病態解析研究部門
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研究内容

 病態解析研究部門では、主に千葉大学大学院医学研究院精神医学、千葉大学医学部附属病院精神神経科、また千葉県内精神科医療機関と共同で統合失調症などの精神病性疾患の臨床研究を実施しています。疫学調査・遺伝子解析・脳画像解析・薬物臨床試験等の手法を駆使して抗精神病薬の疾患経過に与える影響や有害事象(遅発性ジストニア)の実態・新規治療法の確立を目指しております。

統合失調症患者のドパミン過感受性精神病・長期経過に関する研究

 統合失調症の患者様の経過は極めて良い経過を辿る方が2割程度、治療抵抗性統合失調症など難治性の経過を辿る方が4割程度いるとされています。また大半の患者様が再発をすると言われています。これまでの研究の集積で寛解と関係する因子、治療抵抗性と関係する因子が幾つか見出されてきています。

 我々はここにドパミン過感受性状態やドパミン過感受性精神病が予後も大きな影響を与えると考えており、研究を進めています。ドパミン過感受性精神病は、再発の脆弱性に関係し、再発後の薬物治療によってさらなる拍車がかかる可能性もある重要な概念であると認識しています。ドパミン過感受性精神病と他の予後予測因子との関係を詳細に分析することで、治療に有益でより実践的な経過予測の実現を目指しています。

 

統合失調症薬物療法に関する研究

 統合失調症患者様への抗精神病薬による薬物療法の世界で、十分なエビデンスが得られていない臨床疑問を解決するための研究を行っています。特にクロザピン、持効性注射剤、ドパミン部分作動薬に着目し、臨床における次の一手を有効に打ち出す決断に貢献するデータの産生を目指しています。千葉県内の精神科医療機関の諸先生方のご協力を得ながら多施設共同研究で進めています。

 

難治性統合失調症の病態研究

 クロザピンが有効ではあるものの、それでも尚、十分な治療効果が得られていない患者様が数多くいる状況にあります。難治性統合失調症患者の治療を考える上で、他のタイプ・経過の患者様と区別して検討することが重要であると考えています。当研究室では遺伝子、生化学的、電気生理学的(TMS)、MRI解析などのアプローチを採用しながら、病態研究を進めています。

 

遅発性ジストニア研究

 遅発性ジストニアは抗精神病薬治療における最も重篤な副作用の一つと考えています。有効な治療手段が無い状況であることから、ジストニア患者様からゲノム試料の提供を受け遺伝子の解析を中心に研究を進めています。