手許の資料も参照しやすく,何よりも眠くならなくていいですよね。

土曜日

外来の裏にある医師控え室。臨床研究室という名前から,通称「りんけん」と読んでいるが、研究室というよりは部室といった感じか‥‥。