トピックス

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トピックス2014年

2014年12月19日

第7回千葉県小児救命集中治療研究会を開催しました。

2014年12月13日(土)に当科の吉田が幹事となり、第7回千葉県小児救命集中治療研究会を千葉・京葉銀行プラザで開催致しました。千葉県内の小児救急・集中治療を担う施設が持ち回りで開催していますが、小児外科が開催するのは今回が初めてで、小児の外科系救急の最大の課題とも言える「外傷」をテーマに設定しました。

当科からは柴田が「当院における胸腹部外傷の現状について」というタイトルで、外傷患者がどこから・どのように・どのくらいの重症度で搬送されてくるのか?またどんな転機を辿っているのか?ということの概要を発表しました。

12施設からもの発表があり、活発な議論がされておりましたが、今回の研究会でようやく千葉県内の現状把握ができたような段階で、まだまだ小児外傷医療の課題は山積している状態です。今後、もう一歩進んだ議論をするためにも、データベースの蓄積や情報の共有化が進めばと思います。

懇親会では各施設の方々とお話する機会がありました。どこも質の高い小児救急医療を提供している施設でもあり、とても刺激になりました。二次会"以降"は千葉大救急部・松戸小児科・順天浦安小児救急部のチームと千葉の街へ繰り出し、熱い熱い夜となりました。こういった研究会・懇親会を通して医療者同士の輪を拡げ、"救命の連鎖"が大きくなればと思います。

(柴田涼平)

2014年12月15日

第38回千葉大学大学院小児外科学講座例会を開催しました。

2014年12月6日(土)に、恒例の教室例会を開催しました。本年度は例年使用している病院講堂が改装工事で使用できないため、医学部本館で行いました。千葉大学医学部本館は昭和11年に建築された建物です。古くて使い勝手がいいとはいえませんが、あらためて写真でみると、重厚で千葉医学の歴史を感じさせる良い建物です。

例会は、新入医局員がはじめて学会形式で発表する場であり、また大学院生やスタッフが、一年の研究成果を発表する場です。その準備には大変な労力を要しますが、乗り越えると小児外科チームとしての結束が更に強くなる気がします。勝俣先生、川口先生、吉澤先生、忙しい業務の間の準備、お疲れ様でした。大変良い発表でした。

今年は35題の発表がありました。最年少は今年の新入医局員ですが、最年長は広島市民病院小児外科部長の秋山卓士先生(昭和55年卒)でした。新人のフレッシュな発表がほほえましかったり、大先輩の発表に小児外科医としての理想をみたりと、大変有意義な一日でした。なお秋山先生は来年、第42回日本小児栄養消化器肝臓学会を2015年10月16日(金)~18日(日)の日程で広島で開催されます。千葉大学小児外科同門として応援するとともに、盛会となりますよう祈念いたします。

2014年11月10日

第30回日本小児外科学会秋季シンポジウムに参加しました。

2014年10月30日から11月1日の3日間、PSJM 2014と第30回日本小児外科学会秋季シンポジウムが淡路島の兵庫県立淡路夢舞台国際会議場で開催されました。PSJM(Pediatric Surgery Joint Meeting)は日本小児内視鏡外科・手術手技研究会、日本小児外科代謝研究会、直腸肛門奇形研究会、日本小児外科漢方研究会の4つの研究会が同時開催される場で、翌日の秋季シンポジウムと併せて小児外科の秋の重要な学術集会となります。

当科からは中田が直腸肛門奇形研究会で肛門狭窄症の治療について、三瀬が日本小児外科代謝研究会で小児の膵・胆道疾患における経鼻十二指腸・空腸チューブを用いた早期経腸栄養の有用性について、照井が同じく日本小児外科代謝研究会で長期中心静脈栄養患者における鉄過剰についてそれぞれ報告しました。また今回の秋季シンポジウムは「小児外科と倫理」がテーマとなっており、光永が出生直後の新生児に膜型人工肺を用いた治療を行う際の倫理課題について報告しました。春の学術集会とは異なってテーマが固定されているため、それぞれの会場ではとてもコアな議論が展開されます。質問をするのももちろんですが、聞いているだけでも大変勉強になります。

今回参加して特に印象に残ったのは、当科同門の先輩である松永クリニックの松永正訓先生が、障害胎児の人工妊娠中絶の倫理というテーマで発表されたことです。非常に重いテーマですが、我々小児外科医が正面から向き合う必要のある重要なテーマでもあります。なお、松永先生が関連する内容で最近執筆された本は、2013年度第20回小学館ノンフィクション大賞の大賞を受賞されています。

神戸空港と会場を往復する日程で観光をする余裕はありませんでしたが、一日目の夜は同門の先生方と食事会をして少しだけ息抜きをしました。淡路島は山海の幸が豊富なところで、どれもこれも大変おいしかったです。

(光永哲也)

鯛の宝楽焼

2014年11月10日

第25回日本小児呼吸器外科研究会を開催しました。

2014年10月25日に、当科の吉田を会長として、第25回日本小児呼吸器外科研究会を、秋葉原コンベンションセンターにて開催しました。この研究会は日本小児呼吸器学会とほぼ隔年で合同開催されており、今回は東京女子医科大学東医療センター新生児科の長谷川久弥先生を会長に開催された、第47回日本小児呼吸器学会と合同で準備させていただきました。

当科からは、光永が「胎児診断された先天性嚢胞性肺疾患の臨床像について」というタイトルで、近年胎児診断技術の向上によって出生前に診断される例が増えた、先天的な肺の嚢胞性病変の適切な管理と治療方針について報告しました。また同じく大野が、先天性横隔膜ヘルニアという新生児期に集中的な呼吸管理が必要な疾患の、晩期合併症について報告しました。

合同開催の良いところは、小児外科医だけでなく、他の診療科の医師や医療従事者と、垣根を越えた議論ができることです。小児科医や病理医、理学療法士とは日頃一緒に診療にあたっていますが、改まった場で議論すると、またいろいろな視点から物事が見えてきます。多職種での活発な討論をとおし、診断や治療、管理上の注意点や工夫などの理解を深めることができました。

当日は多くの方々にご参加をいただき、大変ありがとうございました。秋葉原のカオスを含めて、有意義な一日として記憶いただけたら幸いです。また本研究会の開催にあたり、日本小児呼吸器学会会長の長谷川先生、小児呼吸器外科研究会事務局、慶応大学小児外科の黒田先生には大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。

2014年11月5日

第49回日本小児外科学会関東甲信越地方会に参加しました。

2014年10月11日(土)に第49回日本小児外科学会関東甲信越地方会、通称関甲信が、千葉県こども病院外科、岩井潤先生を会長として千葉市内で開催されました。なお、岩井潤先生は千葉大学小児外科の大先輩で、同門会の会長でもあり、日頃より大変お世話になっております。

この関甲信は伝統的に若手の発表が多い学会で、千葉大からは笈田が発表してきてました。各施設からもやはり若手小児外科医が多く発表しており、同年代の医師の同じように発表しているのをみて、良い刺激を受けることができました。内容としても、症例報告や、身近な疾患に関するものなど、比較的取っ付き易いものが多かったように思います。全体に大変勉強になった会でした。

また、今回は主幹が千葉県こども病院ということで、千葉大からも運営のお手伝いをさせて頂きました。(といっても笈田は申し訳ないことに、発表のため免除して頂いていました。すみません。。。)そのため学会後は医局の人間が大勢集まる打ち上げが開催され、普段あまり話せない方々や、小児外科を考えてくれている研修医の先生方ともお話をすることができ、大変楽しい時間を過ごすことができました。

まさに朝から晩まで有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました。

(笈田 諭)

2014年10月22日

医局旅行2014

2014年10月4日、5日に医局旅行を開催しました。当科の医師、病棟看護師やその家族、総勢26名に参加いただきました。

今年は近場で楽しめるところということで、千葉県内、主に南房総の周遊バスツアーを企画しました。1日目は白子町で特産品を使ったブイヤベース食べ、市原ぞうの国でぞうさんショーを見て、その後温州みかん狩りを行いました。宿に到着後は、新人ナースや新入局員が宴会で楽しい芸を披露してくれました。2日目は台風が接近するなか、房州海老祭りに参加して伊勢海老を味わい、9月にリニューアルオープンしたアロハガーデン館山(旧南房パラダイス)で南国の植物に触れ、最後は富津の名物であるはかりめ(穴子)丼を堪能しました。

なんだか食い倒れ紀行になってしまいましたが、旅行の企画中は今までになく千葉県内の名所や特産を調べたので、新発見も多く貴重な機会となりました。2日間日常から離れたことで、英気を養い、さらに親睦を深められた・・・でしょうか。参加された方々にも満足いただけたなら幸いです。

(三瀬)

2014年8月5日

ANR2014に参加しました。

2014年5月13日から16日の4日間、ドイツのケルンでANR (Advances in Neuroblastoma Research)2014 が開催されました。

ANRは小児の神経芽腫について、基礎研究から臨床まで様々な分野の医師や研究者が世界各地から集まって行われる研究会です。当科からは三瀬が、"Investigation of ADCC enhancement by NKT cell toward neuroblastoma" というタイトルで、ナチュラルキラー細胞というリンパ球を用いた神経芽腫の免疫療法について発表しました。世界でどのような臨床試験がすすんでいるのか、次世代の治療にむけどんな基礎研究が行われているのか知ることができ、大変刺激になりました。

(三瀬直子)

2014年8月4日

第50回日本周産期新生児医学会学術集会に参加しました。

2014年7月13日~15日の3日間、ディズニーランドそばのシェラトン・グランデ・トキョーベイ・ホテルで開催された日本周産期新生児医学会・第50回学術集会に参加しました。

当科からは小林が倫理委員会シンポジウム「出生前診断におけるカウンセリング―こんな場合どうすればよいか?―」に於いて、「新生児外科疾患を合併した染色異常症の治療」という演題で口演させて頂きました。ご高名な先生方に囲まれて大変緊張でしたが、総合討論まで含めると2時間にも及んだセッションは大変勉強になりました。とても難しいテーマでしたが、様々な先生方の熱の込もったお話を聞くことができ、皆こどもや両親を想って信念を持って診療されている事を改めて感じました。

この貴重な経験を是非これからの診療に反映させ、深みを持ってこどもたちや両親と接していけたらと思いました。また、口演に当たりご協力いただきました当院産科、小児科の先生方には重ね重ね感謝を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。

(小林真史)

2014年7月29日

第106回関連病院カンファレンスを開催しました。

2014年7月25日(金)に第106回関連病院カンファレンスを開催しました。当日は医局員に加え、小児外科志望の若手医師や研修医、学生、県内の小児外科施設からなど30名以上の参加があり、大変盛況な会となりました。テーマは図らずも腸重積症となり、活発に意見交換を行いました。腸重積症は小児外科の日常診療ではとても一般的な疾患ですが、多彩な臨床像を示す場合があり、各施設の経験を共有することで診療のレベルアップにつながったと感じます。

会のあとは有志で懇親会を開催しましたが、学外から参加してくれた若手も多く、千葉大学小児外科の雰囲気を十分に感じてもらうことができたと思います。来年の4月に、同じ仲間として仕事ができたら大変うれしいです。

2014年6月27日

EUPSA2014に参加しました。

ダブリンで行われたEuropean Paediatric Surgeons' Association (EUPSA) 2014に参加してきました。

PAPSとはまた雰囲気がかなり異なっており、レクリエーションは全くなく、朝から夕までレベルの高い学術発表が満載でした。また教育的なSessionが充実しており、大変勉強になりました。僕は日本の横隔膜ヘルニアスタディグループによる多施設共同研究の結果を発表してきました。

この時期のダブリンは気候も良く、とても気持ちの良い滞在でした。旅慣れた方には当たり前なのかもしれませんが、21時を過ぎても日が高く、明るいので不思議な気分でした。また、念願の黒ビールとアイリッシュウィスキー三昧で至福の時を過ごしました。十二時間フライト+乗り継ぎはしんどかったですが、それを上回る貴重な体験をさせていただきました。

(照井慶太)

2014年6月24日

第112回東京小児外科研究会に参加しました。

2014年6月17日(火)に東京ステーションコンファレンスにて第112回東京小児外科研究会が開催されました。

『十二指腸以下の先天性腸閉鎖・狭窄症の問題点』を主題に、関東近辺の施設から20題近くの発表がありました。当科からは大野が、経験した症例の診断ピットフォールについて報告しました。先天性腸閉鎖・狭窄症はうまれつき腸(十二指腸・空腸・回腸・結腸)の一部が途切れている(腸閉鎖)または狭くなっている(腸狭窄)病気で、新生児で手術が必要な病気のなかでは比較的頻度が高いものです。しかしその病変のパターンや合併疾患は患者さんひとりひとりで異なります。他施設の様々な経験を共有できて大変勉強になりました。

(大野幸恵)

2014年6月2日

PAPS2014に参加しました。

2014年5月25~29日の5日間、カナダのバンフでUniversity of CalgaryのRobin Eccles先生をchairmanとしてThe 47th Annual Meeting of the Pacific Association of Pediatric Surgeons(PAPS2014)が開催されました。

PAPSはアメリカ、オーストラリア、中国、韓国、日本などの環太平洋諸国の小児外科医が集まり、小児外科に関する様々なテーマを議論する学会です。当科からは齋藤と光永が参加し、齋藤が"Systemic and local cytokine profile in biliary atresia"と"The significance of imaging modalities in surgery for pediatric choledochal cyst"というタイトルで2題、光永が"Risk Factors for Bowel Obstruction after Ladd Procedure"というタイトルで1題それぞれ発表をしてきました。国際学会は世界の最新情報を得ることができる場ですが、国内の学会とは全く違う視点からの発表も多いため、積極的にBrainstormingされる場でもあります。浮かんだアイデアが今後の臨床に少しでも役立てばいいなと思います。

バンフはカナディアンロッキーの麓にあるリゾート地です。スケールはちょっと違いますが、日本でいえばちょうど上高地のような趣でしょうか。会期の中日には、氷河を雪上車で走るという豪快なconference tourが設定されていました。個人的には、付近の山を少しトレッキングするチャンスがありました。10年前だったら、アイゼンを持ち込んでいたかもしれません。

(光永哲也)

2014年5月16日

第51回日本小児外科学会学術集会に参加しました。

2014年5月8日から10日までの3日間、関西医科大学小児外科の濱田吉則先生を会長として、第51回日本小児外科学会学術集会が大阪国際会議場で開催されました。

当科からは以下の布陣で発表を行いました。

【ワークショップ】膵・胆管合流異常をめぐる新知見

膵・胆管合流異常に対する術前・術中各種画像検査の意義(齋藤武)

【シンポジウム】先天性横隔膜ヘルニアの臨床と研究における今後の展望

先天性横隔膜ヘルニアにおける診療ガイドライン作成の意義と方法(照井慶太)

【要望演題】腸回転異常症

腸回転異常症術後の腸閉塞発症リスク(光永哲也)

【要望演題】小児外科の基礎研究

神経芽腫発症機構解明のためのALK F1174Lコンディショナル変異導入マウスの作製(大野幸恵)

【一般演題】

胆道閉鎖症における細胞性免疫環境の探索(齋藤武)
鎖肛術後粘膜脱手術症例の検討(中田光政)
一葉肺に対して胸腔鏡下肺下葉切除を施行したCCAMの1例(中田光政)
神経芽腫細胞に対するNKT細胞によるADCC増強効果の検討(三瀬直子)
当院における新生児外科疾患を合併した染色体異常例の臨床的検討(小林真史)
腸管神経が腸管恒常性を維持するためにはたす役割について(小原由紀子)

各会場ともに活発な議論が行われました。小児外科学の進歩に少しでも貢献できたでしょうか?

初日の夜には堂島で千葉大学小児外科の同門会(同窓会)を開き、昨年神戸大学の教授になられた榎本秀樹先生と、本年度北海道教育大学の教授になられた岡田忠雄先生をお祝いしました。お二人は教室員にとっては素敵なロールモデルです。今後の益々のご活躍を祈念するとともに、続々と後に続く者がでるように背中を押されたような気がしました。

2014年4月11日

勝俣善夫先生、川口雄之亮先生、吉澤比呂子先生が仲間に加わりました。

千葉大学小児外科は、4月1日に3名の新入医局員を迎えました。同じ志をもつ仲間が増えるのは大変うれしいことです。小児外科医としてのスタート、わくわくしますね。

【新入医局員御挨拶】

勝俣善夫(平成24年 信州大学卒)

この度小児外科に入局いたしました勝俣です。生まれは千葉市で以前より県内で働きたいと希望を抱いておりました。県内の小児医療に少しでも貢献できればと思っております。ご迷惑お掛けすることも多々あると思いますが、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

吉澤比呂子(平成24年 東邦大学卒)

4年を経てやっと千葉大小児外科の一員になることができ、とても嬉しく思います。私が"小児外科"という領域を初めて知ったのは、大学4年生の時でした。その後、小児外科のことを知るにつれ、小児外科医としてこどもたちの未来をつくっていきたいという気持ちでいっぱいになりました。まだまだ学ぶことは多く未熟ですが、初心を忘れず頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。

川口雄之亮(平成24年 千葉大学卒)

本年度より千葉大学小児外科に入局しました川口雄之亮です。2年間の初期研修を終え、母校での小児外科研修をさせていただくこととなりました。まだまだ未熟者で御迷惑かけることも多々あるかと思うますが、一生懸命努力をし、少しでも子供達の手助けをできるようになれればと思います。よろしくお願いします。

2014年4月8日

第114回日本外科学会定期学術集会に参加しました。

外科学会総会14 4月3日~5日の3日間、京都大学肝胆膵・移植外科の上本伸二先生を会頭として、第114回日本外科学会定期学術集会が、国立京都国際会館、グランドプリンスホテル京都で開催されました。外科学会総会は、我々外科医が参加する学会の中では国内で最も規模が大きいもので、循環器、呼吸器、消化器、救急、小児などの幅広い分野で発表と討論が行われます。すそ野が広いために若干総論的な内容となることは否めませんが、普段かかわる機会がない他の外科学領域の最新の知識を得ることができるチャンスでもあります。

当科からは私光永が「小児潰瘍性大腸炎に対する鏡視下大腸全摘術の功罪」という演題で、2000年代に入って臨床導入した腹腔鏡下大腸全摘術の治療成績について報告しました。この術式は、従来の開腹手術と比べて手術時間は長くかかりますが、出血量は大幅に少なく、術後の排便機能の回復も早いというメリットがあります。しかし合併症が少ないとはいえないため、今後も教室を挙げて手術技術の向上と手技の工夫に取り組んでいきます。

今回の学会のハイライトは、なんといってもiPS細胞の作製でノーベル賞を受賞された京都大学の山中伸弥教授の特別講演でした。内容はiPS細胞研究の現状と今後の臨床応用についての科学的なものでしたが、端々に先生の誠実な人柄とユーモアが織り込まれた大変すばらしいものでした。こんな素敵な大人になりたいと、恥ずかしながら思い入ってしまいました。講演中に山中先生はvisionの大切さを何度も強調されました。忙しい日常臨床の中ではなかなか長期的なvisionをもって仕事をするのは難しいですが、だからこその大切さをあらためて考えさせられました。

会期中の隙間時間には、京都大学の構内や銀閣寺、哲学の道を散歩してみました。京都はちょうど桜が満開であり、「beautiful !!!」としか言いようのない情景でした。日本に生まれて本当に良かったとしみじみ感じました。また最終日は早朝の清水寺に行ってきました。観光客がまだいない朝早くの清水の舞台はとてもすがすがしく、飛び降りる気にはなれませんが、新たな気分で明日から仕事をするエネルギーをもらいました。

(光永哲也)

2014年4月1日

第39回千葉東洋医学シンポジウムに参加しました。

2014年3月8日に、千葉東洋医学シンポジウムが千葉市内で開催されました。

『Disease orientedからPatient orientedの医療に向けて‐漢方専門医に学ぶ』をテーマとして、病院・診療所における漢方治療の実践についての報告や講演が企画されていました。当科からは大野が小児炎症性腸疾患に対する漢方治療について報告しました。炎症性腸疾患の漢方治療は確立しているとは言えませんが、病のみならず、病に伴う様々な副症状を改善する効果があります。専門家からも多くの質問があり、大変有意義な討論となりました。

個人的には、小児に対する漢方治療について各方面の先生方からお話を伺うことができ、大変勉強になりました。 当科では消化器症状や肛門周囲膿瘍に対する処方がメインですが、漢方薬は抗精神薬としても古くから使用されており、情緒安定作用を有する漢方薬も数多くあります。副作用がほとんどなく、身体機能の改善も期待できるとのことで、自分自身も内服しようかと思いました。

(大野幸恵 )

2014年3月3日

第29回日本静脈経腸栄養学会学術集会に参加しました。

2014年2月27~28日にパシフィコ横浜で開催された第29回日本静脈経腸栄養学会学術集会(JSPEN)に参加しました。JSPENは18、000名以上の会員を有する臨床栄養分野の基盤学会です。広い会場と大勢の参加者に圧倒されました。

今回、当科からはパネルディスカッション2【HPNをめぐる諸問題】において「小児在宅中心静脈栄養法におけるカテーテル管理の問題点」を発表いたしました。HPNとは在宅中心静脈栄養法(Home Parenteral Nutrition)の略です。中心静脈からの栄養管理は、なんらかの問題により消化管からの栄養吸収が不能な場合に行われます。その管理を在宅で行うのがHPNです。在宅に移行することにより、中心静脈栄養がないと生きていけない方も社会参加が可能となります。特に小児では、家庭の中での養育や教育機会の獲得により、成長発達を促すことができる必要不可欠なツールとなっています。しかし、中心静脈栄養法は合併症と無縁ではありません。合併症は感染・機械的合併症(破損など)・代謝性合併症・消化器合併症など多岐に渡ります。今回は、家族・本人の管理内容に大きく依存する感染と機械的合併症に焦点をあてて発表いたしました。

最近10年間における総HPN施行年数61。9年の内容を解析した結果、カテーテル関連の合併症は家庭の管理能力に大きく依存するため、技術的な側面に加えて様々な社会的・精神的な事項に留意すべきであるとの結論を得ました。特に家族の管理能力や成長に伴う問題、本人の意欲・精神的問題に関しては、いち早く察知して対応することが重要であり、更にきめ細かな管理・教育・システム作りが必要であると痛感いたしました。

HPNのワークショップに引き続き、小児関連の発表が行われました。ω3系脂肪乳剤の最新の知見、腸管不全患児の静脈栄養離脱後の管理、重症心身障害児の栄養管理、微量栄養素欠乏などなど盛りだくさんでありました。内容も濃く、大変勉強になりました。特に小児栄養管理のワークショップでは、登壇縁者の内、小児科医がひとりだけで、その他は小児外科医であることに言及されていたのが印象的でした。適切な栄養管理が更に広がっていくためには、小児医療の大部分を担う小児科医の更なる関与が必要と思われました。

(照井慶太)

2014年3月2日

第19回千葉内視鏡外科研究会に参加しました。

2014年2月22日(土)に、第19回千葉内視鏡外科研究会が千葉市で開催されました。この研究会は、千葉県内の胸腔鏡や腹腔鏡を用いた内視鏡外科手術に関わる診療科医師とコメディカルが様々なテーマで議論する会です。参加診療科は消化器外科、泌尿器科、産婦人科、呼吸器外科、小児外科と多科にわたるのが特徴で、診療科横断的に議論することでお互いの診療レベルの向上が図れます。

今回は千葉大学泌尿器科の市川先生が当番世話人として主催され、特に泌尿器科領域からの発表が多かったのが特徴的でした。当科からは私光永が"小児外科領域における内視鏡外科手術の現況と課題"というタイトルで、当科の内視鏡外科手術のレビュー報告を行いました。

今回参加して感じたのは、ダヴィンチという遠隔操作ロボットを使用したロボット支援手術が徐々に一般化してきたなというものです。ダヴィンチを用いた手術は、3D映像のもとで手振れ補正機能を備えた多関節鉗子による操作が可能となり、特に体腔深部での精密な手術に威力を発揮します。千葉大学も2012年よりダヴィンチを導入しており、泌尿器科、肝胆膵外科などの一部の診療科で使用されています。小児外科領域では、患児の体格と疾患背景の違いから全国でもまだ報告例はありませんが、機器の改良と経験の蓄積ともに今後疾患によっては一般化してくる可能性は十分にあるなあと感じました。当科でも、導入の是非を含めて、今後検討していきたいと思います。

(光永哲也)

2014年2月28日

第44回日本小児消化管機能研究会に参加しました。

2014/2/15土曜日に大阪で開催された第44回日本小児消化管機能研究会に参加しました。朝1番の発表であったため前夜に現地入りしましたが、生憎の大雪で飛行機が欠航となり急遽新幹線を使う羽目になりました。整備停車とかで何回か新幹線が立ち往生し、大阪到着は真夜中過ぎ。よりによってこの日に雪が降らなくても・・・。

今回、当科経過観察中の先天性食道閉鎖症(Esophageal Atresia: EA)の長期予後について発表しました。本邦では1960年にEA手術成功第1例が報告されて以降、手術技術や周術期管理の進歩に相俟って予後が飛躍的に向上し、現在生存率は85%を越えます。ただQOL(生活の質)はどうかというと、術後も食道の運動障害が残存し、食事中のつかえ感や食後の呑酸を訴える方がいたり、症状は無いのに胃カメラをすると重度の逆流性食道炎が見られたりする方がいます。手術でお終いでなく、その後も長きにわたって病状をフォローし、患者さんが成年に達した時点で病態と注意点をお話しする必要があるわけです。

ここ最近、酸逆流だけでなく非酸逆流が成人・小児問わず注目され、その評価法として食道インピーダンス検査(消化管各所の電気抵抗を測定して内容物の性状や流れの向きを明らかにします)が行われるようになってきています。今回の研究会では小児インピーダンス検査に関する演題やセミナーを聞き勉強する機会を得ました。データ解析に際し各施設間でバイアスがあるため、これを減らし、結果に応じた治療適応・内容を設定することが喫緊の課題です。

その他のトピックとして、本邦では極めて稀なintestinal neuronal dysplasia (IND)やimmaturity of gangliaの臨床像や病理組織像、治療転帰などが数施設から発表されましたが、症例を共有することで議論が盛り上がり、実に興味深い内容でした。

会長の川原央好先生は筋金入りの消化管機能研究者で、その興味とこだわり、さらにお人柄がにじみ出た研究会でした。大雪の影響で東京近郊の交通網が混乱しているときき、一時延泊も覚悟しましたが、帰途は予想以上にスムーズでホッと胸を撫で下ろしました。

(齋藤 武)

2014年2月5日

第14回日本小児IBD研究会に参加しました。

2014年2月2日、東京のベルサール八重洲で第14回日本小児IBD研究会が開催されました。

"IBD"とは"炎症性腸疾患"のことで、炎症性腸疾患とは一般的には"潰瘍性大腸炎"と"Crohn病"という二つの病気のことを指しています。どちらも腸に慢性的な炎症を起こすいまだに原因不明の病気で、完治が難しく一生治療を続けていかなければいけない難病です。小児の場合は、この病気で栄養がうまく吸収できず、場合によっては成長や発達に支障をきたす場合もあります。

今回のテーマは原発性免疫不全症から考察する小児IBDとのことで、潰瘍性大腸炎やCrohn病と鑑別に苦慮した原発性免疫不全症の症例の発表が多かったように思います。いまだに確定診断がついておらず、研究会でその診断を検討するような発表も多く見られ、IBD診療の難しさを感じました。大変に議論が白熱し、9:00~17:00という時間では足りないようでした。

当科からは私笈田がCrohn病同胞例の臨床的特徴について報告しました。いまだ不明な点の多いIBD、こういった研究会での活発な議論とその積み重ねが、その診療の向上や原因の追究などへ繋がっていくに違いない、と感じた1日でした。

(笈田 諭)