千葉大学 大学院医学研究院 和漢診療学講座

和漢診療学講座について

舌診研究

平成24年度厚生労働省科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)
「国際化に対応した科学的視点に立った日本漢方診断法・処方分類及び用語の標準化の確立(H24-医療-一般-022)

背景と目的

 臨床においても、日本は西洋医の資格を得た医師がさらに研鑽を重ねて伝統医学を実践するシステムを持つ世界で唯一の国であり、すでに西洋医学との協調によって世界に類のない日本型の統合医療を展開しています。しかし、近年ISO(TC249)に中医学の国際標準化を提訴した中国に対し、日本には国の標準として提起できる伝統医学の資料が少ないのが現状です。中国が中医学の国際標準化を狙う緊迫した国際情勢の中、日本は国益として自国の伝統医学を守る義務があり、日本伝統医学概念の標準化と連動して、その基盤となる臨床的診断法の標準化を確立することはまさに急務であります。
 2010年WHO/ICTMのプロジェクト、2009年ISOでのTC249において中国伝統医学の国際標準化への対策の検討がJLOM(学会などが中核となり形成している組織)を中心として始まっています。それに連動して平成22/23年度厚生労働省科学研究費補助金事業「統合医療を推進するための日本伝統医学の標準化」研究班(研究代表者:新井信、分担研究者:並木隆雄ほか)を立ち上げ、日本伝統医学の標準化に向けた基盤整備を推進しました。このようにその基盤となる日本伝統医学の学問的整備と標準化をすすめてまいりましたが、平成24年度からはさらにいまだ標準化がされていない漢方の診察法の研究を開始しました。

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班構成

現在、漢方標準化に必要な学問的基盤作りとして7部門に分かれて研究を行っております。

千葉大学で開発した舌撮影装置(TIAS)を用い、舌診所見(色調、形態)に関する検討を行っている。

腹診研究班
…腹診手技の標準化、腹力・腹証の標準化のための腹診シミュレータを作成する。既に作成したプロトタイプの改良をする
脈診研究班
…脈診手技と脈診所見の標準化。シミュレータを作成とその基盤となる文献調査
漢方薬分類班
…日本においては類方分類(桂枝湯類等)があるが網羅的な分類はない。中国の分類は古典的な分類で日本の漢方薬の使い方との整合性に乏しい。そこで新たに科学的方法で網羅的な分類を考案することを目的とする
国際標準化研究班
…国際標準作成作業(国内対応)、国際標準作成作業(国際対応)。伝統医学国際標準化の国内理解の促進
医薬政策研究班
…中国医学標準化動向調査と東アジア伝統医学標準化の政策分析
鍼灸研究班
…モグサの安全性や規格等に関する実験研究、蓬や艾製造に関する研究を行う