千葉大学大学院医学研究院 生殖医学講座 (旧生殖機能病態学 千葉大学産婦人科)
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遺伝性女性化乳房症(アロマターゼ過剰症、Aromatase Excess Syndrome、AEXS, AREXS)に関する研究班を立ち上げました
遺伝性女性化乳房(アロマターゼ過剰症)に関する研究を開始しました(平成22年度厚生労働科学研究 難治性疾患克服研究事業)。

遺伝性女性化乳房(アロマターゼ過剰症)とは?
本疾患の原因は?
症状の発現を抑えることができます
なぜ、本研究班が必要か?
本件研究班の目的
本年度の事業
研究班の組織
研究班事務局
診断の手引き案
患者さんへ
参考文献

遺伝性女性化乳房(アロマターゼ過剰症)とは?
 遺伝性女性化乳房症は、男性に乳房の高度発育、低身長・性欲の低下などをきたす疾患です。男性の乳房の腫大は身体的問題だけでなく、精神的問題を引き起こします。そのため、社会的活動性の著しい低下をきたすことがあります。われわれの研究から、本疾患は女性にも発症する(巨大乳房・不正性器出血・子宮癌など)ことが明らかになっています。

本疾患の原因は?
 本症では、エストロゲン合成酵素であるアロマターゼ遺伝子が過剰発現しています。その結果、エストロゲン(女性ホルモン)が多くなり、女性と同様な乳房の発育をきたします。これまでに知られている患者さんでは、全身の臓器や細胞でアロマターゼ遺伝子の過剰発現が確認されています。
 アロマターゼ遺伝子の過剰発現の原因は長く不明でしたが、2003年にわれわれは15番染色体の微細逆位が原因であることを見いだしました。この微細逆位の結果、アロマターゼ遺伝子の近傍にある別の遺伝子のプロモーター(遺伝子発現を司るDNA領域)があたかもアロマターゼ遺伝子のプロモーターとして働くようになっていました(図1)。その後、同様に染色体逆位により発症した症例(染色体上の位置は家系ごとに異なっています)を複数例発見しています。
図1 微細染色体逆位によるアロマターゼ過剰発現
図1
アニメーションのあるpptファイルPowerPointダウンロードできます

 このように、本疾患はアロマターゼ遺伝子の近傍の微細逆位によって生じた常染色体優性の単一遺伝子病です。
 しかし、最近の研究から微細逆位以外の機序があることもわかってきました。

症状の発現を抑えることができます
 本疾患は遺伝子の異常によって生じる病気ですから、根本的な治療はできません。しかし、乳房発育は薬物により治療ができます。これには、乳癌などの治療に用いられているアロマターゼ阻害剤を用います。
 また、低身長も阻止することが可能で、これには早期発見と早期治療が必要です。

なぜ、本研究班が必要か?
 本症は稀な疾患であり、かつ新しい疾患概念であるため、現在までのところ医療者にあまり周知されていません。さらに、女性化乳房を専門とする診療科がなく小児科・内科・外科・産婦人科など複数の診療科で別々に取り扱われていることも問題です。
 加えて、診断確定に必要な遺伝学的診断を施行できるファシリティーがない(商業的検査施設や海外の検査施設でも行われていないようです)ことから、診断を疑っても遺伝子診断が行えない状況にあります。
 このような状況ですから、疾患の発生頻度も全く分かっていません。また、多くの症例で確定診断ができず、治療のチャンスも失われている可能性があります。

本件研究班の目的
 そこで、本研究班では、以下の3点を目途に研究を実施します。本年度の研究は、1)〜3)を目指しています。最終的には、1)〜4)を実施することで、早期診断を可能にし、早期治療へと発展させます。
1) 全国的な患者実態調査を行い、患者数と診断治療の現況を明らかにする。
2) 臨床的診断基準を策定する。
3) 遺伝子診断のための系統的手法方法を開発する。
4) 本疾患の診断のためのファシリティーを構築し、継続的運用をめざす。

本年度の事業
疫学調査
一次調査
 およその実態を把握するためのアンケート調査を6〜7月に実施しました。現在結果の解析中です。これまでのところ、確定診断のなされていない患者さんが少なからずおられることがわかってました。
 一次調査にご協力いただいた全国の臨床医の皆様、ご協力に感謝申し上げます。有り難うございました。

二次調査
 一次調査で、本疾患の可能性のある患者さんについてのさらに詳しい臨床情報を調査します。本疾患の可能性が高いと判断された患者さんについては、遺伝子検査などへの協力を依頼する予定です。

細胞遺伝学的診断方法の確立
 発現解析やCGHアレイなどの方法を組み合わせた系統的診断法を開発中です。
 一部の患者さんからサンプルを提供していただき、実証中です。

研究班の組織
厚生労働科学研究費補助金「難治性疾患克服研究事業」
「遺伝性女性化乳房の実態把握と診断基準の作成」班
主任研究者:生水真紀夫
 (千葉大学医学部生殖機能病態学 教授)
分担研究者:深見真紀 (緒方勤)
 (独)国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部 室長)
 (独)国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部 部長)
分担研究者:原田信広
 (藤田保健衛生大学医学部生化学講座 教授)
分担研究者:横田千津子
 (城西大学薬学部臨床病態学講座 教授)
分担研究者:花木啓一
 (鳥取大学医学部保健学科母性・小児家族看護学講座 教授)
分担研究者:野口眞三郎
 (大阪大学医学部乳腺内分泌外科学講座 教授)

研究班事務局
 アンケート調査や診断・治療に対するお問い合わせはメールでお願いします。
 本疾患の可能性がある患者さんを診断された際には、ご連絡下さいますようお願い申し上げます。診断や治療に関するお手伝いをさせていただきます。
 (なお、一次調査のアンケート返信は、締め切り日を過ぎていますが、引き続き受け付けております。)
sanfujinka@office.chiba-u.jp
260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学大学院生殖機能病態学
生水真紀夫(しょうず まきお)宛

診断の手引き案
現在、作成中です。今しばらく、お待ち下さい。

患者さんへ
 男の子では、思春期に乳房が大きくなり、乳頭の過敏症状や疼痛を伴うことがあります。ほとんどの例が一過性で自然に軽快します。
 これに対して、①症状の発現時期が早い(思春期より前)、②父親または男の兄弟に同様の症状がある場合には本症が疑われます。乳房の増大の程度は、強い場合が多いのですが比較的軽い場合もあります。一過性でなく、進行性に悪化(増大)してくる場合にも本症が疑われます。
 高齢の男性では、乳房が徐々に増大してくることが多いのですが、これは病的ではないと考えられています。痛みやしこりを伴うときは、外科などを受診してください。
 ご相談・照会は、メールで受け付けます。下記までご連絡下さい。
sanfujinka@office.chiba-u.jp
260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学大学院生殖機能病態学
生水真紀夫(しょうず まきお)宛

参考文献
1. Shozu et al. N Engl J Med. 2003 348:1855-65
2. Demura, Shozu et al. Hum Mol Genet. 2007 16:2529-41
3. 生水真紀夫. 埼玉医科大学雑誌 2005 22(2):59-63

略号について
 アロマターゼ過剰症の英語表記はAromatase Excess Syndromeで、AEXS(エー、イー、 エックス、エス)に変更しました。発音しやすいことから、当初はAREX(アレックス)を採用 していましたが、Online Mendelian Inheritance in Manに一致させることにしました。


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