千葉大学大学院医学研究院 免疫発生学

患者さんへのお知らせ

「非小細胞肺癌に対するNKT細胞を用いた免疫細胞治療」

症例登録は終了しました。御協力ありがとうございました。

 

臨床研究、高度医療とは

 新しい治療法を開発するために、患者さんに参加していただき、効果や安全性を調べる試験のことです。今回ご説明する免疫治療もまだ開発中の治療法で、患者さんにご協力をいただいて、安全性、有効性を確認している段階です。
 日本では、薬事法の承認が得られていない医薬品・医療機器の使用を伴う先進的な医療技術(本臨床研究での癌に対するリンパ球療法など)については、一般的な治療法ではないなどの理由から原則として保険との併用が認められていません。しかし、医学医療の高度化やこれらの医療技術を安全かつ低い負担で受けたいという患者さんのニーズ等に対応するため、これらの医療技術のうち一定の要件を満たすものについて、厚生労働省が当該医療技術を「高度医療」として認め、保険診療と併用できることとしました。この「非小細胞は胃がんに対するNKT細胞を用いた免疫細胞治療」は科学的根拠に基づき一定の効果や安全性を期待でき、適切な計画と方法がとられている臨床試験として厚生労働省に高度医療として承認されました。

肺癌の治療と免疫療法

 肺癌、特に非小細胞癌の治療の中心をなすのは手術療法です。しかし、肺癌発見時には既に手術できない方も70%にのぼると言われています。手術ができない方、手術後に再発した方では抗癌剤が治療の中心となります。新しい薬品の開発により、抗癌剤による治療成績は徐々に向上はしていますが、残念ながら完治は難しく、さらに有効な治療の開発が望まれます。
 NKT細胞は活性化すると、癌に対して強い効果を示す免疫細胞と報告されています。αガラクトシルセラミドと言う物質がNKT細胞を特異的に活性化する性質があるということが千葉大学で発見されました。現在我々は、患者さんのNKT細胞を特異的に活性化する免疫治療を開発しています。

試験へ参加できる方(主なもの)

組織学的に非小細胞肺癌の診断がついている
有効と考えられる既存の初回抗癌剤治療が既に済んでいる
前治療から4週間たっている(他の治療との併用はできません)
重篤な合併症を有していない(肝機能、腎機能、骨髄機能、肺機能など)
年齢が20歳から75歳まで
末梢血にNKT細胞が認められること(これは外来受診時に調べます)

試験参加が適切でない方(主なもの)

肺以外が原発の癌(転移性肺腫瘍)の場合
原発性肺癌でも小細胞癌の確定診断が得られている場合
全身状態が悪く、外来に通院することが出来ない場合
肺癌の他に他臓器の癌が重複して存在している場合
ステロイド剤を点滴もしくは内服で使用している場合

治療の方法

 患者さんから成分採血を行い、血液中の樹状細胞を採取します。NKT細胞を活性化させる物質(αガラクトシルセラミド)とともに培養し、1週間後、2週間後に患者さんに点滴で静脈内投与します。4週間間隔をあけ、大きな副作用がなければ、同じ方法で治療をもう1コース行います。外来に定期的に通院していただき、副作用や効果に関して、慎重に観察を行います。

費用

 この臨床試験における高度医療に係る分(通常の健康保険が適応されない)は、1コースで約60万円、最大2コースを行いますと約120万円となります。
その他に、通常の保険診療分の費用が必要となります。民間の医療保険で先進医療費の給付特約がある場合は、自己負担の給付が受けられます(詳しくは各保険会社にお問い合わせ下さい)。

本臨床試験に参加したい方、詳細な説明をお聞きになりたい方は、以下にお問い合わせ下さい。

受診外来:千葉大学医学部附属病院 呼吸器外科
免疫療法外来:毎週水曜日、金曜日
免疫療法担当医師:本橋新一郎
新患受付:8時30分から10時30分まで
お問い合わせ先:千葉大学大学院免疫細胞医学
電話:043−226−2718(研究室直通)