留学だより

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寺田二郎(H12年卒)

留学先 University of Wisconsin-Madison(2009/4-2011/3)

 H12年卒の寺田二郎です。私は、大学院終了直後の2009年4月より2年間、米国ウィスコンシン大学、Prof. Gordon Mitchellの元で研究させていただく機会をいただきました。ここでは、研究留学に興味をもっていただいた若手医師に向けて、1. 自分がどのようなきっかけで留学したのか、2. 研究留学がどのようなものであったか、などを中心に報告させていただきます。

 留学先のウィスコンシン大学マディソン校は、1849年に設立された米国州立大学のウィスコンシン大学本校です。ES細胞を発見したジェームス・トムソン教授がいることからも再生医療研究が有名で、卒業生にはノーベル賞受賞者が11人を擁する研究が盛んな大学です。場所は、米国中西部ウィスコンシン州の州都マディソンという人口約20万人の中規模都市にあります。大学キャンパスと街に境界(校門)がなく、湖に囲まれた美しい景観が印象的です。ウィスコンシン州は北緯42-47度で北海道とほぼ同じ位置にあり、非常に過ごしやすい春・夏と寒さの厳しい冬は北海道と同等かと思います。

(左1-2枚目:University of Wisconsin Madison, 右Wisconsin state capital)

 所属していたMitchell labは、呼吸神経調節の解析を行っている16名の研究者を擁する比較的大きな研究室です。アメリカ人主体の研究室で、私以外の外国人は、カナダ人1名、オーストラリア人1名、フランス人2名、インドネシア人1名がその構成員です。私は大学院博士課程の3年間、自律機能生理学(旧第二生理学)教室にて視床下部による睡眠中の呼吸調節について研究させていただきました。実際に留学することになったのは、大学院3年生のときの学会発表がきっかけです。ワシントンDCで行われたExperimental Biology (FASEB) 2007で発表した際に、後のボスとなるDr. Gordon Mitchellに初めてお会いし、以後研究について相談させていただく機会をいただきました。兼ねてから留学を希望していたことと、自分の研究が留学先の研究テーマと一致していたことと、以前研究されていた中村晃先生に対するボスの絶大なる信頼があったことも重なり、大学院卒業直後よりResearch Associate (postdoctoral fellow)としての研究留学をスタートすることができました。研究内容としては、短時間の繰り返す低酸素暴露後の舌下神経、横隔神経などの呼吸増強が発現するといったモデルを用いて、その分子基盤の解析と臨床応用の可能性についての研究していました。特に、脳波、呼吸、各種筋電図、核体温を体外から検出できるtransmitterをラット体内に埋め込む実験系を用いて、無麻酔、無拘束状態の呼吸増強の研究を行い、間欠的低酸素後の横隔膜活動の長期増強の効果を報告することができました。

(写真:Mitchell lab)

(上:留学中の自宅、下:ニューヨーク旅行)

 研究留学について帰国した今振り返ってみると、実験がうまく行かない時も、英語で悩んだ時もたくさんありましたが、志の高い世界の医学研究者たちとの生活は、決して日本での得ることのできないようないろいろな刺激を受けたと思います。国籍を越えた研究者の皆の温かいサポートと巽浩一郎教授、中村晃先生、その他日本からも数多くの先生方に支援していただき、充実した米国留学生活を送ることが出来たと思っています。自宅では妻と1歳・3歳の息子達と苦労や幸せを共にすることができたため、家庭人としても人生に欠かすことのできない経験ができたと感じております。現在は千葉大学医学部・附属病院に戻り、この留学経験を生かして呼吸器内科臨床・研究・教育・千葉県地域医療に貢献できるよう力を尽くしているところです。

 最後に、入局に興味をもっているみなさんへ。良い臨床医になるためには、診療だけでなく、研究も(教育も)非常に大切な要素だと思います。当科のたくさん仲間たちと切磋琢磨しながら、呼吸器領域の診療と研究にともに頑張りましょう。医局員一同お待ちしております。