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薬物の死後再分布

法医学における薬物血中濃度測定は、現場状況、解剖所見、組織学・生化学検査と合わせて、死因究明の方法の一つです。特に、死因に薬物の関与が疑われる場合では重要となります。しかし、死後検体は生前の検体と異なり、死後変化が起こるとされています。これまでに死後のpH変化、死後経過時間、採取部位の違い、薬物の性質などが死後検体の薬物検出濃度に影響を与えることが報告されています。

これまで再分布を起こし易い薬物として三環系抗うつ薬やSSRIなどの研究が数多く報告されています。私は今回新たにアルツハイマー治療薬での死後再分布を実際の解剖検体にて経験したことから、アルツハイマー治療薬の死後再分布の可能性及び再分布をしているのであればどのような要因が影響を与えるのかを明らかにしたいと考えています。またアルツハイマー病の治療約だけではなく、その他の薬物に関しても詳細な死後再分布の機序を明らかにしたいと考えています。

担当者:永澤明佳