千葉大学大学院医学研究院
呼吸器内科学
千葉大学病院
呼吸器内科
JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)
例会でもお知らせしましたように東京厚生年金病院は母体の移行に伴い上記の名称に変更されました。見慣れないアルファベット4文字はJCHO:ジェイコーと読み、2014年4月から新しく発足する新機構「独立行政法人地域医療機能推進機構 Japan Community Health care Organization」の略です。今まで社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院と名のついていた三団体がすべてこの機構のもとに移行するため本年4月より全国で約60のJCHO△△病院が誕生します。どうぞお見知りおきください。
このJCHOは国が関わる新たな組織ですから、その理念や目標というものはこれから日本が中長期的にどんな医療を目指しているかを反映しているように思います。その中で特に重視されるものが地域包括ケアへの積極的な関与と総合診療医の養成という新たなミッションです。当院での取り組みを少しご紹介しますと、前者に関してはそれが最も重要な使命であることは機構の名称が表している通りで、S63卒の溝尾先生が長となって地域連携・総合相談センターが設置され、より多様なニーズに応える体制を整えております。また後者に関しては、昨年より総合診療チーム(通称チームG)を新たに発足させました。これは総合診療領域に属する入院患者を対象に、チーム専従の担当医として3年目レジデントと研修医をおき、救急総合診療部、呼吸器、循環器、消化器、内分泌代謝の医長クラスの専門医も固定メンバーとして参加して診断治療に当たるというシステムで、当科ではH11卒の清水先生が率先して取り組んでいます。ユニークなのは入院時の患者振り分けです。すなわちすぐに診断がつかない患者や疾患が多臓器にわたり複数科の協力が不可欠な患者をチームGの担当として優先的にピックアップし、その分高齢者の脱水やUTIなど治療が見えている症例は他の科で分担するような取り決めにしています。これには総合診療に対する各科の理解と協力が必要ですが、その結果今まで各科の狭間で埋もれていたような興味深い症例の掘り起こしに成果を挙げていますし、若手Drにとって少々手間はかかるものの今までならコンサルトに悩んでいたような症例にも固定したバックアップがしっかりとつきますので有意義な研修として評価されています。さらに4月からNHKのドクターGで知られる総合診療医の徳田安春先生が赴任され、後期研修医を対象とした総合医育成プログラムの充実に一役かっていただいております。
さて肝腎の呼吸器部門のことが最後になりましたが、今年からようやくEBUSの導入と待望の呼吸器外科がスタートする予定で、肺がんのみならず他疾患においても診断治療をより一層向上させることができるものと考えております。われわれ医療現場にとって病院名が変わることよりやっかいなのは、しょっちゅう変わる医療制度や診療報酬などにその都度対応を迫られることで、これはどこの施設でも同様だと思います。当科でも試行錯誤を繰り返しながら、良好なチームワークでより質の高い医療の提供をしていけるよう努力しております。
堀江 美正