千葉大学大学院医学研究院
腎臓内科学
千葉大学病院
腎臓内科
慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD) の原因精査を行い、治療方針を決定します。半月体形成性腎炎、薬剤性腎障害、術後腎障害などの急性腎障害(Acute kidney injury:AKI)にも同様に対応しています。
すでに腎機能が低下している場合でも、腎不全への進行を抑制すべく、食事療法、生活指導、薬物療法などによる腎保護を積極的に行います。それでも腎不全が進行してしまった際には、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植など)の選択を行い、その準備を行っていきます。かかりつけ医師との二人主治医制で安心安全な医療を提供します。
また、様々な電解質異常に対しても他診療科からのコンサルトを中心に診療しています。
〇慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、ネフローゼ症候群:尿検査、血液検査、画像診断に加え腎生検による組織診断により診断を確定し、その病態に最も適した治療法を選択します。すでに腎不全が進行した方に対しては慢性腎不全の治療方針に準じて保存療法を行います。
〇糖尿病性腎症、高血圧性腎障害:糖尿病代謝内分泌内科と協力して、食事療法、降圧剤などによる腎保護を積極的に行い、腎機能の保持に務めます。また、糖尿病や高血圧による腎障害以外の要因が隠れていないかの精査も行います。
〇血管炎や膠原病に伴う腎疾患(ループス腎炎など):腎生検による組織診断を行い、当院アレルギー・膠原病内科と相談し治療を行っていきます。
〇多発性のう胞腎:尿検査、血液検査、画像診断によるのう胞の評価や合併症の検索を行うほか、のう胞の増大を抑制する治療の適応も検討します。
〇遺伝性腎疾患(アルポート症候群、Fabry病など):各種検査を行い診断・治療を行います。場合によっては、遺伝子診療部をご紹介して遺伝子検査や遺伝子カウンセリングを行なっていただきます。
〇遺伝性血管浮腫(Hereditary angioedema:HAE):血管性浮腫や腹痛をきたす遺伝性疾患です。専門の医師による診断・治療を行います。
腎生検は蛋白尿や血尿、腎機能障害の原因を検索し診断する上で非常に重要な検査です。背中から腎臓に向けて針を刺し、腎臓の組織を一部採取します。当科では超音波ガイド下で腎生検を行っています。通常5~7日の入院を要します。
腎代替療法には、血液透析・腹膜透析・腎臓移植があります。
治療の選択・意思決定にあたっては、患者さんの価値観や生活に大きな影響を与えるため、医学的な判断だけでなく、医療者と患者が一緒に考える「Shared Decision Making (SDM)」を実践しております。そのため当科では、腎代替療法選択のための専門外来(紹介制・予約制)を行っています。
血液透析(Hemodialysis:HD)、腹膜透析(Peritonealdialysis:PD)の導入を行っています。
HDを選択した方は、事前にシャント手術を行います。
PDの場合には、腹膜透析用カテーテル挿入術を食道胃腸外科の医師と行います。
いずれの場合も、看護師・栄養士と共に導入期指導を行い、退院後の透析がスムーズに行えるよう通院透析の調整を行います。
*血液透析を含めた血液浄化療法に関しては、人工腎臓部ホームページをご参照ください。
腎機能が悪くなり血液透析が必要になった場合は、透析用の血管を手術で作成します。手術は通常局所麻酔で行い、腕の皮膚を切開して静脈を露出した後、両者に一部切開を加えて吻合します。動脈の血流を静脈に十流すことで静脈に十分な血液が流れて太くなり透析が出来るようになります。この血管をシャントといいます。シャントの作成が不適な場合には、動脈表在化術を行います。
当科では、救急科とともにこれらの手術を行っています。
生体腎移植や献腎移植を希望される方は、当院の移植外来(食道胃腸外科)をご紹介します。腎臓移植によるメリットや移植手術・免疫抑制剤の内服などによる合併症のリスク、必要な術前検査、移植手術、術後の管理、治療に関わる費用などについて相談することができます。
外来診療については千葉大学附属病院腎臓内科ホームページをご覧ください。