DEPARTMENT OF IMMUNOLOGY
ヘテロのモスイートンマウス (me/wt) を用いてOVAによって誘導される好酸球性の気道炎症に関する実験を行ったところ、気管支周囲の好酸球浸潤の増強、PAS染色による粘液産生の上昇、メタコリン誘導性の気道抵抗値の過敏性上昇を認めた。図は、実際の実験プロトコールと肺胞洗浄液(BALF)中の好酸球浸潤を正常マウス(wt/wt)とヘテロモスイートンマウス(me/wt)間で比較したものである。
Day0とday7でOVAをalumと一緒に腹腔に注射してOVA特異的T(Th2)細胞分化を誘導する。
Day14にOVAを吸入(Inhalation)させ、肺胞洗浄液をday16に回収した。気道抵抗の実験(AHR:airway hyperreactivity) では、day19,20,21に吸入を行い、day22に計測を行った。OVAによる気道炎症のプロトコールに関しては数多くのものが報告され、反応性はマウスのbackgroundに大きく左右される。モスイートンマウスはC3H backgroundであるが、私たちはいろいろな条件を検討した後、このプロトコールを決定した。肺胞洗浄液中の浸潤細胞のなかの好酸球の割合、絶対数ともにヘテロモスイートンマウス(me/wt)で上昇していることがわかった。
メタコリン誘導性の気道抵抗の上昇に関しても、10mg/ml, 30mg/ml両方のdoseで有意な上昇が観察された。Kamata et al. J. Clin. Inv. 111:109, 2003。
一人の大学院生が行ったこの研究は、SHP1のような抑制性のシグナル伝達分子を制御すれば喘息のような疾患の発症が抑制できる可能性を示しており、Nature reviews immunology 3:98, 2003にhigh light として取り上げられた。