治療対象疾患

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肺癌

肺癌とは

 肺癌は肺に発生する悪性腫瘍の中で最も頻度の多いものです。肺癌は男性では胃癌を抜き,部位別悪性新生物死亡率の第1位,女性では第3位となり,未だ増加傾向を示しています。

 当科は、1952年から肺癌切除を開始し、63年目を迎えました。2015年3月には切除例が3800例を超えております。 肺癌はその進行度合いによって、病期に分類されています。

 早期の段階からいいますと、IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IV期となり、進行期ほど予後が不良となります。したがって、検診を中心とした、早期発見、早期治療が重要となります。

肺癌の原因

 病因は主に喫煙とされています。喫煙指数(一日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上はその危険性が高いとされています。また、同居人の喫煙による受動喫煙が問題となっています。家庭内,職場での副流煙は要注意です。遺伝子学的素因に関しては、まだ明らかなものはありませんが、ご家族に癌発症が多い方は、念のため注意が必要と思われます。

当科では、重喫煙者、喀痰細胞診異常者に対して、蛍光気管支鏡検査を行い、前癌病変とされている異型扁平上皮化生巣や早期肺癌の発見に努めています。重喫煙者に,前癌病変とされている扁平上皮化生巣や異型扁平上皮化生巣が高頻度に見つかる事実は注目に値します。

肺癌の診断

 肺癌の診断は、胸部レントゲン、胸部CT検査によって画像的に評価され、経気管支針生検、鉗子生検、ブラッシング、もしくはCTガイド下生検にて病理組織学的、細胞診断学的に診断を行います。その後、脳MRI検査、PET検査、超音波気管支内視鏡検査(EBUS)、腹部超音波検査等にて、転移検索を施行後、治療前の進行度を判断します。近年、画像診断の進歩は著しく、特にCT検診の取り組みは,微小肺癌の発見(含GGO病変)、早期治療に非常に有効と思われ、治療に役立てています。

肺癌の治療法
 治療方法は、手術療法、放射線療法、化学療法が主体で、レーザー治療等も併用されます。治療方法は組織型、進行度、呼吸機能、併存疾患(心機能、肝機能、腎機能等)等によって決定します。

 手術療法は、近年術前術後管理、術中麻酔管理の進歩により、低肺機能患者にまで手術適応が広げられ、術後合併症の発生率も低下してきています。

 術前充分な期間の禁煙指導、術前術後肺理学療法の積極的な導入も効果的であると思われます。胸腔鏡下手術を導入することにより、皮膚切開の長さや位置など、アプローチ方法を工夫し、術後の創痛もなるべく軽減するようにしています。

 また、術後のQuality of Lifeをなるべく低下させないために、気道再建を含めた機能温存手術や、肺癌の根治度を上げるための血管再建を含めた拡大手術も積極的に行っています。術前術後に放射線療法、化学療法を併用した手術療法も施行しています。

 放射線療法は、放射線科が主体となって行われています。また、重粒子線治療が注目されていますが、重粒子線治療を施行している放射線医学総合研究所は当科の関連施設であり、適応を慎重に決定しながら良好な成績を得ています。化学療法は、最近新規抗がん剤が多数開発され、その投与方法等に関して、検討がすすめられています。

 当院では呼吸器内科とカンファレンス等で相談しながら、手術後補助療法を含めて施行しています。近年免疫療法、遺伝子治療も注目され、研究がすすめられています。免疫療法に関して、別項にて後述します。

肺癌の治療成績

 肺癌の治療成績は、一般的に5年生存率で評価されます。当科の肺癌切除の成績を以下に示します。年代別にみると,技術の進歩により,年々手術成績が向上しています。

 2002年~2009年までに施行した851例の肺癌手術症例における病理病期別の治療成績を下に示します。IA期 88.3%、IB期 76.5%、IIA期 72.9%、IIB期 55.8%、IIIA期 59.9%、IIIB期 45.8%、IV期 42.8%となっています。今後も肺癌の根治を目指して,治療に取り組んでゆきます。