治療対象疾患

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転移性肺腫瘍

手術適応について

 肺は悪性腫瘍の転移の標的臓器のひとつであり、各臓器癌から血流(血行性転移)、リンパ流(リンパ行性転移)を介して肺に転移してきたものを転移性肺腫瘍(転移性肺癌)と呼びます。

 転移性肺腫瘍に対しての治療は原発巣の特性により各種の治療方法が選択されますが、外科的切除も治療方法のひとつに含まれます。

 以前は単発性の肺転移巣で、原発巣が治療されて十分な期間が経過しているものに限られていましたが、画像診断の進歩(高精細CT)や胸腔鏡下手術や化学療法の発展により、現在では積極的な手術が行われるようになりました。

 原発巣のコントロールが十分なされており、手術により肺の転移巣が完全に切除できるものと判断された場合には、多発の転移性肺腫瘍であっても外科的切除の対象となり得ます。

 しかし全ての転移性肺腫瘍が外科的切除の対象になるわけでなく専門医に相談することが必要です。

転移性肺腫瘍切除例内訳(1982.1~2013.8)
原発部位症例数
大腸・直腸 141
頭頸部  52
腎臓  36
乳腺  32
子宮  29
軟部  11
その他
(膀胱・胃・食道・肝臓・膵臓・卵巣・精巣)
 55
合計 356

症状

 症状は肺転移巣の部位と大きさ、およびその進展状況によって多様です。もっとも頻度の高い末梢の肺実質への転移では症状がほとんどないのも特徴です。肺転移巣が気管支に進展したり、気管支壁に転移したときには咳嗽、喀痰、血痰、喘鳴、呼吸困難などの症状を生ずることがあります。また、気管支を閉塞する場合には発熱を伴う肺炎症状を呈することもあります。

診断

 診断には胸部レントゲン写真や胸部CT写真が有用です。また確定診断をつけるために気管支鏡検査(内視鏡検査)やCTガイド下針生検などにて病巣の細胞や組織を採取することもあります。

当科での成績

 当科で1982年から2013年8月までに356人の患者さんに対して外科的切除を施行しております。切除した症例の原発巣の内訳は別表に示したとおりです。

その他の治療

 その他の治療方法としては内科的治療方法があります。一般的には抗癌剤の投与となりますが、乳癌や前立腺癌に対してホルモン剤による治療を行ったり、甲状腺癌に対してヨード治療を行ったりすることもあります。