研究グループ

ページタイトル画像

泌尿神経学

概要

 多くの神経内科疾患で下部尿路症状が認められ、特に尿失禁や尿閉などの症状で困っていらっしゃる神経内科の患者さんは多いですが、”神経内科疾患における下部尿路障害”は神経内科と泌尿器科の境界領域であるため、正しい診断・治療が行われないことも少なくありません。当科では神経内科疾患に伴う下部尿路機能障害の診療・研究に力を入れています。

 下部尿路障害の診療はアンケートを用いた問診、排尿日誌、尿流測定、残尿測定が基本ですが、病態把握が難しい症例については神経内科医と泌尿器科医が合同で尿流動態検査を行っています。

臨床研究

 当グループではパーキンソン病や多系統萎縮症を中心とした神経変性疾患における下部尿路障害の臨床研究に力を入れております。下部尿路症状に関する詳細な問診・尿流動態検査が下部尿路障害の診断・治療に有用なのは言うまでもありませんが、疾患により下部尿路症状の種類・程度が異なるため、下部尿路障害を詳細に調べることが神経内科疾患の診断に役立つことも少なくありません。当グループではこれまで神経変性疾患を中心に様々な神経疾患における下部尿路症状・尿流動態検査所見や、診断への有用性について学会発表・論文発表を多数行なってきております。

基礎研究

 神経疾患に下部尿路障害が多く認められるのは、下部尿路の機能が神経支配を受けているからなのですが、特に脳内の様々な部位が排尿調節に関わっていると考えられております。当グループでは動物を用いて高位排尿中枢の活動を電気生理学的手法やマイクロダイアリシス法を用いて研究しています。これまで、脳内の様々な部位に膀胱内圧と関連して発火するニューロンがすること、膀胱内圧と関連して分泌される神経伝達物質が存在することを明らかにしてきました。今後は疾患モデル動物を用いて、排尿中枢の活動が病的な状態でどのように変化するのかを明らかにし、実際の臨床にも役立てたいと考えております。