糖尿病、脂質異常症、肥満症、老化の診療向上のための臨床研究からのアプローチ

研究代表者 越坂 理也 千葉大学 医学部附属病院 診療講師 助教

研究概略

心筋梗塞や脳梗塞の元となる動脈硬化症、この原因となる糖尿病や脂質異常症等の代謝性疾患の治療には、検査値の改善のみならず内臓脂肪の減量などの根本的な解決が必要です。

代謝性疾患の診療をより良いものにしようと思い、海外で学んだ臨床研究のノウハウをもとに(日本製薬工業協会留学だより)、「革新的な臨床研究を通じて、世界中の人々の治療を向上させる知識を開発し、共有すること」を使命として、数々の臨床研究に多くの方々と共に日々取り組んでいます。内臓脂肪減量を目的とする2型糖尿病の治療薬の多施設共同臨床試験(PRIME-V試験)や、IoTの機器も利用して減量をはかることで肥満関連合併症を減らすことを目的とした多施設共同臨床研究(SLIM-TARGET試験)、眼科とコラボして糖尿病治療薬を用いた糖尿病黄斑浮腫の多施設共同臨床試験(COMET試験)を行っている他、高中性脂肪治療薬を用いた国際共同試験であるPROMINENT Studyにも参加しています。

さらに臨床試験のみならず、早老症の一つであるウェルナー症候群の病態解明を目的とした疾患レジストリおよび新規治療法の開発にも従事しています。また臨床研究の発展形として、ビッグデータを用いた糖尿病治療薬と癌、心血管疾患との関連に関する解析を他大学と共同で進めている他、地域の病院および自治体と協力しビッグデータを用いた糖尿病性腎症の予防に関する研究や、遠隔診療の実現を目指した共同研究、糖尿病症例の周術期の感染症発症リスクを予測するリスクエンジンおよびWebアプリケーションの開発にも携わっています。

糖尿病に対する臨床研究

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脂質異常症、肥満症、早老症に対する臨床研究

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本研究の展望 / 臨床応用に向けて

越坂 理也(研究代表者)
生活が便利で豊かになるにつれ増加の一途を辿る糖尿病や脂質異常症等の代謝性疾患を患者さんと共に予防し治療していくこと。そして革新的な医療を多くの方々に提供出来るよう、代謝性疾患に関する臨床研究に日々取り組んでいます。

横手 幸太郎(千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学 教授)
有効かつ安全な最新の治療を生み出すためには、臨床研究が必要になります。当教室では、越坂先生をハブとして、大勢の医師やスタッフが協力しあい、1日でも早く、エビデンスに基づく最新の医療を患者さんのもとに届けるべく、数多くの臨床研究に取り組んでいます。武道の「守破離」の精神で、型にはまらず、常に新しいことを求める一方で、基本や規律に忠実に従い、患者さんの思いも大切にしています。

 

関連リンク

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