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平成26年 千葉大学泌尿器科入局
私は平成26年に千葉大学泌尿器科へ入局しました。
このページを見ている方は「泌尿器科」に興味を持っている方が多いのではと思いますが、私のイメージからお話したいと思います。
まず、学生の頃は、自分が「泌尿器科」医になるとは全く思っていませんでした。
なぜなら、男性の疾患が多いと思っていたからです。
ただ、実習の際に、膀胱全摘除と腸管による尿路変向の説明を聞いて、「ダイナミックな科だな」と思ったのが印象に残っています。
その後研修してみると、疾患は多岐にわたり、女性患者さんが多いことを実感しました。
そして、「診断から治療まで」を自らで行うことができることに魅力を感じ、当科を選択しました。
高齢化に伴い、高齢者の排尿障害や、尿路結石、腫瘍性疾患の患者数は増加していますし、小児から成人まで幅広い年代の患者さんが様々な主訴で当科を受診されます。
実際、「女性」であるために泌尿器科研修で困ることはあまりありません。
2010年に378人だった日本泌尿器科学会女性会員数は、2020年に715人にまで増え、泌尿器科女性医師は増加しています。
千葉大学泌尿器科は歴史的にも女性の先輩方が多く、様々な働き方をされています。
私はほんの一例ですが、大学院に進学して臨床研究や病理診断などを学ぶ機会をいただきました。
先輩、同期、後輩に助けてもらい、先生方には勤務先や休日勤務の調整など様々なご配慮をいただきながら、大学院1年目に専門医資格を取得、第1子を出産し、出産と子育てをしながら、新たに泌尿器病理の勉強をしています。
臨床ではなかなか学ぶ機会の少ない泌尿器病理について勉強しながら、泌尿器科の実臨床の経験と繋げるよう心がけています。
泌尿器科女性医師数が増加している今、どのように働く(勉強する)のか、生活との両立はできるのか、を考えることも重要だと思っています。
「泌尿器科」は魅力的な科です。
これからの泌尿器科を担う皆さんに、一人の医師として、生活と勉強を両立して更なる泌尿器科の発展を目指してもらいたいと願っています。
同期全員がお世話になった国立千葉医療センター 一色先生と。
左から善当先生、安藤先生、藤本、一色先生、金坂先生、竹下先生、若井先生
平成15年 千葉大学卒業
現在 関連病院にて勤務中
泌尿器科を目指す女性の方々へ
私は平成15年に千葉大学泌尿器科へ入局しました。
その後の医師としてのあゆみはあまり典型的ではありません。
泌尿器科を目指そうと考えている女性の方に、ひとつのケースとして参考にしていただければと思います。
私は大学卒業と同時期に結婚し泌尿器科入局直後に第一子を妊娠し、周囲の先生方の温かい御配慮により冬には無事出産することができました。
平成16年度から19年度は大学院へ進学、基礎研究をして学位を取得しました。
外来診療にて泌尿器科臨床を勉強することもできました。
またこの間に第二子に恵まれました。
その後平成20年度から現在に至るまで社会保険船橋中央病院にて臨床研修をしております。
夫は多忙で日々の育児参加や家事は困難、実家も遠く親の手助けもなかなか得られないため、時間にかなりの制限を受けながら勤務スケジュールを組み立てなくてはなりませんでした。
しかし千葉大泌尿器科ではこのような環境下でも必要な研修・研鑽が継続できるように、教授や人事係の先生方が勤務先の選定、交渉などにより適切な勤務環境を整えてくださいました。
実際、現勤務先の上司も理解深く、様々な面で御配慮いただき御迷惑をおかけしながらも、充実して勤務をさせていただいております。
泌尿器科には「女性泌尿器科」や「女性尿失禁外来」など女性に特有な側面があります。
大学の講義などではあまり強調されることはないと思いますが、実際の臨床の現場では女性泌尿器科のニーズはとても高く、女性として泌尿器科学を継続することの社会的重要性を日々実感しております。
泌尿器科を目指そうかなと迷ってらっしゃる女性の方がいらっしゃりましたらいつでもご連絡ください。
不安や疑問が少しでも解消されるようご相談させていただきます。
多くの女性の方に入局いただき、皆様とともに勉強ができることを願っています。
平成16年 山形大学医学部卒業
関連病院を経て 平成21年 千葉大学大学院へ入学
泌尿器科を目指す女性へ
泌尿器科のイメージというと、ほとんどが男性患者さん・医師も男性ばかりで扱う疾患も女性にとって抵抗があるものが多い…など、あまりプラスの要素がなく、専門科を選ぶにあたりまったく視野に入れない方も多いと思います。
しかし、実際に泌尿器科で扱う疾患は腎臓・尿管・膀胱・前立腺・尿道・副腎など多岐にわたっています。
一般診療では腫瘍、腎盂・膀胱炎、結石、排尿障害を診る機会が多いです。
そして基本的には「外科」です。
女性患者さんもかなりの割合でいらっしゃいます。
性感染症や包茎の患者さんももちろんいますが、3年間の泌尿器研修の中で女医だからといって診療に支障がでることはほとんどありませんでした。
さらに近年は女性の排尿障害(尿失禁・過活動膀胱など)に注目があつまっており、薬物療法や手術療法による治療も盛んに行われるようになりました。
こういった疾患の診療に際しては女医を希望される患者さんが多く、病院によっては「女性外来」といって女医が女性特有の疾患を専門に診察する外来を設けています。
女性泌尿器科医の数は増加しているものの、こういったニーズが大きく全体としてはまだまだ不足しています。
よって女性泌尿器科医を増やそうと「女性泌尿器の会」が発足し、学会でも盛んに話し合いがもたれています。
しかし、私は正直「女性」泌尿器科医を意識する必要はないと考えています。
大事なことは泌尿器科疾患に興味を持ち、一医師として真摯に患者さんの診療に当たる姿勢を持つことであり、そういった方であればきっと泌尿器科を選んでよかったと感じることができると思いますので、是非当科の門を叩いてください。