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大規模災害時の個人識別における画像利用の研究

日本における大規模災害人の個人識別はいまだ多くが顔貌・着衣など非客観的手段で行われており、東日本大震災において90%の遺体は顔貌等により判断がなされ約20名の取り違えが発生したことが知られています。

一方、海外においては国際刑事警察機構の推奨するDisaster victim identification(DVI:大規模災害時の被害者の個人識別)とよばれる方法をとり、医師・歯科医師・警察官等多職種により遺体調査チームが編成され、生前情報やDNA等の他の情報を統合し判断するのが従来の方法でありました。近年これに加えて、普及した死後CTを個人識別に活かす動きが一般化しつつあります。

2014年の国際法医放射線画像診断学会(ISFRI)において、大規模災害時における死後CT利用が明文化され、国際刑事警察機構の推奨する個人識別表にも死後CTの項目が導入され、国際的なDVIチームには画像読影を担当する放射線科医の参加が求められているのが世界の大規模災害時の対応の標準です。

当教室に所属する放射線科専門医である担当者は、当教室においてDVIでの死因究明、個人識別に研究実務両面で実績のある法医学者(本村あゆみ氏)・法歯学者(斉藤久子氏)を研究協力者として助言をあおぎながら、多職種連携チームの編成、個人識別における死後全身CTの利用を本邦に導入し、従来法からの大転換を目指す研究を手掛けています。

担当者:吉田真衣子