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Environment alters epigenome and causes cancer 当講座は千葉大学医学部で昭和42年に開設された生化学第二講座に端を発します。
平成25年に分子腫瘍学と改称し、癌エピゲノム研究を遂行しています。

教授挨拶

教授 金田篤志


 
 当講座は昭和42年に生化学第二講座(橘正道教授)として医学部に新設され、大学院組織改編に伴い環境影響生化学(鈴木信夫教授)と改称しました。その後任として東京大学先端科学技術研究センターより平成25年に着任し、講座名を新たに分子腫瘍学/Department of Molecular Oncology と改称して、今年で6年目を迎えます。医学研究院の大学院講座として細胞の振舞いを制御するエピゲノムとその異常がもたらす癌の研究を指導すると共に、医学部では生命・細胞維持の基礎でありその異常はエピゲノム変異の原因にもなりうる代謝生化学の教育・実習を行っています。
 「エピ(epi-)」というのは「上」の意味を持つ接頭辞であり、生命の基本設計図であるゲノムDNA塩基配列そのものではなく、ゲノムに付随する修飾物として、ゲノム情報と共に細胞分裂の際に娘細胞に維持・伝達される情報をエピゲノムと呼びます。私たちの体を構成する細胞1つ1つは、基本的に全く同一のゲノム情報を持っているにも関わらず、発生・分化の過程において様々な振舞いを見せることが可能です。それは、ゲノム上のどの遺伝子が使われどの遺伝子が使われるべきでないかを、ゲノム上の修飾物であるエピゲノム情報が調整しているからです。
 ゲノムDNA塩基配列中のCpG配列におけるシトシン(C)のメチル化は、代表的なエピゲノム情報です。ゲノムDNAは細胞核内にクロマチン構造として折り畳まれて収納されていますが、クロマチンの基本単位であるヌクレオソームは、147塩基対のDNAがヒストン8量体の周囲に1.75回巻きついた構造です。このヒストンのN末端はヒストンテールと呼ばれ、アセチル化やメチル化など様々な修飾を受けて転写制御に大きく関わることが知られますが、これらのヒストン修飾も代表的なエピゲノム情報です。
 正常な細胞では、これらエピゲノムが緻密に遺伝子発現を制御し細胞の振舞いを正常にコントロールしています。しかし感染や炎症、ホルモン分泌など様々な環境要因や異常代謝によりエピゲノム情報は変化します。細胞にエピゲノムのエラーが蓄積すると、それらは癌の発生・進展に深く関与します。その研究が癌エピゲノミクスです。ゲノム配列の異常は癌の原因となり、それらを標的とする特異的な治療薬が開発され、標的治療薬が適用となる癌症例を正しく診断するためのクリニカルシーケンスも臨床で進みつつあります。同様にエピゲノムにおいても、エピゲノムのエラーを利用して癌を分類し、診断や標的治療を開発することが可能であり、その開発や応用を目指し、またそもそも各環境要因がどのようにエピゲノム変化を誘導し発癌に寄与するのかその分子機構を解明する研究をしています。
 私どもの癌エピゲノム研究に興味のある方、お気軽にお問い合わせください。


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