大細胞癌

大細胞癌とは、小細胞癌の特徴がなく、腺癌、扁平上皮癌などへの分化がない悪性上皮性腫瘍をいいます。

スライド左は弱拡大で、腫瘍細胞は充実性に増殖し、広汎な壊死を認めます。右は強拡大で、腫瘍細胞が特定の配列をしめさずに増殖しています。

大細胞癌の特殊型を示します。

  1. 大細胞神経内分泌癌
  2. 類基底細胞癌
  3. リンパ上皮腫様癌
  4. 淡明細胞癌
  5. ラブドイド形質を伴う大細胞癌

第2版は、巨細胞癌と淡明細胞癌を特殊型としていましたが、巨細胞癌は第3版では肉腫様癌に移動しました。

類基底細胞癌

腫瘍細胞は比較的小型で均一です。細胞質が少なく、細胞密度が高度です。 これらの腫瘍細胞が小葉状、索状あるいは柵状に増殖します。 核のクロマチンは細顆粒状で、核小体は目立ちません。 面靤様壊死やロゼットを認めます。 第3版では神経内分泌マーカーが陰性であると記載されていますが、2004年版では、一部は陽性となることがある、と記載されています。 この症例は神経内分泌マーカーは陰性でした。

リンパ上皮腫様癌

リンパ上皮腫は鼻咽頭にみられる癌で、これに類似した所見を示します。 リンパ球の多い間質に大型の腫瘍細胞が胞巣を形成しています。形質細胞もみられます。 好酸性の核小体が目立ちます。 周辺の肺胞に対しては圧排性に増殖します。 第3版では、Epstein-Barr virusが存在すことがある、と記載されていましたが、2004年版では、Epstein-Barr virusは存在すると記載されています。 この症例はEB virusは陰性でした。

ラブドイド形質を伴う大細胞癌

細胞質内に小球体を認めるものをいい、電子顕微鏡で観察すると細胞質に中間径フィラメントを認め、免疫染色では小球体は、cytokeratinとvimentinがともに陽性です。 腫瘍細胞の細胞質内に好酸性の小球体を認めます。

電子顕微鏡所見を示します。核の周囲に中間径フィラメントを多数認めます[5]。