研究テーマ
 現在、不整脈薬物療法の対象は心房細動と致死的な心室性不整脈に絞られつつある。そこで、これらの不整脈を予防・治療をする上で最も有効な薬物、 特にK+チャネル遮断薬を中心にその作用機構を解析すると共に、副作用が少なく、かつ有効性の高い抗不整脈薬の探索を行っている。 また、最近心電図において、QT時間を延長して重篤な不整脈をおこす消化器作用薬、抗アレルギー薬等が多く存在する事が明らかとなり問題となってきている。 そこで、創薬の早い段階で副作用発現の可能性をいかに回避するかについての電気薬理学的手法を用いた検討を行っている。また、ATP感受性K+ チャネルの各種臓器における病態生理学的役割を解明するために、遺伝子改変動物を用いた機能的研究を精力的に行っている。さらに、種々の内因性物質 や薬物による心筋保護機構の解析も行っており、新たな虚血心筋保護薬開発を試みているところである。これらの研究には、パッチクランプ法、微小電極法 といった電気生理学的研究法、摘出心臓を用いたin vitroモデルやin vivoモデルでの薬理学的研究法、チャネルクローンの強制発現、遺伝子 やタンパク質発現の変動を解析する分子生物学的研究法、単離細胞での光学的研究法等を駆使している。
 一方、より効果的な薬物、副作用の少ない薬物、そして新たな薬効の発見・開発のためには、薬物が引き起こしている作用を分子レベルで理解していくこと も重要である。例えば、ニトログリセリンは狭心症治療薬として使われてきたが、その作用機序は冠血管拡張作用であり、ニトログリセリンから産生された 一酸化窒素(NO)が細胞内のサイクリックGMP濃度を上昇させることにより血管拡張作用を導いているのである。また、NOはタンパク質の翻訳後修飾(S-ニトロシル化 反応)を引き起こし、膜受容体から核内転写まで幅広いシグナル伝達経路の制御に関わっていることが明らかになってきた。そこで、細胞膜上の受容体やチャ ネルを介して細胞内へ伝わった情報が核での転写制御へ至る経路上において、S-ニトロシル化修飾によってどのような影響(制御)を受けているのか、さらには それらの制御系の破綻が疾患とどのように関わっているのかについて明らかにしていくことを目的とした研究を展開している。これらの研究のために、分子生物学 や細胞生物学、レドックス生物学など様々な分野の手技や手法を駆使している。
※ 不整脈と心電図については
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  •  代表的な研究テーマ
    1. 遺伝子改変動物を用いたイオンチャネルの機能解析
    2. 心筋保護薬の作用機構の解析
    3. 一酸化窒素(NO)によるタンパク質翻訳後修飾(S-Nitrosylation)とシグナル伝達制御
    4. NOによる細胞間情報伝達機構の解明
    5. 心不全および心虚血に伴う不整脈の病態生理学的研究
    6. 抗不整脈薬の電気薬理学的研究
    7. 心筋イオンチャネルの受容体制御に関する研究
     キーワード
    イオンチャネル・電気生理学・不整脈・QT延長・心房細動・ATP感受性Kチャネル・一酸化窒素(NO)・S-ニトロシル化・シグナル伝達・虚血・心筋保護
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