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質量分析計を用いた脂質分析の法医学的応用

細胞を包む細胞膜は主にリン脂質という種類の脂質で作られています。このうち、ヒトの細胞膜を構成するリン脂質で最も多いホスファチジルコリンという種類に注目し、炎症などによる細胞膜の酸化の実態を捉えるべく研究を行っています。

例えば、好中球という白血球の一種が殺菌のために産生する次亜塩素酸は、ホスファチジルコリンを酸化して、塩素の付加した酸化物や、一部の脂肪酸が取れた脂質などを産生します。現在、これら酸化物の検出される次亜塩素酸の濃度等条件を検討しています。また、法医解剖で採取された膿瘍など好中球の働いた可能性のあるサンプルに、どのような酸化物が見られるかを検討しています。今後、これらの酸化物等が、解剖事例における感染症を示唆するマーカーとならないか、酸化物自体が臓器の機能に影響を及ぼさないか、研究を進めていきたいと考えています。

これらの脂質酸化物の検出には、構造解析に適するLC/QTOF-MSを用い、網羅的な産物の検出を行っています。

担当者:星岡佑美