研究紹介・研究成果

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30Nov2022

白血病を含むがんの新規創薬へ前進―エピゲノム酵素がミトコンドリアの呼吸制御に関わるメカニズムを解明―

千葉大学大学院医学研究院の星居孝之講師、医学部医学科5年の菊地創太、大学院医学研究院の金田篤志教授らの研究チームは、蛋白質の分解を誘導する技術を駆使し、急性骨髄性白血病細胞の核内にあるヒストンメチル化酵素であるSETD1Aを分解すると、白血病細胞が死滅することを確認しました。またさらに詳しい解析により、SETD1Aがミトコンドリアの呼吸を制御するメカニズムを明らかにしました(下図)。 本研究成果は、科学誌「Cell Reports」にて2022年11月30日(日本時間)にオンライン公開されました。

【本研究成果のポイント】
①急性骨髄性白血病は血液がんの一種で、骨髄中の白血球に分化する途中の未熟な細胞に異常が生じて、がん化した白血病細胞が異常に増える病気です。他の白血病に比べて進行が早く、再発の可能性も高いため、革新的な分子標的薬の開発が期待されています。
②本研究では、SETD1Aというヒストンメチル化酵素が、遺伝子発現を介したミトコンドリアの機能制御によって、より直接的にがん細胞の増殖や生存に関わることを明らかにしました。
③今後は、SETD1Aの異常を示す疾患や白血病やがんなど、ミトコンドリア異常と関連が深い疾患の新たな治療法の確立につながることが期待されます。

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