病気と検査・治療について

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閉塞性動脈硬化症

症状

脚の血管に動脈硬化を起こすと、最初はつま先などに冷たい感じを覚えるようになります。そして次第に歩いた時の痛みが出現するようになります。この痛みは歩くのをやめると収まります。この状態を間歇性跛行(かんけつせいはこう)といいます。徐々に歩ける距離が短くなり、やがて歩かない時でも痛くなります(安静時痛)。血管の流れが悪くなった箇所に応じて、太ももがいたくなったり、ふくらはぎだけが痛くなったりします。また左右の脚で別々におこることもしばしばあります。
この状態をさらに放置すると足の指が変色したり、皮膚が傷んで潰瘍になったりします。安静時痛や潰瘍が出現した状態を重症下肢虚血といいます。ここまで進行すると自然治癒は非常に困難で、最悪の場合、足を切断しなくてはならなくなります。閉塞性動脈硬化症やバージャー病といったこのような下肢の動脈硬化症は、長期的には癌に匹敵する高い死亡率につながるとして近年おおきな注目を集めています。

検査

ABI

間歇性跛行の原因は、脚の血管の動脈硬化から来る場合と、腰の神経の障害から来る場合があります(またはその両方のこともあります)。動脈硬化があるかどうかの見当をつける検査として、手首と足首の血圧を同時に測ってくらべるABI検査があります。この検査は入院を必要としないので、大学病院の外来またはかかりつけの先生のところでも機械があれば数値を調べることができます。足首の血圧が手首の血圧に比べて9割を切った状態(ABIの値が0.9未満)では、脚の血管が動脈硬化で狭くなっている可能性があります。

カテーテル検査(下肢動脈造影)

下肢の動脈に狭いところがあると考えられる場合は、その程度を見きわめて治療方針を決める必要があります。そのためにはカテーテル検査が必要です。冠動脈造影検査と似たような手順で、脚の血管を撮影して狭いところを確認します。検査は1時間程度で行いますが、患者さんの安全のため2泊3日以上の入院でご案内しています。

治療

狭心症、心筋梗塞などと同様に、脚の動脈硬化についてもカテーテルで治療することが出来ます。近年、この下肢血管内治療の技術は目覚ましい発展を遂げており、当院でも骨盤・大腿・膝下の各部に対するカテーテル治療が施行可能です。骨盤部ではステントと呼ばれる金網の筒を挿入することにより、外科手術に劣らない長期成績が得られるようになっています。また膝下への血管内治療が可能になったおかげで、足に潰瘍が出来てしまった患者さんが回復し、切断をまぬがれることもできるようになりました。下肢血管内治療の場合は3泊4日以上の入院で、手術時聞は患者さんことに異なりますが平均2時間程度で終了します。