EDUCATION & RESEARCH

HOME > EDUCATION & RESEARCH > 死後CTの誤診パターンを調べ、読影の質を向上させる研究

死後CTの誤診パターンを調べ、読影の質を向上させる研究

近年、解剖率の低下・画像診断装置の普及と診断学の発展、法律の制定(2013年死因身元調査法施行、2019年死因究明基本法)など複合した因子を背景に、死体の画像検査は臨床・法医学の双方の領域において増加の一途をたどっております。しかし、とられた画像の評価を誰がどのように行ってゆくのかという問題は棚上げになったままで、画像の専門家でもなく死体の専門家でもない医者の死後CT読影における誤診はあとをたちません。しかし誤診が誤診であると判断するためには、解剖結果との対比が不可欠であり、先進諸外国に比べて極端に低い解剖率である我が国では、当教室にように解剖前CTを行いかならず解剖結果と対比できる施設において、病院でとられた死後CTや、捜査の一環などとして警察主導でとられた死後CTの読影の結果と、当教室での解剖前CTの読影の結果を、解剖結果と対比して、どこで誤診が生まれたのかを検証することは大変重要であり、今後の死後画像の読影の質を向上させるために不可欠です。この検証を行うためには、死後画像の読影の知識と経験のある放射線科専門医(世界的には法医放射線科医forensic radiologistないしnecro-radiologistとよばれます)の存在が欠かせず、担当者はその立場にあり、誤診のパターンを調べる研究を続けています。(写真は、世界的な法医放射線科医クリス・オドンネル先生訪問時の一枚)

こうした研究とともに、実際画像を取得する施設(警察嘱託医や救急搬送病院など)とのつながりも今後深めてゆき、死因究明における画像利用の適正化を図ってゆきたいと考えています。

担当者:吉田真衣子