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トピックス2011年

2011年12月4日

第35回 千葉大学大学院医学研究院小児外科学講座例会を開催しました

平成23年12月3日(土)、千葉大学医学部附属病院内にて第35回 千葉大学大学院医学研究院小児外科学講座例会が開催されました。

RIMG2186今年は特別講演のほか30題の演題が発表され、朝から夕方まで白熱したディスカッションが繰り広げられました。大学病院や同門施設からは症例の報告や新たな手技が発表され、熱心な質疑応答が繰り返されました。大学のメンバーや大学院生の研究発表では、胆道閉鎖症、小児がん、発生、免疫などそれぞれの研究の進捗状況が発表されました。このほか看護師のケーススタディ、さらには形成外科・泌尿器科の先生からもご発表いただき、最後は恒例の院内学級の先生からもご報告があり、話題は多岐にわたりました。若手の先生たちは、この日の発表のために忙しい診療の合間を縫って何ヶ月も前から準備し、校正に校正を重ねて晴れて発表の日を迎えました。猛烈な忙しさでたいへんだったことでしょう。でもきっとこれらの内容の濃い発表は多くの医療者の診療の糧となり、やがてこれらの病気でお困りのお子さんたちに必ず役だつ日がくることでしょう。

この日のハイライトの一つは千葉大学附属病院総合医療教育センター長の田邊政裕先生による特別講演「千葉大学医学部のアイデンティティ~ゐのはな同窓会135執念記念事業-千葉医学の伝統言語化プロジェクト-」でした。田邊先生は1999年まで小児外科の准教授をつとめられた私たちの大先輩です。

ご講演のはじめに初代千葉医科大学学長三輪徳寛先生の「獅胆鷹目 行以女手」(したんようもく おこなうにじょしゅをもってす)というお言葉を紹介していただきました。外科医のあり方をあらわす言葉として千葉大学の外科の伝統として受け継がれています。獅子のように細心にして大胆且つ動じない胆力(勇)、鷹のように諸事を見通し、判断、解決できる眼力(知)、臓器をやわらかく扱い、精緻に行える手技、がその意味するところです。まさに小児外科を実践する上で常に求められる要素です。さらに、食道癌の手術で世界的にその名を知られる中山恒明先生の"Beginning is half the success、 not giving up on the way is complete success"というお言葉。まずはじめること、はじめたら止めないこと。止めなければいつかは成し遂げられる。とても大切なメッセージを含んでいます。

千葉大学医学部を支えてこられたこれらの先輩方のお言葉を、可視化して千葉大学医学部のアイデンティティとしよう、というのがお話しの主旨でした。あらたに本年から千葉大学医学部のロゴマーク、そしてbegin。continueのフレーズが正式に採用されたそうです。アイデンティティが明瞭になることで私たちのモチベーションも高まります。中山先生の強力なモチベーションの原点となったのは、やはり患者さんが元気になることだったといいます。手術を要するお子さんたちのために高いレベルのパフォーマンスを提供し続けていきたいとあらためて感じました。

2011年11月28日

第53回日本小児血液・がん学会に参加しました

第53回 日本小児血液・がん学会参加記 (平成5年卒 菱木知郎)

群馬県前橋市のベイシア分化センター・前橋商工会議所で2011年11月25日~27日の間、第53回日本小児血液・がん学会学術集会/第9回日本小児がん看護学会/第16回財団法人がんのこどもを守る会公開シンポジウムが開催されました。日本小児血液・がん学会は、日本小児血液学会と日本小児がん学会が統合されたことを受け、数年の合同開催を経て今年はじめて統一の学術集会となりました。千葉大学小児外科からは口演2題、ポスター2題を発表させていただきました。

一日目の始まりは小児悪性固形腫瘍の腫瘍生検についてのワークショップが開催され、私も当教室における生検の経験を供覧し、パネリストの一人としてディスカッションに加わりました。小児悪性固形腫瘍の多くは画像診断や腫瘍マーカーで診断そのものは可能ですが、病理組織型や腫瘍の生物学的マーカーが治療方針を大きく左右することが多く、このため腫瘍組織を安全に十分量採取することが求められます。小児腫瘍医、病理医からの意見はたいへん貴重でした。

午後は神経芽腫マススクリーニングのその後と題したワークショップが開かれました。マススクリーニングをどの時期に行えば神経芽腫による死亡率の低下につながるのだろうか?という問いに、熱いディスカッションが交わされました。夕方はポスターセッションの時間です。光永先生が神経芽腫におけるIL-6発現とその意義について発表し、活発な討議がなされました。

セッション終了後は会員懇親会。床が抜けるのではないかというくらい、大勢の会員が参加し、群馬の味覚に舌鼓を打ちました。

2日目土曜日は午前七時のチャリティーマラソンで始まりました。例年10名ほどの参加なのだそうですが、今年はなぜか30名前後も集まりました。千葉大学小児外科チームからは私と光永先生、小松先生の3人で参加しました。2キロほどの美しい川沿いの行程でしたが、もと陸上部の光永先生に開始1分で置いていかれ、それでも懸命に走りぬきました。小松先生も完走しました。この写真は完走後に撮ったショットです。来年以降も参加したいと思います。

2日目の午前中は教育セッションに参加しました。千葉県がんセンターの上條先生と京都府立医大の田尻先生による神経芽腫の教育セッションはとてもわかりやすく、知識を整理するのにたいへん有用でした。つづいて行われた血管腫・血管奇形の教育セッションでは、大阪大学放射線科の大須賀先生と札幌斗南病院形成外科の佐々木先生の2名のエキスパートが血管腫・血管奇形の定義やその治療についてわかりやすく説明してくださいました。この二つのセッションは非常に勉強になりました。午後には私のもう一つの演題、小児悪性固形腫瘍における肺転移巣治療についての演題を発表させていただきました。夜はイブニングセミナー「放射線被爆と小児がん」と称して小児への放射線の影響と今後の対策についてレクチャーがありました。福島第一原発の事故を境に私たち日本人には、放射線被爆が否応なしに身近な問題となってしまいました。私たち小児医療従事者、小児がん治療医は今後、被爆に関連した疾病の発生に備える必要があります。

最終日の3日目は神経芽腫の基礎研究のセッションを聞きました。新たな治療のブレークスルーを求めて、精鋭の先生たちが行っている最新研究の発表をきいて勉強させていただきました。午後は当科の小松先生が晩期合併症の発表をおこないました。昨今小児がんの治療成績は40年前と比して飛躍的に進歩し、長期生存が得られる様になりましたが、その治療はお子さんにさまざまな合併症を残しています。こうしたことを予測し、早期に解決策を見出してあげることも私たちの使命だと感じています。

このように、3日間はあっという間に過ぎてしまいました。もちろん、昼間だけではなく、夜もおおいにたくさんの施設の先生方と親交をふかめ、お互いに意見交換を十分にできたと思います。とても充実した会でした。このようなすばらしい会を開いていただいた会長の林泰秀先生をはじめ、オーガナイズしてくださったみなさまに感謝の意を表したいと思います。

2011年11月7日

第27回日本小児外科学会秋季シンポジウム Pediatric Surgery Joint Meeting 2011に参加しました

第27回日本小児外科学会秋季シンポジウム Pediatric Surgery Joint Meeting 2011 参加記(平成11年卒 光永哲也)

2011年10月27日~29日、大阪国際交流センターで開催された第27回日本小児外科学会秋季シンポジウムとPediatric Surgery Joint Meeting 2011に参加しました。教室からは、光永が腹臥位胸腔鏡下食道亜全摘術について、齋藤が肝外門脈閉塞症に対する手術療法について、中田が胎児診断されたのう胞性肺疾患の手術時期について、小松が経皮経肝ルートでの中心静脈カテーテル留置について、照井が悪性腫瘍に対する化学療法時の下痢に対する半夏瀉心湯という漢方薬の効果についてをそれぞれ報告しました。この学会はすべての発表が口演であるため、ステージ上の発表者と会場の全国から集まった小児外科医との間で熱い議論が戦わされるのが特徴です。手術手技では、胆道閉鎖症の葛西手術時に肝門部結合組織をどこまで切離するべきかについて論戦となり、古くから議論されている問題ですがいまだに新しい問題であることを再認識しました。我々もこれらの議論の中で普段気づかない新しい視点からの意見を頂戴し、教室として今後の診療にfeed backしていけるものと考えています。

日常診療の合間でのタイトスケジュールでの参加でしたが、学会終了後は他施設の先生方とアルコールを交えての意見交換?を行い、くいだおれの夜の気分もちょっと味わってきました。個人的には生まれて初めて道頓堀を渡り、人生の経験値が増えた!!ような気がしました。

2011年11月4日

43rd SIOP congress に参加しました

43rd Congress of the International Society of Pediatric Oncology参加記(平成5年卒 菱木知郎)

2011年10月26日~30日 ニュージーランドのオークランドで第43回国際小児がん学会が開催されました。今回は肝芽腫の予後因子について、JPLT(日本小児肝癌スタディグループ)を代表して発表する機会をいただきました。

肝芽腫は日本では年間40例前後の発症しかないきわめて稀な腫瘍です。稀少さゆえに医学的なエビデンスを得ることが難しく、できるだけ多くの施設で共通の治療を行い、その治療成績を向上させる目的で1991年にJPLTが発足しました。千葉大学はJPLTの設立以来、常にコアメンバーとして参加してまいりました。1998年には事務局が千葉大学に移行し、2006年までの間JPLTの活動を牽引しました。当時からこの稀少な腫瘍の新たな治療戦略を開発するために、ヨーロッパ、アメリカのグループ間での共同研究の機運がありましたが、最近ヨーロッパ・アメリカ・日本の肝芽腫患者の臨床データを集積して国際共同研究のための基盤づくりが始まりました。今回は、ヨーロッパのSIOPELから新たなリスク分類が提唱されたため、それを日本の患者さんのデータに照らし合わせた結果を発表しました。その結果はヨーロッパのものと若干ことなるものであり、質疑応答が活発に行われました。

他の腫瘍では、超高リスク神経芽腫に対する新たな治療戦略に関する討議が数多くみられました。まだ実験段階のものから、臨床試験へ入っているものまで多岐にわたります。非常に難しい腫瘍ですが、なんとか日本の各施設と一致団結してあらたな風穴をあけていきたいと感じました。

2011年10月19日

医局旅行2011

今年の医局旅行は箱根。総勢20名強で家族連れのメンバーも。

貸切バスでわいわいがやがや、楽しい旅になりました。温泉でリラックスしておいしいご飯を食べて、再充電できました。