ユニット講義

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ユニット講義(シラバス)2014年度

人口600万人を抱える千葉県下にあって医学部を併設する唯一の大学附属病院として,皮膚科に対する正しい知識をもった医師を育てるための教育は,私達に科せられた大切な使命の1つです。

ユニットの概要 (皮膚科)

ヒトの体を覆う皮膚は,体重の16%を占める人体で最大の臓器である。水分の保持,体温の調整,微生物の侵入や物理的刺激からの保護など,生体が生命現象を維持するために内と外とを隔てるという重要な役割を担っている。さらに,感覚器の1つとして外界の情報を伝え,スキンシップという言葉に代表されるように他人とのコミュニケーションの基盤をなすとともに,手当(手を当てる)という言葉が示すように医療の基礎となる行為は皮膚を通して行われてきたものである。

 皮膚科のユニット講義では,正常時の役割や皮膚を場とした病気を通して,「皮膚」の大切さ,その重要性を理解することを目標とする。

一般目標

皮膚の状態を適切に把握するためには,皮膚・粘膜を観察し,情報を読み取り,そこに起こっている変化を論理的に類推する能力が必要である。このためには,皮膚の構造と機能を理解するとともに,病理学,生理学,細菌学,免疫学そして分子生物学的な知識を総合して,皮膚を場として生じている変化の病因・病態を考える能力を養う必要がある。

 ユニット講義終了後に行われる皮膚科の臨床実習は原則として,外来を受診される実際の患者の予診をとるというスタイルで行っている。これに臨む際に,皮膚の状態を適切に把握するための知識を修得していることを前提とすることから,正常時の役割や皮膚を場とした病気を通して,「皮膚」の重要性を理解することを目標とするとともに,臨床実習に臨むに十分な誠実な態度,そして失礼のない基礎知識を修得することが必須である。

評価法

ユニット講義の割り振りに従い,ユニット全体の評価は,皮膚科75%+形成外科25%で判定する。

皮膚科の評価は試験の成績で判定する。ただし,成績不振者に対しては,授業中に提出を求めたレポート類および出席等を加味して最終判断を行う。

教科書・参考書

あたらしい皮膚科学 第2版 中山書店(清水 宏 著)

皮膚病アトラス 第5版 文光堂(西山茂夫 著)

日程表

日時時限場所担当教官授業内容あたらしい皮膚科学(2版)
9月1日(月) II 第三講義室 松江弘之 総論1:皮膚の構造と機能 1章
9月2日(火) I 第三講義室 松江弘之 総論2:発疹の性状,診断および治療 2,4,5章
9月3日(水) III 第三講義室 岩澤真理 各論1:皮膚感染症1 25, 26, 27章
9月4日(木)  I 第三講義室 松岡悠美 各論2:皮膚感染症2 23, 24, 28章
II 第三講義室 神戸直智 各論3:アトピー性皮膚炎 6A, 7章
9月8日(月) II 第三講義室 島田眞路(山梨大) 特論1:皮膚からみる膠原病 11, 12章
9月9日(火) I 第三講義室 鎌田憲明 各論4:角化症 15章
9月10日(水) III 第三講義室 外川八英 各論5:にきび・脱毛症 1E,19章
9月17日(水) II 第三講義室 松江弘之 各論6:水疱症 14章
9月18日(木) II 第三講義室 鎌田憲明 各論7:全身と皮膚 17, 18章
9月22日(月) III 第三講義室 鎌田憲明 各論8:薬疹 25章
IV 第三講義室 久保亮治(慶応大) 特論2:皮膚とバリア機能 13章
9月25日(木) II 第三講義室 外川八英 各論9:ほくろとメラノーマ 3, 20, 21, 22章
9月26日(木) I 第三講義室 神戸直智 各論10:蕁麻疹・色素異常症 19,20章
II 第三講義室 松江弘之 各論11:皮膚悪性リンパ腫 21, 22章
10月6日(月) I 組織実習室   ユニット試験 全ての疾患(★から8割)

個別目標

総論1)皮膚の構造と機能

この授業では,皮膚の病態を理解する上で欠かせない,正常皮膚の構造と機能を把握することを目的とする。

a. 表皮の構造を説明できる。
基底層(基底細胞層),有棘層(有棘細胞層),顆粒層(顆粒細胞層),角層(角質細胞層)

b. 皮膚に存在する細胞とその機能を説明できる。
メラノサイトの形態と分布,メラニンの機能,Langerhans細胞,Merkel細胞,膠原線維,弾性線維,線維芽細胞,組織球,肥満(マスト)細胞,血管,リンパ管,神経系

c. 表皮基底膜の構造,角化細胞の接着を説明できる。
表皮基底膜,角化細胞の接着,ケラチン,デスモゾーム、ヘミデスモゾーム


総論2)発疹の性状,診断および治療

本授業では,皮膚科診療において最も基本的で重要な視診を理解するために必要となる発疹の性状とそれを表現する用語について覚えるとともに,病因を確定して診断を下すための検査について理解する。

a. 代表的な病理組織像の用語を理解し説明できる。
表皮肥厚(表皮過形成),不全角化(錯角化),異常角化(異角化,個細胞角化),海綿状態(表皮細胞間浮腫),棘融解,水疱,膿疱,液状変性(空胞変性・水腫性変化),肉芽腫,巨細胞,脂肪織炎

b. 原発疹,続発疹および特徴的な皮膚病変の現症を説明できる
紅斑,紫斑,丘疹,結節・腫瘤,水疱,膿疱,嚢腫,膨疹・蕁麻疹,萎縮,鱗屑,痂皮,胼胝,鶏眼,瘢痕・ケロイド,びらん,潰瘍,亀裂,アフタ(アフタ性潰瘍),白板症,ざ瘡,面皰,紅皮症,リベド(皮斑)・網状皮斑,膿痂疹,硬化,Nikolsky現象,Köbner現象,Darier徴候,Auspitz現象,針反応,皮膚描記症(皮膚描記法)

c. 皮膚科診療の進め方,パッチテストの手技の実際を理解する。
問診,視診・触診,パッチテスト(貼布試験),スクラッチテスト・プリックテスト,皮内反応,細胞診(Tzanck)試験,硝子圧法


各論1)皮膚感染症その1(真菌症・抗酸菌感染症)

本授業では,皮膚を場する感染症について学ぶとともに,感染防御器管としての皮膚の役割を理解することを目的とする。膨大な疾患を90分という限られた授業時間内で紹介することから,基本的には1疾患についてそれぞれ1枚(多くても数枚)のスライドで要点のみを紹介するというスタイルで授業を進めるため,知識の整理のための予習と復習を期待する。

a.真菌症を浅在性と深在性に分けて病態を理解する。
足白癬,爪白癬,手白癬,体部白癬,股部白癬,頭部白癬,Celsus禿瘡,カンジダ性間擦疹,カンジダ性指趾間びらん症,癜風,スポロトリコーシス,皮膚アスペルギルス症,皮膚クリプトコッカス症,皮膚ムコール症

b.水酸化カリウムを用いた顕鏡の有用性を理解する。
真菌検査法,Wood灯検査

c. 結核菌,非結核菌,らい菌による代表的な抗酸菌感染症を理解する。
皮膚腺病,尋常性狼瘡,硬結性紅斑,Mycobacterium marinum感染症,ハンセン病


各論2)皮膚感染症その2(ウイルス・細菌・原虫)

本授業では,皮膚を場する感染症について学ぶとともに,感染防御器管としての皮膚の役割を理解することを目的とする。

a. ウイルス感染症の病態がそれぞれ,角化細胞の変性を生じて水疱を形成するもの,角化細胞の腫瘍性変化を来すもの,アレルギー反応によって全身性発疹を来すものであるかを理解する。また,該当する疾患では学校保健法での規定を説明できる。
単純ヘルペスウイルス感染症,水痘,帯状疱疹,尋常性疣贅,尖圭コンジローム,伝染性軟属腫,麻疹,風疹,突発性発疹,伝染性紅斑,手足口病,伝染性単核球症,後天性免疫不全症候群

b. 細菌感染症の病態がそれぞれ,急性の一般的な皮膚感染症,慢性膿皮症,菌の産生する毒素による全身性感染症,特殊な臨床像を呈する疾患のいずれに分類されるかを理解するとともに,その対処法を学ぶ。
伝染性膿痂疹,丹毒,蜂窩織炎,毛包炎(毛嚢炎),癤・癰,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群,壊死性筋膜炎,ガス壊疽,敗血症,猫ひっかき病,ノカルジア症

d. 虫などの節足動物によって起こる多様な皮膚症状を理解する。
疥癬,マダニ刺咬症,ライム病, ツツガムシ病(恙虫病),クリーピング病,リンパ系フィラリア症

各論3)アトピー性皮膚炎

本授業では,アトピー性皮膚炎を代表的疾患として取り上げることで,皮膚科の日常診療のうえで最も頻繁に遭遇する湿疹・皮膚炎を理解することを目的とする。また,アトピー性皮膚炎の加療法を通じて,皮膚科治療の基本である外用療法についても学ぶ。

a. 湿疹三角を理解する。

b. アトピー性皮膚炎の合併症と鑑別疾患を理解する。
急性湿疹,慢性湿疹,接触皮膚炎,アトピー性皮膚炎,脂漏性皮膚炎,貨幣状湿疹,自家感作性皮膚炎,うっ滞性皮膚炎,皮脂欠乏性湿疹

c. 皮膚科の外用療法とそれに用いる外用剤について理解する。
軟膏,クリーム,ステロイド(副腎皮質ステロイド),免疫抑制薬,抗真菌薬,活性型ビタミンD3

d. アトピー性皮膚炎以外の湿疹・皮膚炎群に属する疾患については,授業ではアトピー性皮膚炎の鑑別疾患として簡単に触れるのみに留まることから,自習により理解することを期待する。

各論4)角化症

本授業では,まず表皮の正常な角化機序を理解する。その上で,正常な角化のどの過程で異常が生じると先天性角化異常症を生じるかを理解する。後天性角化異常症では,乾癬を中心に疾患の特徴,発症機序,治療方法について理解する。

a. 正常角化機序を理解する。

b. 先天性角化異常症が角化のどの過程で異常が生じているか理解する。
尋常性魚鱗癬,X連鎖性劣性魚鱗癬,Unna-Thost型掌蹠角化症

c. 後天性角化異常症の病態を理解する。
Darier病,乾癬,類乾癬,扁平苔癬,Gibertばら色粃糠疹,鶏眼,胼胝,黒色表皮腫

各論5)ニキビ・脱毛症

本授業では,皮膚附属に関連する疾患を扱う。特に,毛包に関連し日常にありふれた疾患であるニキビおよび脱毛症の病態、鑑別診断、治療法を理解することを目的とする。

a. ニキビの病態、鑑別疾患、治療法を理解する。
毛器管,脂腺,汗腺,爪,汗疹,尋常性ざ瘡,酒さ様皮膚炎,顔面播種状粟粒性狼瘡

b. 脱毛症の病態、鑑別疾患、治療法を理解する。
円形脱毛症,男性型脱毛症,トリコチロマニア(抜毛症,抜毛癖),時計皿爪,匙型爪

各論6)水疱症

本授業では,先天性表皮水疱症の各病型の病態を分子レベルで,自己免疫性水疱症の病態を免疫学的に,膿胞症では診断と治療について,それぞれ説明できることを目的とする。
特に、皮膚を構成する分子の遺伝子異常によって生じる疾患とそれらをターゲットとする自己抗体によって生じる疾患の病態を分子レベルで理解する。

a. (先天性)表皮水疱症:表皮細胞,表皮基底膜の構造から疾患の病態を分子レベルで説明できる。
単純型表皮水疱症,接合部型表皮水疱症,栄養障害型表皮水疱症,ヘイリー・ヘイリー病

b. 自己免疫性水疱症:各病型の病態を免疫学的に理解し、治療法を説明できる。
尋常性天疱瘡,落葉状天疱瘡,腫瘍随伴性天疱瘡、水疱性類天疱瘡,後天性表皮水疱症,Duhring疱疹状皮膚炎

c. 膿胞症:それぞれの疾患について診断と治療法を説明できる。
掌蹠膿疱症、角層下膿胞症、好酸球性膿疱性毛包炎

各論7)全身と皮膚

本授業では,全身疾患と関連する皮膚疾患を理解することを目的とする。

a. 代表的な疾患名を挙げることができる。
ALアミロイドーシス,透析アミロイドーシス,浮腫性硬化症,汎発性粘液腫種,頸骨前粘液水腫,毛包性ムチン沈着症,腱黄色腫,眼瞼黄色腫,亜鉛欠乏症候群,ヘモクロマトーシス,Menkes病,ペラグラ,ビオチン欠乏症,壊血病,急性間欠性ポルフィリン症,晩発性皮膚ポルフィリン症,糖尿病性壊疽,糖尿病性浮腫性硬化症,Dupuytren拘縮,痛風結節,フェニルケトン尿症

b. 内臓悪性腫瘍に伴う皮膚病変を理解する。

c. 真皮を侵す疾患の病態と特徴的な皮膚所見について理解する。
浮腫性硬化症,反発性粘液水腫,頸骨前粘液水腫,毛包性ムチン沈着症,Werner症候群,サルコイドーシス,環状肉芽腫,Ehlers-Danlos症候群,Marfan症候群,弾性線維性仮性黄色腫

各論8)薬疹

本授業では,薬疹のさまざまな臨床像を理解すると同時に,その中でも重症化する薬疹を鑑別できることを目的とする。また,さまざまな薬剤で薬疹が生じうること,薬疹の診断が困難なことを理解し,服薬歴をもれなく聴取できることの重要性を学ぶ。

a. 代表的な薬疹の臨床像を理解する。
多形紅斑,薬剤性紅皮症,固定薬疹

b. 重症化する薬疹を理解する。
Stevens-Johnson症候群,中毒性表皮壊死症,薬剤性過敏症症候群

c. 薬疹と鑑別すべき疾患を理解する。
Sweet症候群,遠心性環状紅斑,湿疹性紅皮症,乾癬性紅皮症,腫瘍(随伴)性紅皮症,移植片対宿主病

各論9)ほくろとメラノーマ

本授業では,ほくろとメラノーマの臨床像、ダーモスコピー所見を理解し、両者を鑑別できるようにすることを主たる目的とする。さらには,鑑別疾患となるその他の代表的な皮膚良性および悪性腫瘍についても説明できるようにする。

a. ほくろとメラノーマの病態、臨床像、ダーモスコピー所見を理解し,説明できる。
Parallel pattern,悪性黒色腫(メラノーマ)、母斑細胞性母斑,境界母斑,複合母斑,真皮内母斑,巨大先天性色素性母斑

b. 代表的な皮膚良性・悪性腫瘍の種類、臨床像、ダーモスコピー所見を理解し,説明できる。
comedo-like opening,multiple milia-like cysts,arborizing vessels,太田母斑,脂腺母斑,カフェオレ斑,神経線維腫症1型,神経線維腫症2型,結節性硬化症,Peutz-Jeghers症候群,色素失調症,Sturge-Weber症候群,遺伝性出血性,毛細血管拡張症,脂漏性角化症,汗孔角化症,類表皮嚢腫,毛巣洞,神経線維腫,基,底細胞癌,有棘細胞癌,光線角化症,Bowen病,白板症,ケラトアカントーマ,乳房Paget病,乳房外Paget病

各論10)蕁麻疹・色素異常症

この授業では,皮膚の代表的なアレルギー疾患に分類される蕁麻疹を題材に,肥満細胞の脱顆粒という機序に比して,それを引き起こしている病因の多くが原因不明であることを理解する。また,小麦水解物を含有する石鹸によって引き起こされた食物依存性運動誘発アナフィラキシーや当科が取り組んでいる遺伝子異常を背景として蕁麻疹様紅斑を来す自己炎症症候群という疾患を取り上げて,皮膚を主体とする免疫機能について,研究の方法論を学ぶ。

a.蕁麻疹の病態について説明できる。
蕁麻疹,血管性浮腫

b.皮膚に痒みを引き起こす病態について説明できる。
慢性痒疹,汎発性皮膚そう痒症

c.遺伝性疾患についての対応や注意点を理解する。
遺伝性皮膚疾患とは,遺伝相談,危険率の推定

d.樹状細胞の機能と免疫制御におけるその役割を理解する。
免疫システム,反応様式,血清免疫反応,T細胞,B細胞,組織球(マクロファージ),Langerhans細胞

e.肥満細胞の機能と自然免疫における役割を理解する。
肥満(マスト)細胞,好酸球,好中球,好塩基球,Ⅰ型アレルギー反応

f.樹状細胞や肥満細胞を用いた研究法について理解する。
角化細胞,Ⅱ型アレルギー反応,Ⅲ型アレルギー反応,Ⅳ型アレルギー反応

各論11)皮膚リンパ腫と間葉系腫瘍

本授業では,節外性リンパ腫のうち2番目に頻度の高い皮膚悪性リンパ腫について、病型・病因・治療について理解することを目的とする。特に、他臓器のリンパ腫との治療の考え方の違いを理解する。また、皮膚科で比較的遭遇するいくつかの間葉系腫瘍の特徴を理解する。

a. 皮膚悪性リンパ腫の病型を理解する。
菌状息肉症,Sezary症候群,成人T細胞白血病/リンパ腫,節外性NK/T細胞リンパ腫(鼻型),種痘様水疱症様リンパ腫,原発性皮膚濾胞中心リンパ腫,原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

b. 皮膚間葉系腫瘍の病態を理解する。
幼児血管腫,化膿性肉芽腫,Kasabach-Merritt症候群,グロムス腫瘍,毛細血管奇形,クモ状血管拡張,リンパ管奇形,皮膚線維種、肥厚性瘢痕およびケロイド,脂肪腫,肥満細胞症,Merkel細胞癌,隆起性皮膚線維肉腫,悪性穿刺性組織球腫,血管肉腫(脈管肉腫),Kaposi肉腫,Langerhans細胞組織球症


特論1)皮膚からみる膠原病

この授業では,膠原病および類縁疾患と,それに関連する血管炎・紫斑・その他の脈管疾患を,皮膚所見の立場から理解することを目的とする。

a. 血管炎はその炎症主座の動・静脈,およびその皮膚における深度により数種類に大別される。血管炎として分類されるそれぞれの疾患が冒される炎症の主座と,その結果としてどのような臨床症状を呈するかを理解する。
皮膚小血管性血管炎,Henoch-Schönlein紫斑,結節性多発動脈炎,顕微鏡的多発血管炎,Churg-Strauss症候群,Wegener肉芽腫症,側頭動脈炎,Behçet病,壊疽性膿皮症,Buerger病,血栓性静脈炎

b. 紫斑を生じる原因には,血管の異常,血流の異常,血小板の減少や機能異常,凝固因子の異常などが挙げられる。紫斑を来す疾患の原因がそれぞれどれに当てはまるかを理解するとともに,その結果としてどのような臨床症状を呈するかを理解する。
血小板減少性紫斑病,クリオグロブリン血症,老人性紫斑,単純性紫斑

c. 動静脈やリンパ管の循環障害による疾患が,どのような臨床症状を呈するかを理解する。
閉塞性動脈硬化症,糖尿病性壊疽,Raynaud現象,Raynaud病,慢性静脈不全,リベド,皮斑,毛細血管拡張性(小脳)失調症

d. 膠原病および類縁疾患に関しては,診断基準があるものは診断基準を覚えるとともに,それぞれの疾患に出現する特異的な自己抗体と特徴的な皮膚所見について理解する。
全身性エリテマトーデス,円板状エリテマトーデス,全身性強皮症,皮膚筋炎,混合性結合組織病,抗リン脂質抗体症候群,Sjögren症候群,再発性多発軟骨炎,関節リウマチ,成人Still病,若年性特発性関節炎,反応性関節炎

特論2)皮膚とバリア機能

都合により,授業をお願いしている外部の先生が変更になりました。
モデルとして紹介する疾患が,遺伝性水疱症から角化異常症へと変わりますが,疾患でみられる臨床症状を手掛かりとして皮膚のはたす役割を理解するという,この授業で伝えたかったメッセージに変わりはありません。慶応大学の久保先生のバリア機能に関わる一連の仕事は内容も素晴らしく,また巧みな話術も期待に添うものと自信を持ってお薦めします。

a.今日の最新医学における遺伝子疾患の重要性を説明できる。
遺伝性皮膚疾患,遺伝相談

b.皮膚の働きについて理解する。