臨床研究

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臓器移植後COVID-19レジストリ研究

2022/12/12

 本学では、医学系研究に協力して下さる方々(以下研究対象者)の利益と安全を守り、安心して研究に参加していただくように心がけております。こちらに記載されている研究については、研究・診療等により収集・保存された既存試料・情報を用いる研究で、直接研究対象者からインフォームド・コンセントを取得することが困難であるため、情報公開をさせていただいております。
 こちらの文書は研究対象者の皆様に、情報公開をするとともに、可能な限り研究参加を拒否または同意撤回の機会を保障する為のものになります。
 なお、研究参加を拒否または同意撤回されても一切の不利益はないことを明記させていただきます。

研究課題名

「日本の臓器移植患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の実態把握のための多施設共同レジストリ研究」

本研究の実施体制

研究代表者
熊本大学大学院生命科学研究部 小児外科学・移植外科学分野 教授 日比泰造(研究統括)

研究分担者
熊本大学病院 移植医療センター 助教 嶋田圭太(データ集積・管理・解析)
東京女子医科大学 消化器外科 教授 江川裕人(データ解析、研究成果報告)
国立病院機構水戸医療センター 臨床研究部 部長 湯沢賢治(データ解析、研究成果報告)
マイアミ大学 感染症科 助教 名取洋一郎(データ解析)
京都府立大学 移植外科 医員 吉川美喜子(データ集積・データ解析)
熊本赤十字病院 第一外科 副部長 山永成美(データ集積・データ管理・データ解析、研究成果報告)

協力施設
協力施設の一覧は、別紙のPDFファイルをご確認ください。
協力施設(別紙)

本研究の目的及び意義

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)はSARS-CoV-2ウイルスにより引き起こされ、2019年末の中国・武漢での最初の報告後、瞬く間に世界中に拡散し、2021年12月19日現在、世界中で273,668,314人が感染し、そのうち約2.0%が死亡する極めて致死率の高い新興感染症となっています。主に発熱、呼吸器症状により発症し、日本においても1,728,701人がこれまでに感染、約1.6%が重症の肺炎を発症し、約1.0%の方が死亡されています。パンデミックから2年が経過し、ワクチンや治療薬、支持療法が確立してきましたが、変異株などの影響で未だ収束の目途が立っていないのが現状です。

COVID-19の重症化因子として、高齢者、肺・腎臓・心臓など基礎疾患のある患者、肥満、喫煙などが挙げられていますが、なかでも臓器移植を受けられた方は免疫抑制剤の影響から、入院が必要となる割合が一般人と比較して高いと言われています。また、日本における移植の状況は諸外国と大きく異なり、生体移植が多く、大多数が同一人種間の移植であり、更に国民皆保険制度を含めた医療社会的背景により、生着率及び生存率は極めて良好となっています。そのため、日本における臓器移植患者のCOID-19に関わるリスクは諸外国と大きく異なる可能性があるため、長期的な追跡による実態調査により、本邦で臓器移植後にCOVID-19に罹患された患者さんが受けた治療の実際、予後、後遺症などを把握し、COVID-19の診療ならびに今後の新興感染症対策に活かすことができます。

研究の方法

2020年から2022年3月末までの間にCOVID-19に罹患された臓器移植後の患者様を対象としています。各協力施設において、すでに記載されている診療録から必要な臨床データや検査結果データを抽出し、研究分担者の山永成美(熊本赤十字病院)、嶋田圭太(熊本大学病院)、が統計的に解析を行います。研究成果は学会や論文の形で報告します。

研究期間

承認日~2023年3月31日

試料・情報の取得期間

承認日~2023年3月31日

研究に利用する試料・情報

診療録に記載されたデータを収集します。項目は以下のものになります。

【患者基本情報】
移植臓器、移植施設名、治療施設名、COVID-19感染回数、上記で選択した移植臓器の外来通院移植後患者総数、年齢、性別、移植年月日、身長、体重、喫煙、治療中の糖尿病、高血圧、慢性肺疾患 (肺移植後を除く)、心血管疾患、慢性肝疾患、慢性腎疾患(腎移植後を除く)、脳血管疾患、悪性新生物、悪性新生物の種類と経過、レシピエントのHLA タイピング (2桁):、ドナーの種類、3カ月以内の拒絶反応既往、最終の拒絶反応診断日、拒絶反応治療の概要。

【COVID-19診断時所見】
COVID-19発症日、COVID-19診断日、診断時の症状、肺炎像、COVID-19ワクチン接種の有無、(ワクチン有の場合)COVID-19ワクチンの種類、ワクチン回数、ワクチン最終接種日。

【COVID-19診断時の免疫抑制剤】
カルシニューリンインヒビターの有無・種類、カルシニューリンインヒビターの1日服用量,カルシニューリンインヒビター調整 (減量後中止の場合は中止)、代謝拮抗剤の有無・種類、1日服用量、代謝拮抗剤調整 (減量中止の場合は中止)、mTOR阻害剤の有無・種類、mTOR阻害剤の1日服用量、ステロイドの有無、(ステロイドある場合)ステロイドの量、6カ月以内のRituximab使用の有無、3ヶ月以内のサイモグロブリン使用の有無。

【COVID-19入院後経過】
入院の有無、入院日、退院日、肺炎像の有無、酸素投与の有無・開始日、呼吸補助機器の使用の有無・種類、集中治療室使用の有無、期間、人工呼吸器管理の有無、期間、ECMOの有無、治療薬の有無・種類、回復者血漿の有無、抗血栓療法の有無・種類、二次感染の有無、急性腎障害の有無、COVID-19による一時的な血液透析の有無、心イベントの有無、脳血管イベントの有無、深部静脈血栓症/肺塞栓の有無、(腎・膵・小腸の場合)グラフトロスの有無、グラフトロス日、転帰、死因。

【2020年2月以降の移植症例の場合】 術前SARS-CoV-2検査、術前CTの有無、術前隔離期間の設定の有無、退院後の行動制限の有無。

【COVID-19後遺症】 COVID-19後遺症の有無、COVID-19後遺症診断日。

【その他】 拒絶反応の有無、拒絶反応診断日、COVID-19後の抗HLA抗体スクリーニング陽転化(ドナー特異的抗体/非ドナー特異的抗体を含む)の有無、抗HLA抗体陽転化の経過について、COVID-19後の臓器機能、社会復帰の有無。

各施設より収集されたデータは、研究責任者である嶋田圭太がパスワードをつけたファイルを熊本大学 小児外科・移植外科医局内の施錠可能な部屋のパソコンに保存します。研究終了後5年間は保存し、保存期間後は個人が同定できないデータであることを確認した上で消去します。

個人情報の取り扱い

患者は、個人情報とは無関係の研究番号を割り付けて取り扱います。対応表は各施設で作成し、各施設の研究責任者が管理し、パスワードつけたファイルもしくは原簿として、各施設の鍵のかかった部屋に厳重に保管します。各施設のデータは、個人情報を含まない状態で集積し、パスワードをつけたファイルとして熊本大学 小児外科・移植外科医局の施錠可能な部屋のパソコンに保存します。各施設から収集された個人情報を外部機関へ提供することはありません。成果を報告する場合は、患者様の個人が識別されない形であることを確認して行います。

研究成果に関する情報の開示・報告・閲覧の方法

ご要望があれば、患者様とそのご家族が読まれる場合に限り、他の患者様の個人情報及び知的財産の保護等に支障がない範囲内において、研究成果をご覧いただけます。下記担当者まで御連絡ください。

利益相反について

本研究は、国から交付された研究費によって行われる予定です。本研究に携わる全研究者は費用を公正に使った研究を行い、本研究の公正さに影響を及ぼすような利害関係はありません。

本研究参加へのお断りの申し出について

この研究に、御自分の診療録データを使用してほしくないと思われる場合は、その旨下記の対応窓口までお申し出ください。それまでに収集されたデータを一切使わないようにすることができます。その場合でも、通常の診療などで不利益を受けることは全くありません。上記の期間中であればいつでもお断りいただけますが、お断りの申し出の時点ですでに論文などに発表されている解析結果は廃棄することができません。

 

■本研究に関する問い合わせ

各施設の研究責任者:松宮 護郎
各施設の問い合わせ担当医師:渡邉 倫子
協力研究施設名 所属名 千葉大学医学部附属病院 心臓血管外科
 <協力研究施設の連絡先>
 〒260-8677 住所 千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1
 電話 043-222-7171

■研究代表施設

担当医師:嶋田 圭太
熊本大学病院 移植医療センター(小児外科・移植外科)
 <連絡先>
 〒860-8556 熊本県熊本市中央区本荘1丁目1-1
 電話 096-373-5616、FAX 096-373-5783