千葉大学 大学院医学研究院 和漢診療学講座
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和漢診療科での実習例

実習例

8:00~8:30朝の勉強会(基本漢方教科書や傷寒論など)
9:00~12:00外来見学(機会があれば患者の歴史聴取や診察もできる)
昼休憩
13:30~13:50病棟看護師とのカンファレンス(入院患者について看護師と意見交換)
14:00~15:30総回診とカンファレンス(入院患者の経過と治療方針について学ぶ)
16:00~17:00自習と質疑応答(疑問点を残さないように)

1日お疲れ様でした

和漢診療科 見学実習感想

福田冬馬先生
自治医科大学6年生(当時)
福田 冬馬 先生
私は、6年生時の選択実習の時期を利用して2013年8月26日~9月20日まで和漢診療科で4週間実習させていただきました。私の所属する自治医科大学では、卒業後は地域医療に従事することとなっておりますが、私が漢方を学ぼうと思ったのは、卒後勤務することになる病院の見学に行ったことがきっかけでした。高齢化の進んだ町にあるその病院には、難治性の足腰の痛みやしびれを訴える患者さんが大勢来院されており、将来私が勤務して同じような状況になったとき、漢方薬で治療することができれば、よくなる患者さんも増えるのでは?と思ったのです。

実習は朝8時の勉強会からスタートします。金匱要略という古典を読みながら、生薬の性質についても詳しく説明してくださり、これは漢方薬の証について考察するうえでとても参考になりました。朝9時からは外来見学があります。とても多くの患者さんが来院される上に、1人1人とても丁寧に診察されているのが印象的でした。その忙しい中で私にも脈診、舌診、腹診をさせてくださり、私が1番学びたいと思っていた、漢方独特の診察法について実践する機会を十分に頂きました。慣れてくると、新患さんの予診をとらせていただき、一から自分が診察したものについて先生に評価して頂ける機会にも恵まれました。また、診療の合間に質問にも答えて下さいました。私は陰陽、虚実、気血水、六病位などの概念がごちゃごちゃになってしまい、しつこく質問することが多く申し訳なかったのですが、そのたびに丁寧に教えてくださり、最終的にはうまく整理することができました。

病棟にも入院患者さんがいらっしゃるので、毎日の診察やカンファレンスへの参加も行いました。外来に来る患者さんの中でも難治な方が集まるためか、漢方薬を使ってもあまり変化がないといわれ、漢方診療の難しさも実感しました。その他、講義をしてくださったり、煎じ薬の講習会に出たり、医食同源食を食べたりと、めったにできない経験をすることができました。

以上のように、今回は本当に貴重な機会をいただきまして、奥深い和漢診療学の学習の入り口に立つことができました。西洋と東洋の両方の視点から患者さんを診ていくことは、なかなか難しいことではあると思いましたが、そのことが必要とされる患者さんも大勢いらっしゃることが実感できました。今後は先生方のような医師を目指して、研修医のうちからそのような視点をもって診療にあたれるように努力していこうと思います。4週間大変お世話になりました。先生方はじめスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

実習指導スタッフより

福田先生、一か月間の和漢臨床実習お疲れ様でした。先生の実習に対する熱意には大変感銘しました。私も和漢診療学の入門時には漢方概念の壁に当たり、先生を見ているとその頃を思い出しました。先生の素晴らしいところは疑問点を質問する事もそうですが、実習中に漢方医学の教科書を2冊も読破され、自分で壁を乗り越える努力をするところだと思います。今後、地域医療に従事する予定だそうですが、将来ここで手に入れた知識が少しでも先生の診療の手助けになれば幸いです。また、今後も漢方知識を発展させ、より素晴らしい医師になられることをお祈りしております。


矢野先生の和漢診療科臨床実習感想

矢野徹宏先生
東京大学医学部5年(当時)
矢野 徹宏 先生
私は2011年3月7日~31日の間、和漢診療科で実習させていただきました。漢方を学ぼうと思い立って突然メールで実習受入れをお願いしたのですが、先生方はそんな私を心から歓迎し、丁寧に指導してくださいました。全く知らない世界に1人で飛び込むのは不安でしたが、少し勇気を出して積極的に行動したことでほかではできないような経験をさせていただきました。

漢方に関しては、大学の系統講義で数日講義を受けた程度だったため予備知識はほとんどなく、初めのうちは話を聞いても理解できないことが多かったのですが、講義や輪読会を通して少しずつ知識が深まり、外来実習も一段と面白くなりました。実習を終える頃には予診を取って自分なりに診断・処方を考えられるようになったのですが、これは予想以上の成果でした。

特に独学での習得が難しいと思われる診察手技に関しては、実践する機会に恵まれ、先生方からのフィードバックもいただけました。外来見学は問診・診察所見から処方を導き出す過程が謎解きのようで楽しく、毎日多くの患者さんを拝見できて勉強になりました。また、漢方薬を煎じる実習では、生薬を調合して煮出し、小青竜湯という薬を作りました。一緒に実習した研修医の先生はまずくて飲めなかったそうなのですが、私は不思議とおいしく飲めました。よく漢方薬はまずいといわれますが、その薬が適している場合にはおいしく感じられることもあるそうで、花粉症で鼻水が出て困っていた私にはぴったりの処方だったのかもしれません。このように五感を使って実習することで教科書の内容も頭に入りやすくなり、漢方薬をより立体的に理解できたように思います。

約2000年前の古典を読むこともあれば、サーモグラフィーで体表面の温度を観察したり、分子生物学的な研究をしたり、はたまた植物について調べたりすることもある、学問としての幅が広い和漢診療学ですが、所属の先生方も西洋医学の診療科での経験を積んでいる場合が多く、そういった意味でもさまざまなものの見方を勉強させていただきました。今後の病棟実習や研修でも、和漢診療学的な視点を持つことでより深く患者さんを理解し、患者さんの訴えに寄り添えるのではないかと期待しています。

この実習のおかげで、漢方の世界の奥深さを垣間見ることができ、漢方の勉強という意味で最高のスタートが切れました。支えてくださった先生方、事務員さん、本当にありがとうございました。

実習指導スタッフより

矢野先生、1ヵ月間の臨床実習お疲れ様でした。先生は非常に優秀であったと共に、先生の学ぶ姿勢と患者さんに対する誠実な態度はとても素晴らしいものでした。今後も先生の様に和漢診療学に興味を抱いて頂ける方々に実習の場を提供し、和漢診療学を知って頂ける先生が1人でも多く増える事が我々の願いです。


千葉大学医学部附属病院和漢診療科研修登録医体験記


佐世保市立総合病院
付属宇久診療所
岐部 道広 先生
漢字だらけのセンスのない表題になって申し訳ありません。漢方について殆ど基礎知識も臨床経験のない私がなぜ千葉大学の和漢診療科で漢方の研修をさせて頂いたか、そしてその体験を御報告致します。

私は1年半前までは東北のある県立病院の脳外科医でしたが50歳半ばになり技術体力的に脳外科医現役続行は困難と自己裁定し辞職しました。そして医療過疎地で役立ちたいというほんの少しの志とプライマリーケア医になろうという目的で離島診療に携わることにしました。離島には医師が来ないという事情があり長崎県では2年間契約で1年半勤めれば6ヶ月間は長期研修が可能という採用条件でした。この制度を利用しこの度長期研修を計画しました。

ただし50台後半のロートル医が研修をすることは意外と大変でネット上でいろいろ研修できる病院を探しましたが手懸りがなく困っていたところ千葉大学に開業医や勤務医を対象にした研修登録医制度があることが分かりました。この制度は他大学の附属病院にもありましたが他大学は名ばかりで殆ど機能していないようでした。

で、何科を研修するかを熟考し和漢診療科と循環器内科と消化器内科(腹部エコー)を選びました。自分の苦手分野という理由とこの3つの科はプライマリーケア医に重要と考え選びました。少し気後れしながらも和漢診療科の並木先生に電話をし研修希望の旨を伝えたところ即座に了承して頂き1ヶ月半の長期研修が実現しました。臨床研修する前に初心者が前もって読んでおいたほうがいい本は何かお尋ねしたところ藤平健先生の漢方概論と三潴忠道先生の漢方初心者シリーズなどでしたのでとりあえず千葉に行く前に読み込みましたが座学だけではまだ実際の臨床の場での処方風景が全くイメージできませんでした。

さていよいよ研修が始まりました。前半は小児科志望の卒後研修医1名と短期見学の三国志ファンの筑波大学医学部5年生1名が私の研修同期で後半の1ヶ月間は呼吸器内科志望の研修医1名が同期でした。年齢の差を越え初学者同士が共に学ぶのもいいものでした。朝8時から類聚方広義解説の勉強会、午前中いっぱいか1時過ぎまで外来診察の見学、午後は週2回の回診や病棟カンファランスへの参加あるいは六病位など漢方の基礎の講義または臨床問題の解説、夕方は週1回漢方薬の試飲会、夜は週1回有志の集まりながらで原典を読む会などです。外来診察の見学では見学だけでなく脈診、腹診もやらせて頂きました。月曜から金曜まで異なる先生の外来につき八網、六病位、気血水、五臓いろんな物差しを使って処方を決めていく過程も学びました。漢方には古方派、後世派などいくつか流派があると聞きましたが千葉大学はあまり捉われなく自由な雰囲気でした。

そして医局にはエキス剤がすべて揃っており、風邪や胃腸の調子が悪い時にはすぐ服用し身をもって漢方薬の効果を体験できました。西洋医学とは異なる概念から成る漢方を学んだことで私という人間が学ぶ前とかなり変わったような気がします。

昔読んだヘーゲルの哲学書に学ぶということの本質は学ぶ以前とは別の考え方ができる(止揚)ことみたいなことが書いてありましたがまさにそういう研修体験でした。

優しく個性豊かな千葉大学和漢診療科の各先生本当にありがとうございました。
今後、和漢診療を地域診療に役立てていきたいと思います。

研修指導スタッフより

岐部先生、1ヵ月半の研修お疲れ様でした。先生におかれましては専門領域を極められ、現在離島で高い志の元に医療をされております。今回の漢方研修が先生の医療に少しでも助力になれば嬉しく思います。また、今回の漢方研修を通して先生は学問的の面に留まらず、もっと大きな面でも新発見があったようですね。今後とも西洋医学を元に和漢診療学も取り入れ、より良い治療を目指して頂けたら幸いです。


お問い合わせ先
〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1
千葉大学大学院 医学研究院 和漢診療学
E-mail:wakan@office.chiba-u.jp
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