教室紹介

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教授ご挨拶

呼吸器内科学
教授 鈴木 拓児

呼吸器内科 ~過去から未来へ~

 

 

内科学の担当する範囲は広汎であり、その一つが呼吸器内科学です(図1)。

図1

 呼吸器内科診療は広い範囲を担当しており、呼吸器内科を入口として内科診療を学べば、将来いわゆる総合内科医には最も近いと考えています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、呼吸器感染症(肺結核症を含む)、胸膜中皮腫、肺がん、急性肺障害、肺血栓塞栓症、肺高血圧症、睡眠時無呼吸症候群、アレルギー性呼吸器疾患(過敏性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症など)、間質性肺疾患と、広い範囲の病態を認識することにより、適切な診療が可能であり、さらに有益な基礎的・臨床的医学研究への道が開けるはずです(図2)。これらの病態は合併もあり得るし、また全身性疾患の部分症である可能性もあります(図3)。

 呼吸器病態が悪化、進行すると呼吸不全に陥ります。これには急性と慢性がありますが、呼吸不全では臓器相関が問題になります。呼吸不全は中枢神経系、血液系、腎臓、消化管、心臓、肝臓など多くの他臓器に影響を及ぼします(図4)。また、その逆の場合もありえます(図5)。

図6

 呼吸器疾患は環境を映す鏡である、と言われています。病気は何からの未知の遺伝的素因の上に環境要因が加わって成立する場合が多いのが実際です。病名は症候学的な要素が強く、軽症から重症まで同じ病名で理解されがちです。しかし、軽症と重症では同じ病気でも病態は異なり、治療戦略は異なるべきです。すなわち、病名診断は重要ですが、病態の理解はさらに重要になります(図6)。

図7

 呼吸器病学では、解剖学、生理学、診断学を再構築し、生化学的所見、画像所見、病理所見を加えて、総合的に全身性疾患としての病態生理の把握が必要です。それが適切な治療に繋がります(図7)。

図8

 残念ながら、ほとんどの呼吸器疾患はその発症機序が不明です。同じ呼吸不全を呈する慢性閉塞性肺疾患(COPD)と間質性肺炎では発症機序が異なりますが、臨床的結果は呼吸不全であるかもしれません。臨床はわからないことだらけです(図8)。しかし、現場では現状の知識、智恵を集積してチームとして診療に当たらなければなりません。 さらにより良い診療を求めて、臨床での疑問を研究するという姿勢は重要です(研究マインド)。一生興味を持ち続けることができる、医師としてやりがいのある診療科、学問が呼吸器内科診療そして研究です。

 若い先生方には、広い意味での千葉大学医学部呼吸器内科の一員となることにより、自分自身がより活躍できる場が広がることを期待しております。医療、医学は一人ではできません。そこにはHuman Chainの形成が必要と考えています。その輪(和)の中で、一緒に21世紀に羽ばたきましょう。