後期研修医の日常(2010年11月)

月曜日

病棟へ行き,手術予定の患者さんの点滴と採血から1週間が始まります。その後,自分の受け持ち患者さんの様子をチェック。週末の間に変化がなかったかを確認後,電子カルテを書きつつ全員が集まるのを待ちます。

 朝8時半。病棟医が集合したところで,自分の患者さんを簡単にプレゼンし病棟回診へ。患者さんの治療方針は回診後,患者さんを実際に見てから決まることが多いところも皮膚科ならではでしょうか。

回診後は包交になります。病棟処置室で1人ずつ行い,自分の担当患者さんは積極的に処置をします。特に植皮の後の圧迫(Tie over)解除は,どのくらい綺麗に生着したか,見えるその一瞬までワクワクが止まりません。

 そうこうしているうちに外来から新患と処置の患者さんが来たことを知らせる電話が入ります。今日は手術担当の日ですから,外来に下りてくるようにというクラークさんのお誘いをやんわりと断りつつ,手術室へと向かいます。

 月曜日の手術は基本的に局所麻酔下の手術のため,1件1-2時間くらいのものが1日に3件程度です。

中野先生の華麗な手捌きを堪能しつつ,少しでも手助けが出来るように吸引,電気メスなどで前立ちを行います。少し慣れてくると,時間に余裕のある日は植皮をやらせてもらえます。もちろん,困ったらすぐ助けてくれるので,安心して下さい。

手術予定がなく外来当番の時は新患の問診や写真撮影,処置があるのですが,これはまた水曜日にでも。ちなみに月曜日外来担当の外川先生は外来医長で,自分の皮膚病を治してくれた先生でもあります。感謝,感謝です。

 夕方には病棟カンファレンスが行われます。朝の回診前プレゼントは違い,この1週間の変化と治療方針について報告し,全員で治療方針について話し合います。病棟カンファレンスと回診が終わると病理カンファレンスが始まります。昔は苦手だった病理も,今では何となく分かるようになり,突っ込まれつつも自信を持って所見を言えるようになりました。

 カンファが終われば,あと少し。病棟の仕事をこなし,写真整理をしたらいざ帰宅です。実は一週間で一番長い一日は月曜日かもと,この文章を書きながら今更思ったりしています。

火曜日

1日が外病院の外来から始まります。

 高速道路に乗って車で東金方面へ。外来には大学病院とはまた違った病気が診られるので大変勉強になります。自分一人で責任を持って外来をするというのは勉強するきっかけにもなるので,怠け癖のある自分にとっては大変有意義です。

 午前中だけでは60人みるのが精一杯で,次回こそ的確で迅速な診察を心がけようと思いつつ,途中でうどん屋に立ち寄って心機一転,それから大学へと戻ります。

 午後には翌日の手術患者さんのセンチネルRIがあり,センチネルリンパ節を同定し,翌日の術式と手順を末廣先生と確認します。

 月曜日以外の夕方には,朝同様に病棟回診があり,入院患者さんに何か変化がないかをチェックし,当直医に問題点を伝え,携帯が鳴らないよう祈りながら帰ります。とは言っても,幸いにも殆ど呼ばれることはありませんが。

 ちなみに,火曜は腫瘍外来があり,外勤が午後の時は午前中末廣先生のベシュライバーをやってました。自分が担当した術後の患者さんの経過を見られるので,どのような経過を辿っていくのか,検査や術後補助療法の選択なども学べるとても良い機会です。

水曜日

手術日なので,病棟組と手術組に分かれます。

 今日は担当の手術は2件目なので,いつも通り朝の回診を済ませて外来へ。外来では新患の問診・写真撮影,必要であれば真菌検査や血液検査のオーダー,抜糸や消毒などの処置,外来担当の先生のベシュライバー(カルテ書きや各種オーダーなどのお手伝い)などの仕事があります。個人差がありますが,ベシュライバーに付くと患者さんを診察しながら治療や疾患について教えて貰えるので,自分としては一番好きなポジションです。・・・別に問診とか処置が嫌いな訳じゃないですよ?

 神戸先生のサクサク進む診察方法を学びつつ,あっという間に午前の診察が終了。しかし食堂に着くなり鳴るPHS。・・・外来で処置ですか,そーですか。

 午後は担当患者の手術なので,時間に遅れないよう着替えて手術室へ。手術室の方達はみんな怖いのです。

 水曜日は悪性黒色腫や進行した有棘細胞癌などリンパ節郭清あるいはセンチネルリンパ節生検が必要となる手術がメインです。千葉大皮膚科きっての肉体派,みんなからチーフと呼ばれて親しまれる「手術を担当する末廣」先生が指導して下さいます。腫瘍の切除は,さすがにまだ執刀させて貰えませんが,採皮,植皮,縫縮はさせてもらえるようになりました。手術をしながら腰の痛みを訴える末廣先生を見ていると,早く上達しなければいけない使命感に駆られます。それでも,末廣先生には,あと10数年は頑張ってもらわないと困りますので。

 そんなこんなで手術も終わり,翌日のカンファレンスに向けてリスト作りや写真整理をしたら帰宅。この作業は,前期研修医時代から作り続けているので,慣れたものです。

木曜日

1日中カンファレンスの日です。この日だけは,朝ご飯は必ず食べておきます。

 朝は8時半からの病棟カンファレンスから始まります。昨日作った写真リストを持っていざ出陣。

こんなに人がいたのかとその多さに時々戸惑います。僕は人前で話すのが苦手なのです。時間になったら,カンファレンス開始の発声をします。おはようございます。教授の鋭い質問を指導医の先生と防ぎつつ,神戸先生の助けを目で求めつつ,入院患者のプレゼン。そして退院患者の報告が終われば,教授回診へ。人混みを避けつつも,先頭集団について行かないとあっという間に取り残されます。

 ひがし病棟9階での回診後は,外来棟地下1階の皮膚科外来にてクリニカルカンファレンスが行われます。治療方針に苦渋した患者さんや,悪性腫瘍と考えられた患者さん1人に対して,千葉大皮膚科医局員全員という状況で診察が進められます。ここでの検討の結果,治療方針を患者さんとその家族へとムンテラし,手術予約や検査予約を入れていきます。

 気がつけば12時45分。人間諦めが肝心なので,お昼ご飯は放棄し,教授外来の準備をします。紙カルテに日付印を押して電子カルテの準備,処方箋の判子押しなど,全ての準備を整えて教授を待ちます。教授の外来は5から15人と幅があるため,時間通りに診察を行うことを心がけつつ,ベシュライバー業務に専念します。

 教授外来が終わるとやっとお昼ご飯です。職員食堂のカツカレーを一番おいしく食べられるのは,木曜日だと心から思います。

 食休みの後は,夕方のカンファレンスです。1週間で撮影した臨床写真を全て提示し,全員で診断,治療について検討していきます。全部で50症例,1000枚程度の写真を見るので,患者さんの詳細を覚えている外来担当の先生も凄いですが,教授の知識が余すところなく発揮され,大変勉強になります。やはり皮膚科医たるもの見て学ぶのが一番です。

 カンファが終わると,昼間に見た患者さんの手術オーダーや入院オーダーなどを忘れないうちに行います。本当にあっという間に1日が過ぎていく感じです。

金曜日

週の最後は外来日です。手術はないので朝の病棟での回診後,みんなで外来へと下り,早速ベシュライバーをゲット。うちのルールは「早い者勝ち」なのです。

 医局長でもある鎌田先生の外来を見て勉強しつつ,診察のテクニックを学びながら,穏やかな午前の診察が終了。食堂に行くと・・・やはり鳴るPHS。病棟の処方ですか,そーですか。

 午後は外来処置室で生検です。いわゆる小手術ですね。時には手術室の予約枠がいっぱいだと,外来で植皮をやったりもしていますが,中央手術室での手術とは違い1人で執刀することもあり,自分の未熟さと指導医のありがたさを思い知らされます。外来での手術が終われば,病棟に上がり,入院患者さんの包交を済ませます。

 週の最後は来週月曜日の病理カンファレンスのリストを作れば,おしまいです。金曜日は比較的早く終わるので病理の勉強をしてから帰ります。うーむ,分からん。

金曜日の当直は形成外科の先生の担当ということもあって,飲み会も基本的には金曜日です。次の日に支障が出ない程度に楽しみましょう。

土・日曜日

去年の感想文にも書いてある通り,形成外科の先生と土日当直を分担したので土曜日から日曜の朝までが,皮膚科の当直医としての担当です。平日に出来なかった仕事をやる良いチャンスで,サマリーや手術記載などをやっています。病棟から細々した用事で電話が鳴ることはありますが,救急外来から呼ばれることは,幸いなことに殆どないからです。

 土曜日の晩は,一週間の疲れをとるべくのんびりと当直室で睡眠を貪って,朝の包交をすれば一週間もほぼお終いです。最近になって枕を良いやつに変えたので,本当によく眠れます。おかげで一度寝坊して,看護師さんに電話で起こされたことがあるほどです。当直室の洗面台のお湯は,未だに出が悪いままですが。


はじめての「医員の日常」

昨年度に続き,大学病院での研修も2年目に突入しました。

 昨年の春を思い返してみますと,初めての皮膚科の研修・業務,初めての仕事と育児の両立とでいっぱいいっぱいでした。常に目が回るほど忙しくて、でも最初は仕事も思った様にはできないので効率が悪く,子供はしょっちゅう熱を出すし,挙句の果てには自分まで熱発する始末。「医局の先生方には多大なご迷惑をおかけしたことをお詫びするとともに,大変暖かく見守って頂いてありがとうございました」と,まずは感謝を申し上げたいと思います。

 今年も昨年同様,外来と病棟をともに担当させて頂きました。

 まず外来についてですが,昨年は処置係(一般的な処置、初診患者さんのアナムネ、写真撮影、生検など)に専念していたのに対して,今年は週に1日,一般再来の外来を担当しているのが,大きく異なる点です。外来業務自体は細々ながら1年目でも週に1回外勤先でこなしておりましたが,やはり大学病院の外来となりますと,背筋の伸びる思いがします。長く通っておられる患者さんでも調子に波のある方もあり,処方をどうするか,次回いつ来て頂くかなど一生懸命考えながら,時に隣の診察室の上級医の先生方に教えて頂き対応しました。そして治療に対する反応をみながら次回に活かす,という経験を繰り返しながらも,それを素早くこなす事は大変貴重な学習になります。

 処置係として皮膚生検をする際も,昨年前半は手順に沿って手技をきちんとこなす事に集中していましたが,今はそれに加え,鑑別疾患はこれだから,どの様に取ったら,どういう病理がでて,どういう風に技師さんにオーダーしようか,切り出しは,染色は,固定は‥‥等々と考えながらするようになり,同じ手技をしている様でもより興味深く携われていると思います。

 病棟では業務の流れも一通り把握し,同じ作業でも効率よく‥‥あくまでも自分的にはなのですが,こなせる様になりました。

 また,日常診療の他に学会発表をする機会にも多く恵まれました。折角貴重な症例に出会えたのだから,無駄にしないようにきちんと論文を書いて発表するように心掛けました。私の駄作を根気強くご指導下さった先生方,症例を割り当てて下さった先生方,他の視点からの考えをご指導下さった先生方,などなど本当に諸先生方にお礼を申し上げます。

 来年度は入局者が多く、より賑やかな医局になりそうですね。私は関連病院勤務になりますが、また新たな経験を重ね精進していけたら,と思っています。そして皮膚科医として成長して,先生方とまた皮膚科に携われたらと思います。それでは。

皮膚科専門医マップ

教室紹介

後期研修医の日常

教室行事

学会印象記

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千葉大学皮膚科の今を発信しています。

業績

研修風景

第1診察室

それまでCTフィルムを見るために置かれていたシャウカッセンに替わり,臨床写真や病理,電子カルテを映すための大型液晶TVを購入!

 購入に当たっては,「診察室に入って来る患者さんがTVがあることに気付いて,『ここでTVを見ているの』と思うから良くないよ」と同意が得られず,苦労しました。でも,液晶TVを設置後は,それまではカンファレンス時にMacの画面を覗き込む教授の背中に隠れてしまい殆ど見えなかった臨床写真もはっきりと見えるようになり,研修医や学生さんからの評判は上々ですよ。しかしながら,大変残念なことに,TVの配線をして貰えず,当直の晩に仕事をしながらこの大画面でサッカー中継を見たりすることはできないのです。

 また,千葉大の外来ではいずれの診療科でも,A4の書類を印刷するためのプリンターは外来に1台しか設置されておらず,その理由として電源が全ての診察室のプリンターをまかなうだけの容量が無いためと説明されたのだけど,しかしこれだけ診察室に電気機器を接続してもブレーカーが落ちないのだから,その説明も怪しいものですね。

 そして,2011年の仕事納めの日。いつもより早く終わった外来に集まり,この液晶TVに繋いだPCから「ONE PIECE」のチョッパーの映画を見てみんなで涙したことは,ここだけの話です。