研究医養成プログラム

 本講座では、研究活動を活性化し、医学・医療の更なる進歩を促す人材を育成する目的で、以下のカリキュラムを導入しています

1.スカラーシッププログラム(千葉大医学部)

プログラム がん・免疫・ホルモン疾患の原因基盤を分子レベル/ゲノムレベルで統合的に解明する
一般目標 現代医療の先端と問題点を知り、基礎研究の目的と医療・医学における役割を理解する。
個別目標

1) ベーシック(医学部1,2年)

基礎側面:生命現象の古典的基本構造であるDNA / RNA /タンパク質(セントラルドグマ)の制御を学び、実際に自らの手で検出し捉える。研究における仮説の設定・論理的な証明の方法とノウハウを論文精読と教官との対話を通じて学ぶ。
臨床側面:臨床論文を精読し現代医療の最先端と限界を知り得るスキルを獲得する。そして未知の分子病態や治療の限界を理解し、何が医学・医療の進歩につながるか自由な意見交換を楽しむ。

2) アプライド(医学部3年)

研究室で実際に進行している研究チームプロジェクトに研究者として参画する。

①テーマに基づき必要なデータ構築を理解し、
②自らデータ解析を完了させ、
③それに基づく実験を計画する。テーマ全体の中の部分的役割を担い、教官と共に成果達成を果たす。Competitionのある機会で発表する。研究室の先端技術を学ぶ(ゲノム編集技術・インタラクトーム解析・3次元培養etc.)。

3) アドバンスト(医学部4,5,6年)

国際共同研究に参画、あるいは、解明したい事象・興味ある疾患メカニズム解明をテーマに、得られる研究時間を加味してゴールを設定する。自己立案と教官指導のバランスから、サイエンスマインドと責任感を育み、卒業前までの論文完了と将来的な医学博士への礎の構築を目標とする。
評価 プログラム最終時期における研究計画の完成度(論文理解・分担セクション・新規研究)を評価
担当者 田中知明、横山真隆(特任准教授)、永野秀和(助教)、山形一行(助教)、樋口誠一郎(助教)、橋本直子(助教)、中山哲俊(助教)
プログラム内容           本講座では、がんと免疫・内分泌や糖尿病/生活習慣病などの代謝内分泌疾患・血管や心筋などの循環器疾患・エイジングや加齢関連疾患の原因となる分子病態解明が主なミッションである。日常臨床における問題解明の視点から医科学分野のパラダイムシフトを目指し、研究に従事する医師は臨床エフォートを果たしながら先端的基礎研究を行っている。国際共同研究が盛んな特性を活かし、長期海外留学経験者とそのネットワークを合わせて研究室全体として、学生教育と医学研究者の育成に力をいれている。細胞内における特性・機能は主にタンパク発現とその活性化・抑制化によってコントロールされるが、そのメカニズムは想像以上に複雑で、何十万という分子間相互作用(インタラクトーム)だけでなく、エピジェネティクス(鋳型となるDNAが転写されやすくする修飾状態)、非コードRNAなど、まだまだ多くの謎が残されている。研究室では、病態に関わる分子群を紐解くために、ゲノム編集やマルチオミックス解析などの先端的解析手法を用いた研究を推進している。特に、時間的に変化するダイナミズムと組織内での1細胞/1分子での相違まで網羅的・統合的に捉えることを目指している。

参加学生は、医学研究者の一員として、基礎と臨床を結ぶ信頼されるリーダーを目指してほしい。

  1. 転写複合体・エピジェネティクス・ミトコンドリアバイオジェネシスの制御機構
  2. マルチオミックス解析/疾患プロテオミクスから捉えるがんと生活習慣病の分子病態統合的研究
  3. 疾患内分泌学・分子内分泌学とホルモン制御機構の研究
  4. 代謝と複合体解析から捉える新たな疾患病態制御における免疫システムの役割
  5. 幹細胞制御と老化シグナルのクロストーク
  6. 血管内皮細胞の臓器間相違、特に心臓微小血管の心筋細胞への制御
  7. PS・ES細胞からの効率的な器官分化誘導法樹立に関する研究
  8. AIと多階層性マルチオミックスの融合解析による新たな内分泌疾患分子病態研究
  9. AIやゲノムワイド解析を駆使した新しい遺伝子診断・遺伝医療・検査システムの構築

2.研究志向型専攻医プログラム(研修医・大学院生)

基礎医学研究をやってみたい若い人材に新しい道と可能性を与えることができる画期的プログラムです。千葉大医学部の研究医枠にも対応し、臨床と研究のモラトリアムを広げ、基礎研究にも触れてみたい方から、ガッツリ基礎研究に向き合いたい方まで、幅広い人材の豊かなキャリア形成に柔軟に対応する「研究指向型」の医師養成プログラムです。


  • 内科専攻医など専門医資格を取得して臨床でも活躍・研鑽する機会をそのままに、早期から力強く研究を遂行することを可能にします。
  • 基礎研究をちょっとかじってみたい、ガッツリ基礎研究をしたい、幅広く対応します。 基礎研究に対する熱量が様々な人材を広く大切にして、医学部と附属病院で、親身に応援してサポートして研究医/臨床医を育成していく仕組みです。 学部生から、卒直後から、初期臨床研修後から、など、研究に興味があるいろいろな人の、多様な形でのキャリアーアップに柔軟に対応して、サポートしていく体制です。
  • 一定期間基礎研究に真剣に取り組んで医学博士号(ハイインパクト論文達成)を取った後、臨床医に戻り、一味違う専門医を目指す人材を応援します。
  • 臨床医として経験を積みながら、臨床の疑問や問題点に基づいた研究を進めたい人材も力強く応援します。
  • 大学院時代にも、登録医・専攻医の医師外勤をサポートして、収入や生活にも安心して研究に専念できる環境が保証されます。
  • 学位取得後、海外の研究機関に留学を希望する人材にベストです。
  • 研究医からの方向転換、専門臨床への移行や臨床診療科への入局もサポートします。
  • 臨床(専門医取得)のキャリアアップを行いながら、専門臓器などに縛られずに基礎研究を進め、じっくりと将来の専門臨床科を選べます。



男女問わず、また学士入学や地域枠の方も含めて多様な人材を歓迎します。 千葉県修学資金貸付制度を受けた人材も含めて、地域医療に興味や義務がある人材でも、研究に興味があれば、柔軟に対応いたします。

研究に少しでも興味があるようでしたら、自信を持って、おすすめします。 全国で初のスキームであり、千葉大医学部全体として、応援し、サポートする体制です。 個別の相談など、お住まいや個別の研修病院の要望や詳細を聞きたい、関連病院を見学に行きたい、外勤先や実質収入を知りたい、千葉県修学資金貸付制度の義務年限消化との関わりなど、個別の案件にも、いつでも面談しますので、遠慮なく相談ください。


お問い合わせ

千葉大学大学院医学研究院 分子病態解析学 田中知明(tomoaki [アット] restaff.chiba-u.jp)
*[アット]を@に置き換えて送信してください