千葉大学大学院医学研究院
小児外科学
千葉大学病院
小児外科
2016年11月7日
2016年10月27-29日にかけてpediatric surgery Joint Meeting、秋季シンポジウムに参加してきました。当科からは
齋藤が秋季シンポジウムで「当科における transition 医療の現況と課題」
照井が日本小児外科代謝研究会で「Oral aversion(経口摂取嫌悪)に対する急速経管栄養減量プログラムによる 経管栄養離脱の試み」、「先天性横隔膜ヘルニアの周術期栄養と成長との関連について: 探索的データ解析」
中田が直腸肛門奇形研究会で「当科における男児尿道瘻に対する Stephens, PSARP 術式の比較検討」
小原が日本小児呼吸器外科研究会で「複数個ある分画肺のうち一部が捻転した肺葉外肺分画症の小児例」
柴田が日本小児内視鏡外科・手術手技研究会で「大動脈縮窄症術後狭窄に対し肺分画症の輸入動脈を使用して血行再建を行った一例」
を発表いたしました。
秋季シンポジウムではトランジション医療をテーマに議論しました。小児外科専門医療が発足して30-40年経過し、小児外科疾患を治療し、成人に到達する患者様が増え、特に通院をまだ必要とする患者様をどう診療していくかは重要な課題です。どの施設も一筋縄ではいかないことを認識しましたし、小児外科医が中心になって少しずつ前進しなければいけない課題であることも感じました。
2016年7月28日
第52回日本周産期・新生児医学会学術集会が富山で行われました。当科からは照井先生が発表を行っております。2016年7月16~18日、富山で行われた第52回日本周産期・新生児医学会学術集会に参加してきました。ワークショップ「先天性横隔膜ヘルニアの胎児診断から再生医療まで」において、「先天性横隔膜ヘルニアにおける臨床研究のあり方」という身に余りある題目を頂き、新生児横隔膜ヘルニア研究グループを代表して発表を行いました。先天性横隔膜ヘルニアの治療成績を更に向上させていくためには臨床研究によるエビデンスの刷新が不可欠です。しかし希少疾患である上に重症度の幅が大きいため、臨床研究を遂行するには大変な困難が伴います。この壁を乗り越えるための現実的な方法論として、多施設共同研究・症例登録・統計学的手法によるベースライン調整・重症度分類などについて、思いのたけを語ってまいりました。発表内容が夢物語とならないよう邁進していきたいです。
2016年7月11日
2016年6月28日から30日まで京都で第25回日本小児泌尿器科学会総会が行われました。
発表はありませんでしたが、中田が参加してきました。
小児泌尿器は小児外科医にとっても泌尿器科医にとっても専門性の高い領域です.発生頻度もかなり少ない疾患も多く、実績の出しにくい領域であると感じていますが、それでも研究の発表があり,臨床の発表があり、小児泌尿器科医のpassionを感じできました。
数年前に偶然、小児外科学会総会で出会った大学時代の友達に今年も会いました。久松英治先生は筑波大学のバレーボール部で同学年、1年に1回は一緒に合宿をしていた他大学でもかなり近い存在でした.現在はあいち小児保健医療総合センターの泌尿器科に勤務しています。これまたなんと偶然か、あいち小児保健医療総合センターの泌尿器科部長は当科出身の吉野薫先生が泌尿器科部長をしている病院で、学会会場でも吉野先生が「なんで中田君のこと知ってるの?」「実は・・・」といった具合でした。狭い領域に仲間がいるというのは心強いです。
2016年7月10日
2016年6月26日、千葉県こども病院小児外科東本恭幸先生の千葉県立保険医療大学健康科学部栄養学科教授就任祝賀会が行われました。
長年千葉県こども病院の小児外科で勤めていましたが、今回、教員という仕事につくことを決断するのは東本先生だからこそできたことと思います。私がこども病院に赴任していたときも医師として考えるべきことや決断するべきことなど色々なことを教わり、医師として成長したことを実感しました。そして謝辞を述べている先生方の話を聞いて、その恩恵にあずかった人は他にも多くいたんだなと思いました。小児外科医として年数を重ねると今まで先輩だった小児外科医との別れが来るのは当然ですが、そのたびに小児外科をもり立てなければという思いに駆られました。
(中田光政)
2016年6月21日
2016年6月15日から18日までイタリアのミラノでAnnual Congress of the European Paediatric Surgeons’ Associationが開催され、当科の照井先生が参加してきました。
ミラノで開催された17th Annual Congress of the European Paediatric Surgeons’ Association(EUPSA 2016)に参加してきました。欧州における標準治療を確認すると共に、最新の情報を貪欲にかき集めてきました。私自身は先天性横隔膜ヘルニアの多施設研究の結果を発表してきました(Development of risk score for congenital diaphragmatic hernia)。会場はミラノ大学で、歴史ある建物で趣がありました。開会式でEUPSA会長のProf. Ureが、大学の建物はコロンブスがアメリカを発見した時より古くから存在していると話され、アメリカに対する密かな対抗心を感じました。会期中、イタリア対スウェーデンのサッカーの試合が行われました(UEFA EURO 2016)。講堂のスクリーンで中継が行われ、数百人の熱狂したミラノ大学の学生さん達を目の当たりにしました。結果は最後の最後の劇的なゴールでイタリアが勝ち、地響きのような歓声が大学中に響き渡りました。毎日が刺激的で、例年のごとく実りの多い学会でした。医局の先生方、留守の間ありがとうございました。
(照井慶太)
2016年6月5日
2016年5月24日から26日に福岡で開催された第53回日本小児外科学会学術集会/第24回アジア小児外科学会に参加いたしました。今年は国際学会との合同開催の他、世界小児外科学会連合理事会、国際小児内視鏡外科学会も同時開催され、大きな盛り上がりを見せた学会となりました。
当科からは以下の面々が発表を行いました。
【口演】
【一般演題】 基礎研究
メタゲノミクスとメタボロミクスを用いたフラクトオリゴ糖の腸管保護作用機序の解明(柴田涼平)
【一般演題】 肝胆膵
当科における胆道閉鎖症(BA)の再手術の意義と適応について(斎藤武)
【一般演題】 腫瘍
神経芽腫細胞に対するNKT細胞によるADCC増強効果の検討(三瀬直子)
【ポスターセッション】
基礎研究
Wnt5aコンディショナルノックアウトマウスにおける直腸肛門奇形モデルの検証と肛門括約筋の発達(中田光政)
【AAPSPoster Room】
Can Postnatal Information Predict the Outcome in Patients with Congenital Diaphragmatic Hernia?: Development of a Risk Stratification with a Series of 348 Patients (Keita Terui)
今回の学会では小児外科に関連する再生医療の最先端の内容が議論されたほか、臨床的な発表も充実しておりました。会長講演では田口智章会長が基礎研究の重要性を話され、理事長講演では黒田達夫理事長が近々の話題である新専門医制度について発表をいただきました。
新専門医制度が発足すると各学会のみで認定するような資格は影が薄くなるような印象を持ちますが、発足した後も小児外科の頂にある小児外科指導医(私はまだ取得しておりませんが)が尊重されるようであってほしいと願っています。
(中田光政)
今回、2015年度優秀論文賞に選ばれました柴田先生に寄稿をいただきました。
第53回日本小児外科学術集会に参加しました。今回の学会は第24回アジア小児外科学会との合同開催であり、会場には海外からの参加者も多く見受けられ、いつもと違う新鮮な雰囲気が漂っていました。
一番面白かったのは3日目の胆道閉鎖症の国際シンポジウムでした。日本から3施設、香港から1施設のエキスパートが自施設の手術のこだわりをプレゼンし、会場全体で議論するというものでした。日本の治療成績は諸外国と比べて良く、他国の小児外科医からの率直な疑問が飛び、それをシンポジストが打ち返し、会場全体が白熱していくのに興奮を覚えました。ただ質問の内容も尤もなことも多く、アジアに多い胆道閉鎖症の情報をもっと日本・アジアから発信することが大事なのだなと思いました。
ところで幸いなことに、昨年、小児外科学会雑誌に投稿した「腫瘍破裂で診断に至った肝未分化肉腫の一例」が2015年度の優秀論文賞に選ばれました。投稿までにとても苦労した論文でしたのでとても嬉しかったです。粘り強く指導してくださった先輩方、また的確で心のこもったコメントを下さった査読者に心から感謝致します。写真は授賞式での一コマです。
福岡グルメはどれも素晴らしく、心も胃袋も満たされて、明日からの診療・研究のモチベーションが上がりました。
(柴田涼平)