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トピックス2012年

2012年12月5日

第54回 日本小児血液・がん学会学術集会 参加記

11月30日から12月2日までパシフィコ横浜で開催された第54回 日本小児血液・がん学会学術集会に参加しました。

この学会は日本小児血液学会と日本小児がん学会の合併により2年前にできた学会で、今回は一年に一回、叡智を持ち寄る大きな大会です。全国から小児血液腫瘍医(小児科医)、小児外科医、放射線科医、病理医などのほか、小児がん看護学会に参加の看護師、がんの子どもを守る会の皆様と、数多くの方が参加しました。

主に固形腫瘍のセッションに参加してきました。

1日目の一般口演支持療法では、照井エレナ先生がイリノテカンで治療されている児の遅発性下痢に対して漢方薬の半夏瀉心湯の効果について発表しました。予防的に半夏瀉心湯を内服していたお子さんでは下痢の回数が少ないと言う結果を示しました。

2日目の午前中は細胞治療のシンポジウムを聞きました。造血幹細胞移植後のウイルス感染症は致死率の高い合併症ですが、ウイルス特異的CTLを体外で増殖させて戻すことによりウイルス感染症を予防する試みが複数の施設から報告されました。腫瘍そのものだけではなく、支持療法としての免疫療法を応用する発想は新鮮でした。

つづいて一般口演で私たちが手がけているNKT細胞による免疫療法の発表を私がさせていただきました。

午後は高リスク神経芽腫のセッションで日本神経芽腫研究グループからの報告が3題ありました。私は第二相試験の外科療法の後方視的解析について発表させていただきました。従来いわれている通り、根治性を求める手術は高リスク神経芽腫の場合は必要なく、患者さんの最終的な予後に広範囲なリンパ節郭清を伴う肉眼的全摘は必ずしも相関しない結果がでました。私のあとにつづいて発表された名古屋大学の具グループはKirミスマッチ臍帯血移植の有用性について発表されていました。免疫療法を兼ねた造血間細胞移植の効果が期待されます。

3日目は朝7時半から恒例のチャリティーマラソンに参加しました。往年の名選手をゲストによび、楽しいランニングができました。

午前中は外科療法のセッションで、手術ナビゲーションの新しいメソッド等の発表を聞きました。午後はポスターセッションでたくさんのケースレポートを拝見させていただきました。肝腫瘍の座長も無事終わり、濃度の濃い三日間の学会が終わりました。

今回も多くの施設からたくさんの方が参加され、昼は真剣に学術的な討論、夜は熱く小児がん医療を語る会にご一緒させていただきたいへん充実した学会であったと思います。来年は福岡ですね!

 (平成5年 菱木知郎)

2012年11月19日

PSJM2012・第28回小児外科学会秋季シンポジウム参加記

11月1日から3日まで静岡市でPediatric Surgery Joint Meetingおよび第28回小児外科学会秋季シンポジウムが開催されました。Pediatric Surgery Joint Meetingとは4つの研究会の集まりで日本小児内視鏡外科・手術手技研究会、日本小児漢方研究会、日本小児外科代謝研究会、直腸肛門奇形研究会からなります。

千葉大学からは菱木知郎先生が日本小児内視鏡外科手術手技研究会に「先天性気管支閉鎖症に対する胸腔鏡下肺区域切除術の経験」を発表しました。内視鏡手術は小児領域でも積極的に取り入れている施設も多くなってきており、活発な議論が行われました。小児漢方研究会には照井エレナ先生が「乳児の肛門周囲膿瘍に対する十全大補湯を用いた治療の検討」を発表いたしました。現在でも肛門周囲膿瘍に対する十全大補湯の効果を科学的に証明するために研究を続けています。直腸肛門奇形研究会には私中田光政が「当科における低位鎖肛の手術方法と晩期合併症の検討 -再手術症例を中心に-」を発表いたしました。秋季シンポジウムでは松戸市立病院に出張している照井慶太先生が横隔膜ヘルニアのセッションで「当科における先天性横隔膜ヘルニア胎児診断例の治療方針の検討」を発表し、治療の変遷や治療のコンセンサスについて討議いたしました。

何れの研究会・シンポジウムも特化した内容になっていて細かいところまで追求するようなまさに専門的な議論となりました。

中でも横隔膜ヘルニアは最近続けて診療する機会があり、経過も千差万別であったので注目いたしました。

横隔膜ヘルニアは近年、出生前に診断されるようになり、より重症のタイプが増えてきています。そのため、以前から死亡率の高い病気なのですが、現在でも救命困難な病気の一つで、出生前から計画分娩し、intensive careを全力で行い、救命しています。それでも各施設とも約10%ほどいる超重症の患児の治療には非常に苦労しているようで、その児を救命するにはどうしたらよいか議論いたしました。多くの施設では胎児治療の発展が重要としておりましたが、まだ全国的に広がるには時間がかかります。

超重症患児に対する治療法には体外循環の一つである体外式膜型人工肺(ECMO)があり、取り入れている施設は全国で数施設程度です。新生児の体外循環は治療が始まると片時もそばを離れることができない非常に体力と気力のいる治療であるため、行える施設が少ないわけです。当院ではその少ない施設のうちの一つで、これがあったからこそ救命しえたと考えられる超重症の患児がいました。全体としてはわずか数%になりますが、当院だから助かる患児もいるのだなと感じました。

また、今後、胎児治療に取って代わるかもしれないけれど、ECMOはまだまだ重要な治療法の一つだなとも思って横隔膜ヘルニアのセッションを終えました。

(平成12年卒 中田光政)

2012年10月9日

第23回日本小児呼吸器外科研究会参加報告

2012年9月28日(金)・29日(土)の両日、旭川で第23回日本小児呼吸器外科研究会が開催されました。今回は第45回日本小児呼吸器疾患学会との合同開催であり、小児科医、放射線科医、病理医など様々な診療科の医師と議論ができる大変有意義な会となりました。

千葉大学からは私が「膿胸に対する剥皮術の至適時期」という演題で、膿胸に対する胸腔鏡下手術の適応等について報告しました。他施設からもほぼ同様な報告があり、積極的な外科的介入が治療期間の短縮と合併症の回避に有効であるという点で認識が深まりました。

他のセッションでは、我々がCCAM(先天性嚢胞性腺腫様奇形)と一般に呼んでいる病態が、実は気管支閉鎖症の自然史を時間軸に伴う結果で見ているのではないかとの議論がとても参考になりました。これまでいまいちすっきりとしなかったCCAMの概念の輪郭が、今更ながら少し見えてきたような気がしました。またランチョンセミナーではインフルエンザについての講演があり、日本のインフルエンザ対策の有効性がWHOで評価されていること、感染早期の抗ウイルス薬投与が死亡率を大幅に低下させること、今期のインフルエンザは変異していることなど、最新情報に接することができました。間が限られていたため観光はできませんでしたが、帰りに旭川ラーメンの老舗を2軒はしごして、ちょっとだけ旭川を味わってきました。この次は旭山動物園かな。

(平成11年卒 光永哲也)

 

2012年7月26日

第9回血管腫・血管奇形研究会/第4回講習会に参加しました

第9回血管腫・血管奇形研究会/第4回血管腫・血管奇形講習会 参加記

7月14日、15日に血管腫・血管奇形研究会に参加してきました。場所は長崎。梅雨の大雨で九州はのきなみ被害にあっていたため、心配でしたが、長崎市内は意外にも被害がなく、普通に過ごされていました。

この研究会は形成外科の先生たちが主に運営していて参加者も形成外科の先生が多い研究会です。血管腫・血管奇形といっても動静脈奇形・毛細血管奇形・静脈奇形・リンパ管奇形と細分類されていて一様ではありません。私たちは難治の症例を症例検討という形式で提示し、治療方針についてアドバイスをもらいました。小児外科の先生があまり参加しない研究会でしたので緊張しましたが、次々とアドバイスをいただき、一定の治療方針が立ちました。非常に感謝しております。14日の日には講習会があり、up to date な情報も得ることができました。

14日の夜に卓袱料理をたしなみました。長崎は以前旅行したことがあり、卓袱料理は今ひとつという印象があったのですが、みんなで食事するならと選択しました。これがなんと美味しかったのです。みんなも満足、自分も満足でした。

(中田光政 記)

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2012年6月8日

45th Pacific Association of Pediatric Surgeons (PAPS2012) 参加記

45th Pacific Association of Pediatric Surgeons (PAPS2012) に参加しました。

2012年6月3日から7日までの5日間、上海で開催された45th Pacific Association of Pediatric Surgeons (PAPS2012) に参加してきました。PAPSはAmerican Pediatric Surgical Association (APSA)、British Association of Pediatric Surgeons (BAPS)、European Pediatric Surgeons Association (EUPSA) とともに小児外科4大学会の1つとされています。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、台湾、韓国など、環太平洋地域の小児外科医が一堂に会し、様々なテーマについて発表・議論が行われます。私は ”Transanal endorectal pull-through decreases the risk of postoperative enterocolitis in Hirschsprung’s disease compared to Duhamel pull-through” という題で、ここ10年くらいの間に広まったヒルシュスプルング病に対する新しい手術方法の術後排便機能について報告してきました。いくつかの質問がありましたが、術後排便機能について同じような結果を得ているというコメントもあり、今後の手術方法の改良に生かしていきたいという思いを強くしました。国際学会は小児外科に関する最新かつハイレベルの情報が得られるということが最大のメリットですが、我々(日本)の常識と世界の常識をすり合わせることができる場でもあります。疾患によっては我々と全く別の治療戦略によって治療が行われていることもあり、その是非を含めてもう一度我々の治療戦略を再考する機会が得られます。

なお、日中の会議が終わったあとは一緒に参加された他施設の先生方と紹興酒を飲みながら上海蟹を食べたり、上海市内を流れる長江の支流である黄浦江をナイトクルーズしながら急速に発展する上海のエネルギーを体感したりと、ちょっぴり?観光も楽しんできました。

(平成11年卒 光永哲也)

2012年6月8日

第49回日本小児外科学会学術集会 参加記

少し時間が経ってしまいまいしたが、先月おこなわれた本邦の小児外科最大の学会である日本小児外科学会学術集会について報告させていただきます。

2012年5月14日~16日の3日間、パシフィコ横浜にて第49回日本小児外科学会学術集会が開催されました。今回は東海大学医学部小児外科学の上野滋教授が会長をつとめられ、主題は「内と外を見つめなおす」 “Look and Appreciate”です。初日から小児外科にまつわるさまざまな話題について熱いディスカッションがかわされました。今回の参加人数は約900名。もちろん、若干のコメディカルや学生さんも含んだ数字ではありますが、小児外科学を真剣に討論する学会としては世界でも有数の規模といわれています。

千葉大学大学院医学研究院小児外科学からは口演4題、ポスター4題の発表をおこないました。初日は齋藤武先生が要望演題「基礎研究」において胆道閉鎖症における血中サイトカイン解析の意義について、また要望演題「外傷治療における小児外科」において千葉県における小児外傷・熱傷治療の集約化を進めるうえでの課題についての発表をおこないました。午後は腫瘍のセッションにて私が小児悪性固形腫瘍の肺転移巣の治療について、またポスターセッションにて中田光政先生がリンパ管腫の治療についての発表をそれぞれおこないました。初日の特別シンポジウムでは「大災害時に求められるこどものケア」と題して、昨年の東日本大震災で東北被災地に対しさまざまな立場から関わった先生方のお話を伺いました。被災県の先生方の中には、自身やご家族も被災し、ライフラインの確保が難しい状況の中で、医師としての誇りと使命感に支えられて医療活動を継続された方も多くいらしたそうです。あらためて災害時の医療が日々の診療と全く異質なものになること、その中で私たちに何ができるのかということを考えさせられました。

2日目もひきつづき白熱した討論がおこなわれていました。昼の招待講演ではダブリンのプレム・ピューリ先生による膀胱尿管逆流症のご講演がありました。乳幼児の尿路感染の原因となる本疾患ですが、近年治療法が大きく変わりつつあります。より手術の対象となるお子さんが少なくなる傾向があり、かつ、軽症のお子さんには内視鏡的な治療が行われるケースが増えています。先生によるご講演は非常に勉強になりました。

3日目は最終日は小児腸管不全児に対する最新のアプローチをデービッド・シガレット先生がご講演くださり、ひきつづいて小児臓器移植の現状と未来についてのシンポジウムが開かれました。小児腸管不全に対する小腸移植は保険適応にはまだ症例の積み重ねが必要とのことでしたが、高度先進医療としてようやく認められたということで、先に光が見えてきたように感じられました。この日は午後のワークショップで光永哲也先生が小児潰瘍性大腸炎に対する鏡視下・非鏡視した大腸全摘術の手術手技習得について発表しました。ポスターセッションでは照井エレナ先生が女性外科医の望みと悩みというセッションで自らの経験をまじえ、子育てしながら小児外科医として働き続けるために何が必要かについて発表しました。また、私が小児急性虫垂炎の治療と手術教育についての発表をおこなわせていただきました。

3日間はあっという間に過ぎました。非常に内容の濃い学会であり、小児外科のトッピックスを十分に討論し、また新しい知見をたくさんいただくことができました。学会の時間以外では、全国の多くの施設の小児外科医と親交を深めることもできました。この様なすばらしい会を開いていただいた、東海大学の上野会長はじめスタッフの皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。

(平成5年卒 菱木知郎) 

2012年5月15日

第112回 日本外科学会学術集会 参加記

先日、第112回日本外科学会学術集会が開催されました。今回は千葉大学臓器制御外科学の宮崎勝教授が会頭をつとめられ、地元幕張メッセでの開催となりました。

小児外科の領域ではキャリーオーバー症例に対しての問題点や現況の把握をテーマにした発表が行われました。小児外科の歴史は30年あまりで、小児外科で初期に治療を受けた患者様は近年になり、成人期にさしかかっています。病気によっては成人期になってもフォローが必要な方がおり、このような病気または患者様をキャリーオーバーと呼んでいます。

私は合併症を多く持つ鎖肛患者様について発表いたしました。鎖肛は文字通りには肛門が閉鎖されている状態ですが、その他の合併症を伴うことも多く、具体的には先天性心疾患、泌尿器疾患、生殖器疾患などがあります。この中で生殖器については二次性徴を迎えてから発見されることもあり、男性女性ともに不妊症の原因となりうるため、長期にフォローが必要となります。しかし、実際長期に通院している患者様は他の施設でも少なく、全体の発表を持ち寄ってどうフォローしていこうかという発表となりました。ある病院ではキャリーオーバーのためのチームが組まれていて積極的に患者様とコミュニケーションを図っているところもありました。今後、同様の患者様は増えていくと思われ、しっかりと患者様と関わって導いてあげなければいけないという気持ちになりました。

教室からは吉田英生教授が巨大臍帯ヘルニアに対する新しい手術法をビデオシンポジウムで発表しました。また、齋藤武先生が先天性胆道拡張症のキャリーオーバーについて、光永哲也先生がヒルシュスプルング病の手術々式についてのワークショップ・パネルディスカッションで発表・討論をおこないました。学会終了翌日には、菱木知郎先生が一般の方向けの市民公開講座で小児の手術についての講演をおこないました。

学会中には小児外科医だけで集まる懇親会がありました。小児外科は他施設の先生たちと顔見知りのことも多く、学会発表時とはまた違ってお酒も入りつつ気軽に質問もできて、暖かい雰囲気のある医師がいっぱいいるなとあらためて感じました。

(平成12年卒 中田光政)

2012年3月6日

恒例医局スキー・スノボ旅行へ行ってきました

春が待ち遠しい3月3日、医師・看護師、総勢12人で越後湯沢へ行ってきました。行きの新幹線から飲むビールは格別ですね。皆、思い思いにウインタースポーツを楽しみ、夜は越後の酒と肴に舌鼓を打ち、温泉で日頃の疲れと筋肉痛を癒し、楽しい二日間でした。ゴキブリポーカーという大人の遊びを是非流行らせたいと思いますので、来年は30代以上の方のご参加お待ちしております♪

(平成20年卒 小原由紀子2012)

2012年2月13日

日本小児IBD(炎症性腸疾患)研究会に参加しました

日本小児IBD(炎症性腸疾患)研究会参加報告

2012年2月12日(日)に、第12回日本小児IBD(炎症性腸疾患)研究会が、三重大学小児外科の内田恵一先生主催でベルサール八重洲(東京都中央区)において開催されました。炎症性腸疾患は原因不明の消化管の炎症が慢性的に持続するという難治性の疾患で、代表的なものとして潰瘍性大腸炎とクローン病があげられます。治療は5-ASA製剤とステロイドによる内科的治療が基本となりますが、難治性の場合には手術が必要となります。近年、新薬(免疫抑制剤や分子標的薬など)の登場により内科的治療の選択肢が広がりましたが、一方で標準治療が混沌としてきて、特に成長発達段階にある小児においては、手術を行うタイミングを見極めるのが難しくなる場合もでてきました。

当教室からは横山先生が、「タクロリムス使用後に手術に至った潰瘍性大腸炎小児例」という題で、免疫抑制剤であるタクロリムスの使用経験について報告しました。会場は全国から集まった炎症性腸疾患の治療に携わっている小児科・小児外科の医師で満員であり、それぞれの発表ごとに喧々諤々の議論が繰り広げられました。横山先生の発表にも会場から様々な質問がありましたか、いずれも明快に答えることができ、睡眠時間を削っての準備の甲斐があったようです。ランチョンセミナーでは弘前市立病院の田中正則先生が炎症性腸疾患の生検病理組織診断について、また特別講演では京都大学の仲瀬裕志先生が最新の潰瘍性大腸炎の治療戦略についてそれぞれ講演されました。これまで自分の中では今ひとつすっきりしなかった病理診断がとても論理的に明快になったこと、混沌としている潰瘍性大腸炎の治療方針がすっきりしたことが大きな収穫でした。教室としてもこの成果を明日からの診療にすぐに生かし、子供たちにフィードバックできるように努力していきたいと考えております。

(光永哲也 H11年卒)

2012年1月30日

小児固形がん臨床研究共同機構総会・合同研究会 参加記

1月28、29日の二日間にわたり、小児固形がん臨床研究共同機構総会・合同研究会が東京信濃町の慶応大学医学部キャンパスで開催されました。この会は、従来別々に行われてきた神経芽腫(JNBSG)、横紋筋肉腫(JRSG)、肝芽腫(JPLT)、ウイルムス腫瘍(JWiTS)、ユーイング肉腫(JESS)、小児脳腫瘍(JPBTC)の研究会・総会をまとめて二日間の合同開催とした初めての試みです。各研究グループから、現在進行中の治療トライアルの状況や、今後行われる予定の治療トライアルについて紹介があり、また難しいケースの治療についての討論などが活発におこなわれました。

千葉大学からはJPLT研究会に原田先生が遠隔転移を伴う肝芽腫の治療方針について発表をおこないました。

小児がんは成人のがんにくらべて稀であり、稀な病気だからこそ、それを治療する医療者は多施設で協力して良い治療をみつけなければなりません。今回の会には、みなで結束して良い治療を作り出そうという意思を持ったたくさんの施設のたくさんの医師が参加しました。小児がんと闘うお子さんやそのご家族に、明るい未来をつかんでもらいたいという思いが、どの参加者からも感じられました。日本における多施設共同研究の基盤整備にはまだまだ課題も多く、特に小児がんに対する社会の理解や支援はまだまだの様に感じます。今回あらためて、これからのグループ研究の在り方について考えさせられる機会を与えていただきました。

(平成5年卒 菱木知郎)