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法遺伝子学(Forensic Genetics)

法遺伝学部門では、解剖業務における身元不明死体のDNA型検査、民事裁判における親子鑑定などのDNA型鑑定、さらにDNAを用いた幅広い研究を行っています。

DNA(deoxyribonucleic acid)とは、地球上の多くの生物において遺伝情報の継承と発現を担う高分子生体物質です。法医学分野では、DNA配列において個体差を示すDNA多型を利用しています。これまで私たちは、ヒトに寄生するウイルス及び細菌のDNA多型を応用した、身元不明死体の出身地域推定を行ってきました。腎臓に寄生するJCウイルスのDNA多型を用いた方法では、すでにDNAチップが開発され、実際の鑑定に応用されていますが、私たちはヘルペルウイルスやヘリコバクターピロリ菌を用いた方法も開発し、最終的にはこれらの寄生生物のDNA多型を合わせて身元不明死体の出身地域推定を行っていきます。

私たちは、2013年12月にクラス1000レベルのクリーンルームを設置しました。陳旧で微量な試料の場合、細心の注意を払って検査を行っていますが、クリーンルームの設置により、コンタミネーション(科学実験の場における汚染)を最大限に防御することが可能になり、精度の高いDNA型鑑定を行うことができようになりましたし、ミトコンドリアDNAの検査(非常に微量な資料からも検査可能ではあるがコンタミネーションが懸念される)も可能となりました。さらに、私たちは、パラフィン包埋標本や病理組織標本などのホルマリン固定の試料からのDNA型検査にも取り組んでおります。

また、今後の目標としては、次世代シークエンサーの購入を検討しています。次世代シークエンサーを用いることで、疾患遺伝子や薬物代謝遺伝子などの解析が可能になり、これまでの法医遺伝学からさらに発展し、臨床医学へのフィードバックを行うことが可能となります。当教室における法遺伝学部門では、個人識別としてのDNA型鑑定だけではなく、死因究明及び臨床医学に役立つ分野へと発展させていきたいと考えております。