留学寄稿

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ドイツ留学:ボン大学

杉浦淳史(ストラクチャーラボ)

私は2018年4月よりドイツのボンにあるUniversitätsklinikum Bonn(ボン大学病院)に留学しております。買ったばかりの中古車がアウトバーンで停まってレッカーされたり、家族のために必死に浴槽付きの賃貸を探したのに実際は100リットルまでしかお湯が出ないなど毎日のように増えるネタ話は置いといて、僭越ながら私の留学の紹介をさせて頂きたいと存じます。

ボン(Bonn)は、ドイツで19番目に大きい都市で、人口30万人程度の小さな都市です。その一方、旧西ドイツの首都であり、現在も首都機能を分担している他、多くの国連機関が設置されています。

ボン大学病院

Hybridカテ室で働く同僚たちと

ボン大学病院は、近藤祐介先生が2013年から同病院のRhythm部門に留学されていました。近藤先生に言葉巧みに感化されボン大学に施設見学に行き、交渉を続け留学に至りました。私が留学している構造的心疾患インターベンションの領域においては特に、世界をリードする病院の一つです。僧帽弁閉鎖不全症に関しては日本でも4月からMitraClipを使用したカテーテル治療が使用可能になっています。ドイツでは複数のデバイスが保険使用可能となっており、Bonn大学病院でも大体年間100例前後の同治療が行われています。また、三尖弁閉鎖不全症のカテーテルインターベンションに関してはかなり先進的に行なっています。

リサーチフェローとしての働き方

今現在は治療手技を見学しつつ、合間にリサーチフェローとして働いています。少なくともここ数年はフェローはおらず、私達(私の他に熊本大から来た先生がいます)が来た時には僧帽弁・三尖弁インターベンション治療に関する自施設のデータベースがなかったため、電子カルテを見て自分達で作成し、電話調査が必要な症例はドイツ人の同僚に依頼しました。今はそれを使用して解析を行い論文化する作業を行なっています。Studyのデザインを自分達で話して決め、解析してFigureを元に同僚やProf.に相談して、論文にしてProf.に見てもらう、といった感じで日本で行なっている事と一緒です。これらの傍ら、TAVIの術前計測は全て私たちが行い、注意すべき点をpick upして上級医に説明し、具体的な治療方針を話しあうなどしています。スライド作りやreviewの仕事は丁寧かつ最速で行うなど、これらの自分のできることをしっかりやっています。一つひとつ仕事をきちんとやって結果を出していれば、徐々に信頼されてきてチャンスが回ってきやすくなると実感しています。

クリニカルフェローのための準備

クリスマスマーケットで家族と

私は2年目はクリニカルフェローとして働く予定としています。それは多くの治療手技に携わることで、より生きた経験を得られるからです。そのためにはドイツ医師免許(Approbation)を取得することが必要です。大まかに言うと、1)ドイツ語試験(B2-C1)を合格して、2)”書類”を保険局に提出して申請し、3)ドイツ医師会が主催する医師患者面接試験を合格する、という流れです。今自分は2)を行いながら3)の勉強をしている状況です。簡単ではない道のりで時間を要しますが、目標のために努力を続けていこうと思います。

苦労に次ぐ苦労? やはり語学とコミュニケーション

とまあ、文章にすると順調なように見えるから不思議です。が、実際は結構辛い、苦い思いをしましたし、今でも職場で言いたいことの半分も言えず、同僚達の早口のドイツ語に苦労していますし、そのせいでチャンスを逃したこともありました。毎日小さな努力を継続して、来年の今頃にはギャグを飛ばせるくらいになっていたいと思います。

最後に

私は目標をドイツ留学に定めたことで、自分には何が足りないのか、それを習得するためには何をするべきかが見えてきました。今はそれを乗り越えるために日々を過ごしています。そして帰国後、日本から、千葉大から世界へ新たな知見を発信するため、この留学での貴重な経験を存分に活かして研究を継続したいと思っています。

留学あるある、勝手にQ&A (あくまでも個人の意見として眺めてください)

Q. 海外で生活すれば語学力は自然と身につく?
A. そんなことはなく、日々ドイツ語の勉強も継続しております。

Q. ドイツでは日本人サイズの服は手に入らない?
A. 普通に売ってますが、XS〜Mってところだと思います。

Q. VISA申請に苦労する?
A. ドイツは渡航後に申請します。特別苦労はしませんでしたが銀行残高がちょっと少ないんじゃない?と指摘されて「日本にまだたくさんある」と言い逃れました。

Q. ドイツ人は日本人に似ている?
A. 距離感を縮めるのに時間を要する点で似ています。ただ、議論や主張はめっぽう強いですし、めったに謝りません。

Q. 留学してから最初の頃は、鬱々とすることがある?
A. すごいありました。やはり人々メンタリティの違いや言語的な問題で、コミュニケーションが上手くとれないことが大きな原因だと思いました。

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