対象となる疾患

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横隔膜ヘルニア

先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は生まれつき横隔膜がなく、お腹の臓器が胸に入り込んでしまう病気です。
肺低形成新生児遷延性肺高血圧症を合併するため、生まれた後に呼吸の障害がみられます。
CDHの重症度は個人差が大きく、重症度に合わせた個別の治療が必要となります。
当院では以下のように重症度を評価し、産科・新生児科・小児科と情報を共有しながら治療にあたっています。
当院は本邦のCDH研究班参加施設であり、CDH研究の一翼を担っています。
患者・家族会とも密な連携をとりながら、常によりよい診療を追求しています。

胎児CDH予後予測の流れ


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1. 包括的胎児CDH予後予測

染色体異常と両側CDHを除く、全てのCDH胎児が対象となります。

重篤スコア=o/eLHR<25% + 肝脱出 + 胃脱出 + 右側×2 + 合併症×3

o/eLHR:胎児肺の大きさの指標(計算式
肝脱出:肝の胸の高さ1/3以上の脱出
合併症:単独で致死的となりうる形態異常

 

重篤スコアの点数による重篤予後の確率

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 重篤予後:死亡もしくは生後半年以上の入院加療を要する状態

2. CDH Survival Calculator

前段の包括的胎児CDH予後予測で中間リスクに分類された場合、更に詳細な予後予測が必要です。
合併症のない左CDH患児に限り、より詳細に予後を予測することができます。

3. 出生後情報による予後予測(胎児診断なし)

胎児診断がない場合、合併症のないCDH患児の予後を予測することができます。

カテゴリー

定義

生存率

在宅医療なしでの退院

0

生後24時間以内の

呼吸管理なし

100%

100%

1

Apgar score(1分値)=5~10

かつ

Best OI<8

100%

95%

2

Apgar score(1分値)=0~4

もしくは

Best OI≧8

88%

73%

3

Apgar score(1分値)=0~4

かつ

Best OI≧8

52%

35%

4

胎児死亡

蘇生前死亡

0%

0%

Best OI: 生後24時間以内における最良(最小)のoxygenation index