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法医画像診断学(Forensic Radiology and Imaging)

法医画像診断学という学問を皆様は聞き慣れないかもしれません。一時期小説やドラマなどで紹介された様に、ご遺体のCTやMRIを利用して死因を判定するというお話しを想像されるかもしれません。しかし実際にはなかなか画像検査だけで死因は究明できません。真の意味で死因究明に役立てるためには、解剖所見との対比というプロセスによりエビデンスを形成することが必須となります。これが法医画像診断学の一つの目標です。英語ではForensic Radiology and Imagingという言葉が定着しつつあります。

ところで、法医学はご遺体ばかりを扱う学問ではありません。例えば近年問題となっている児童虐待や高齢者虐待においては、生きている被害者の傷を評価し、虐待が如何なるものであったのか、できる限り科学的に再現することも法医学に求められる使命の一つです。生きている方には解剖等実施できませんので、画像検査が唯一の証拠となることが多々あります。法医画像診断学ではご遺体の解剖-画像所見対比により蓄積した知識を、こういった臨床法医学に還元する事も大きな目標としています。

千葉大学法医学教室では日本に先駆け2006年から、据え置きCTを導入し、法医学に画像検査をどう役立てるのか、研究実績を積んで参りました。2009年からは多列検出器型CTを設置し、高精細に撮影を行う事が可能になっています。さらには造影剤、超音波、内視鏡など他のモダリティにも挑戦しています。また、附属病院放射線科と連携し、技術的サポートをいただき、また放射線科専門医とのカンファレンスによって読影能力の向上をはかっております。児童相談所と連携して県下で撮影された虐待に関する臨床法医放射線の相談も受けています。

2016年9月からは、CTを64列にグレードアップし、全身を高速で撮影することが可能になっています。また80 KVと140 kVの2つの管電圧でも撮影が可能となり、これによってデュアルエナジーCTの手法による物質識別が可能となっています。さらに据えつきのものはありませんが、レンタルMRIを利用した死後MRIの撮影も不定期に行なっています。

予算化などによって今後、法医画像診断学の利用は急速に進む事が予想され、知識の集積を更なるスピード感で進めて行きたいと思っております。こういった分野に興味があり、研究や実務に携わられたい方がいれば、是非お問い合わせください。お待ちしております。