研究紹介・研究成果

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3Dec2025

鍵は“老化で減るKAT7”? ― iPS細胞由来血小板産生低下のメカニズムを解明―

 千葉大学大学院医学研究院の髙山 直也 准教授、Sudip Kumar Paul JSPS外国人特別研究員、陳 思婧 特任助教、江藤 浩之 特任教授(兼 京都大学iPS細胞研究所 教授)らの研究グループは、iPS細胞から作られる血小板前駆細胞(巨核球)を増幅と成熟させることができる細胞株「iPS細胞由来巨核球株(imMKCL)注1) 」を用い、血小板産生能が低下するメカニズムを解明しました。これは、長期培養や培養環境の悪化により細胞が老化すると、リジンアセチル基転移酵素7(KAT7)注2) というタンパク質が低下するために、染色体の安定性が損なわれて免疫反応(cGAS-STING経路注3) )が活性化すること、さらにこの老化した細胞が炎症性物質を放出して同じ培養槽内にいる良い細胞の細胞周期も止めてしまうため、最終的に培養全体で血小板産生が低下するというメカニズムです(図)。さらに、KAT7は細胞が血小板を生み出すために不可欠な細胞周期を維持することで、品質の高い血小板産生に重要な役割を果たすことを見出しました。 

 本成果は、iPS細胞由来血小板の大量製造において、細胞老化を早期検出する品質管理指標としてKAT7が有用であることを示しており、再生医療製品の安定供給に貢献することが期待されます。

 この研究成果は、2025年11月13日に国際学術誌Stem Cell Reportsにオンライン掲載されました。

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