診療案内

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気管支鏡センター

当院では内視鏡センターが2017年に新設されました。

消化器内視鏡・気管支内視鏡における診断・治療と多岐にわたり、専門領域については各分野の専門医が内視鏡センター部門にて診療を行います。

各診療科の垣根を取り払い、呼吸器外科と呼吸器内科、食道胃腸外科と消化器内科が合同で診断、治療に携わることで質の高い内視鏡診療・治療を提供しております。

 

当科で施行している気管支鏡対象症例

1. 末梢肺野病変

当院での末梢肺野病変への診断率は8割を越えており、高い診断率を保っております。必要に応じて仮想気管支鏡画像やラジアル型超音波プローブおよびガイドシースを使用した生検を行っています(GS-EBUS)。

また、Rapid On-Site cytologic Evaluation (ROSE)を併用し、診断に必要な検体量の質の確保も行っており、複数の遺伝子変異検索に必要な検体量を得ることが可能です。さらに一般に診断が困難とされる再生検症例での診断にも対応しています。

2. EBUS-TBNA

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は、世界に先駆け当科で臨床開発が始まりました。以来、1800名以上の患者さんにEBUS-TBNAを施行しており、国内だけでなく世界的にも指導的立場にある施設です。特に肺がん症例ではPET-CTで集積のある5mm未満のリンパ節への穿刺や、食道に接した縦隔リンパ節へのEUS-(B)-FNA(超音波内視鏡下経食道針吸引生検)での穿刺を積極的に行い質の高い診断を行っております。また、一般に針生検診断が困難とされているリンパ腫や心臓腫瘍に対する超音波ガイド下生検にも対応しています。

末梢肺野病変と同様に、複数の遺伝子変異検索に必要な検体量の確保が可能です。

3. Re-biopsy生検

化学療法(特に分子標的治療)施行後の再生検症例に対する診断を積極的に行っております。

呼吸器外科、呼吸器内科、臨床腫瘍内科の3科合同カンファレンスを通して再生検のタイミングの相談や、検体採取可能かどうかの相談を事前に綿密に行うことで、治療のタイミングを逸することなく生検を行います。

高難易度のEBUS-TBNA症例を複数経験しており、生検可能かどうか一度当科外来へご相談ください。

4. インターベンション

気道病変に対するステント留置やホットバイオプシー、スネアリング、APC、YAGレーザー、バルーン拡張といった多様な治療を豊富な経験を有する気管支鏡指導医・専門医が積極的に行っており、近隣の施設および隣接する他県からも多くの症例について御相談頂き、加療を行っております。

これらの治療を複数用いた治療を実際に行っており、気管内腫瘍を硬性鏡下に切除し止血をAPCやホットバイオプシーで行った後にステントを留置する、といったような、気道内治療を行っております。外科的手技も施行可能であるメリットを生かし、多角的な判断から良性気道狭窄も含めた経気管支治療を行っています。

ステント挿入に関しては、通常の気管支鏡を使用しながら挿入可能な拡張型金属ステント(EMS)やハイブリッドステントのほか、全身麻酔下に硬性鏡を使用して挿入するシリコンステントなど、各種ステントの治療に対応しています。ステントの対象疾患は腫瘍による気道狭窄だけなく、再発性多発軟骨炎などの良性難治性気道病変も取り扱っています。常時、硬性鏡の処置が可能な数少ない関東地区基幹施設の一つです。

5. 気道異物

義歯などの異物誤嚥に対する気管支鏡下摘出術を行っております。

症例に応じ、安全に処置を行うために必要であれば、手術室で行う場合もあります。

とくに小児気道異物に対しては常時対応可能である数少ない関東地区基幹施設の一つです。このため千葉県内だけでなく隣接他県からも紹介を受け、小児外科・小児科と協力してリスクの高い気道内異物に対して、全身麻酔下に摘出することも起こっております。

6. EWS (Endobronchial Watanabe Spigot)

難治性気瘻を認めるものの、手術を行うには全身麻酔のリスクが高く施行不能な症例に対して、EWSの挿入を行いリーク量を減量した後に、胸腔内フィブリン糊注入療法や、可能な場合は胸膜癒着術を施行したりすることで、気瘻マネジメントを行っております。また、消化管と気道の交通症例などにも新たな試みとしてEWS挿入を行い、良好な成績を得ております。

7. PDT (Photo Dynamic Therapy)

内視鏡的早期肺癌に対して、腫瘍親和性光感受性物質(レザフィリン)と低出力レーザー光により生じる光線力学的反応により殺細胞効果を引き起こす治療(PDT)を行っております。

内視鏡的早期肺癌に対しては高い制御率を誇るため、高齢者や低肺機能の方にも安全に治療を行うことができます。

しかし、気管支軟骨の腫瘍浸潤到達度をPDT治療前にしっかりと評価し対象症例を見定めているため、見た目が内視鏡的早期肺癌であっても実際の腫瘍浸潤度が高い症例に対しては標準治療である手術や、手術が高いリスクの場合は放射線治療をお勧めする場合もあります。

 

呼吸器外科で行っている気管支鏡関連の臨床試験についてはこちらのページからご確認いただけます。