Environment alters epigenome and causes cancer 当講座は千葉大学医学部で昭和42年に開設された生化学第二講座に端を発します。
平成25年に分子腫瘍学と改称し、癌エピゲノム研究を遂行しています。
研究詳細

癌におけるDNA異常メチル化の誘導機構とEBウイルス陽性胃癌

 DNAメチル化は癌抑制遺伝子を不活化する主要なメカニズムです。旧来は制限酵素を用いた限定的なゲノム解析で、いち早く胃癌のDNAメチル化標的遺伝子の大量同定や胃癌癌抑制遺伝子を報告しました(図A)。近年は、アレイなどを用いた網羅的なメチル化解析により、階層的クラスタリングによる癌分類が可能です。最も顕著に異常メチル化を認める超高メチル化胃癌は全てEBウイルス陽性胃癌です(図B)。EBウイルスを低メチル化胃癌細胞株に感染させることにより、EBウイルスが新規異常メチル化を誘導し遺伝子発現をサイレンシングさせることを証明しました。

図.胃癌のエピジェノタイプとEBウイルス感染


 EBウイルスが胃上皮細胞に異常メチル化を誘導する分子機構にTET2発現低下が関与します。BARF0, LMP2AなどのEBウイルスゲノムから発現する因子、あるいは感染後に発現上昇するTET2を標的とするヒトmiRNAなどのホスト因子、によりTET2はmRNAレベルでも蛋白レベルでも顕著に発現低下します。TET2のヒドロキシメチル化標的領域は、EBウイルス感染後のDNA異常メチル化誘導領域と非常によく合致し、またTET2ノックダウン下にEBウイルスを感染するとそれまでメチル化しなかった領域までメチル化誘導が起きます。しかしTET2ノックダウン単独ではメチル化誘導は起きないことから、EBウイルス感染時には何等かのメチル化誘導機構が別に存在し、それに対するメチル化抵抗因子としてTET2は機能し、その発現低下が新規メチル化獲得に関与することを示唆します。

図.TET2発現低下による新規DNAメチル化獲得