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診療関連死法医解剖事例の検証

医療の現場における予期しない死亡、医療行為に関連したと考えられる死亡事例は異状死として警察に届け出られ、法医解剖の対象となることがあります。解剖によって得られた知見は、本来臨床医学の現場にフィードバックされ、医療の質評価や事故の再発予防施策等に役立てられるべきものですが、司法解剖に付された場合、法律上の制限からこうした情報共有が困難であるのが現状です。2015年に医療事故調査制度が発足しましたが、いまだ診療関連死全体の調査制度については模索中といえます。

そこで、当教室では診療関連死事例について、届出から法医解剖に至るまでの経緯、解剖所見の分析、法的処遇という一連のプロセスの追跡調査を行い、法医解剖の結果が、正確な死因の評価、再発予防、紛争の予防や解決にどのように役立っているかの現状把握および、問題点を明らかにし、診療関連死の調査制度に関する改善点の提言を行うことを目的に、医学・法学・医療安全学的視点からの分析を行うべく研究を進めております。

また本来、こうした課題には全国レベルの検証が必要であり、それには本邦では未整備である異状死データベースが不可欠です。このようなデータベース構築、蒐集すべき情報・記載および入力法の標準化の方法を確立すべく、死因究明において先進的な制度を持つ諸外国の法医学施設の視察・情報交換による比較研究も進めております。

担当者:山口るつ子