教授挨拶

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過去の教授挨拶

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横手 幸太郎 教授

~教室のご紹介、そして内科医を目指す方へ~

細胞治療内科学講座は、主に代謝内分泌学、血液病学、老年医学の診療・研究・教育を担っています。診療の場である医学部附属病院では、血液内科、糖尿病・代謝・内分泌内科と高齢者医療センターにおいて、教室員がそれぞれ最新の医療を展開しています。2014年には糖尿病コンプリケーションセンター※が新設され、糖尿病合併症の制圧へ向けて新しいチーム医療の形を創出すべく、多診療科・多職種の連携による様々な試みを実践しているところです。また、高齢者医療センターでは、老年病専門医がQOL(生活の質)を最重視した全人的な医療に取り組んでいます。(※コンプリケーション=合併症)

私たちは「specialistである前にgeneralistであれ」をモットーとして内科学を学び、若手医師の育成にあたっています。臓器別診療が花盛りの今日、最高水準の医療を提供するためにはspecialismが不可欠です。一方、目の前の患者さんをえり好みせず初期診療を行い、自身の専門領域については高度な医療を実践し、専門以外の病気については適切な専門家へと委ねることができる、そんな内科医を育む環境を目指しています。

我々の研修プログラムは、内分泌代謝疾患・自己免疫疾患・血液疾患・循環器疾患・老年病など、もともと"全身病"を対象としてきた第二内科の伝統に立脚します。その特長を最大限に活かし、大学病院と千葉県内外の主要関連病院を組み合わせることによって、平成27年度からスタートする新しい内科専門医制度に適合し、臓器横断的な視点を持ちながら高度な知識とテクニックに裏付けられた専門医療を身につけることができます。

糖尿病や血液疾患の診療には、毎年のように画期的な新薬が登場しています。それだけでも大変エキサイティングな分野ですが、裏を返せば、根本的な治療法が開発されていないことを表します。今は治すことのできない病気の壁を破り、50年後、100年後の医学を創る研究を行なうことも医学部の臨床教室に課せられた使命です。当講座では、血液研究室、内分泌研究室、糖尿病研究室、代謝・老年病研究室において、新しい治療学の創出へ向けた夢のある基礎・臨床研究を日夜行なっています。さらに現在は、先進加齢医学寄附講座において老化(エイジング)をターゲットとした基礎研究を、未来開拓センターでは自家脂肪細胞移植法を用いた遺伝子治療の臨床研究をそれぞれ開始しました。

本講座の前身である第二内科は、1898年(明治31年)、千葉第一高等学校医学部内科学教室として、井上善次郎初代教授のもとに誕生しました。その後、柏戸留吉教授、佐々貫之教授、堂野前維摩郷教授、田坂定孝教授、斎藤十六教授、熊谷朗教授、吉田尚教授、齋藤康教授へと代々継承され、2009年から横手が第10代の教授を務めています。

私が教授に就任してから5年が経過し、新しい教室の基盤作りがほぼ整いました。幸い講座の若者達の活躍が大学外でも認められるようになり、国内外の数多くの学会で賞を獲得しています。教室のみんなには、それらを通過点とし、さらなる研鑽や海外留学を経て、信頼できる医師または優れた研究者として自らの夢の実現へ向け大きく飛躍して欲しいと思います。

社会の平均寿命がどんなに延びようとも、“より長く生きたい”と願うのが人の心でしょう。そして、高齢者人口が25%を超えた今後、“元気に”人生を全うすることの意義はさらに大きくなります。その実現に、医学の面から貢献することが細胞治療内科学講座の目標です。活躍の場は国内外に拡がっています。我々と共に学び、診療や研究を通じて未来を切り拓いて下さる若い力を求めています。

2014年10月
横手幸太郎