講座紹介

黎明期から 時代の最先端をゆく研究

 平成5年に臨床検査医学講座として発足した当講座は、平成13年より医学研究院分子病態解析学講座となり、疾患の原因や病態を、特にゲノムレベルや分子レベルでとらえ、新しい疾患マーカーや疾患素因を見出してその情報を速やかに診療の現場に還元することをミッションとしてきた。最近では、時代を先取りする先端的研究をさらに推し進めて、これらからの医学・生物学を目指している。当講座の教官は、内分泌代謝学、糖尿病、循環器、遺伝子診療の専門医や指導医を背景とする医学研究者とエピジェネティクス・複合体学を専門とする基礎研究者から構成されている。従って、附属病院における内分泌代謝や遺伝子診療や、病院検査部門とも連携して、各専門領域の診療や遺伝子検査と遺伝カウンセリングも担っており、大学病院にふさわしい高度先進医療の構築に貢献している。

 最近のテクノロジーの進歩の結果、ゲノムレベルでの1分子シークエンスはもちろんのこと、細胞・臓器・生体の多様な変化を“動的”に捉えたり、細胞内小器官の微細構造を可視化したり、プロテオミクス技術の発達によって分子間相互作用や高次複合体情報を“質的”・“空間的”・“多層的”に解析することが可能になり、従来の単一的・一面的研究から多面的・高次機能的研究へとパラダイムシフトしてきている。

 医学研究院では、「疾患分子病態の解明」と「生老病長寿における分子基盤の統合的理解」を目的に、マルチオミックス解析、Single Cellシークエンス、ゲノムエンジニアリング技術を行いながら、疾患分子病態解析学を展開している。1遺伝子-1分子-1細胞-1個体を動的・質的・視的・システム的に捉えて、細胞→臓器→個体へと広く結びつける研究を実施してる。多くの診療科からの医師を基礎研究推進と研究医養成を目的に受け入れ、海外の一流の研究機関との共同研究を推進し、製薬企業との新薬開発も行い、大きな成果を挙げている。