島根大学医学部附属病院 高度外傷センター 上田晶彦
2025年1月12日、令和6年度外傷外科医等養成研修の追加研修として第15回ASSET-Chibaコースが開催され、参加させていただきました。昨今、オリンピックや万国博覧会などといった国際的なイベントが増加する中で、同時にテロ災害が発生するリスクも増加すると考えられます。テロでは、爆発物や銃などが用いられることが多いのですが、我が国では、これらによる多数傷病者への外科治療に関する知見が十分に普及していません。厚生労働省が主導する外傷外科医等養成研修事業は、テロ災害に備え、爆傷・銃創・切創などの重篤な外傷に対応可能な外科医・看護師を育成し、救急医療体制の整備を目的としています。今回、ASSETコースはその一環として、外傷外科手術に係る重要な手技を習得することを目的として開催されました。
私は外科医としてこれまでも数多くの外傷外科手術に携わってきましたが、近年は交通事故の減少とともに外傷外科手術も減少しています。社会としては良いことである一方で、外科医として十分な経験ができていると言い切れない面もあるように思います。手術を必要とする救急患者はいつ自分の目の前に運ばれてくるかわからないため、外科医として、常に手術手技の知識と技術について研鑽を積まなければならないと考えています。
今回の研修に参加し、私はご遺体から血管や臓器の解剖を詳細に学ばせていただきました。解剖学の教科書や手術手技書のみでは把握しがたい、外傷手術における注意点などを深く理解することができました。今回学んだことは、きっと今後の診療に活かすことができると思います。最後に献体された千葉白菊会の方々、並びにご遺族の皆様に心より御礼申し上げます。