千葉大学精神神経科(竹内啓善教授ら)のご指導と、千葉県内の医療機関・東北大学精神神経科(小松浩先生)の協力のもと、多くの共同研究を展開しています。
治療抵抗性統合失調症をテーマとしています。経過や症候学を丁寧に観察しながら、難治性症状を構成する各症状ドメイン(認知機能・自閉症状)の病態に迫ることを目標としています。アプローチとして脳画像や遺伝子、認知機能検査、経頭蓋磁気刺激装置、メタ解析など多角的手法を用いています。
臨床薬理学研究にも力を注いでおり、特にドパミン過感受性精神病の統合失調症への病態修飾や薬物療法のあり方に関する研究、クロザピン反応性に関する研究を展開しています。また遅発性ジスキネジア・ジストニアなど遅発性症候群の研究も計画しています。
摂食症、中でも「自己評価への体重や体型の過度な影響」を中核症状とする神経性やせ症と神経性過食症は、精神疾患の中でも極めて死亡率が高く、患者さんの生活や人生への影響もとりわけ深刻な疾患です。にも関わらず薬物療法への反応性が乏しく、治療の第一選択である心理療法の効果も限定的です。更に極端に細身であることがアイデンティティになってしまうこと等により、患者さん自身が治療につながることを望まず、受診をしない/継続的な受診ができない場合も多々あります。
摂食症の背景にどのような脳機能の異常が生じているのか、そして病状の改善は脳機能がどう変化することでもたらされているのかを解明することは、摂食症の患者さんを深く理解し、適切に治療へ動機付ける上で大きな助けとなるだけでなく、現行治療の改良や新たな治療法の開発においても鍵となります。私たちはこの目的の元に、千葉大学精神神経科との連携の下で独自の研究を行っているだけでなく、千葉大学 こどものこころの発達教育研究センター(平野好幸教授)や、国際医療福祉大学成田病院(中里道子教授)からもご指導・ご協力を頂きながら、数多くの共同研究を推進しています。
下図は健常者と比べ神経性やせ症で亢進/低下していた安静時脳機能とその解釈です。
(須藤ほか 2024, Psychological Medicine, 54(10):2347-2360)
図a(須藤ほか 2026, Preprint available at Research Square)
図aは神経性過食症に対して行われた認知行動療法の治療効果と関連していた安静時脳機能です。 認知行動療法により、報酬の価値を評価し行動を選択するセンターである眼窩前頭皮質と、目的達成のための思考や行動の制御において抑制的に働く下頭頂小葉(縁上回)間の結びつきの強さなどが変化しており、食物に対し適切な報酬制御ができるようになった事で治療効果が発揮されている可能性などが示唆されています。