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Vol. 17 県警からの文書

この提言コーナーのVol. 12~14で、昨年度末の値下げに関わる件を書きましたが、警察庁からの値下げ攻勢は今も続いています。来年度の経費について警察庁から千葉県警にかなりの指導があったようで、1月に千葉県警から「司法解剖における各種検査について」(別紙①)という文書を受け取りました。解剖前に行う画像検査に関しては経費を支出しない、組織学的検査については40試料に抑制したい、との内容です。これに対し、私たちは大学院医学研究院長との連名で「回答及び質問」(別紙②)を提出しました。なお、文書③は1年近く前に千葉県警に宛てたもので、私たちの立場を述べたものです。こちらもご参照ください。

業務を委託する場合、人件費込みで費用を支払うことが社会的な常識といえます。私たちの算定によれば解剖一体当たり人件費込みで40万円以上の経費がかかるので、その分を委託者が支払ってしかるべきと考えています。昨年からスタートした病理学教室などで実施している診療関連死関連の解剖については1体当たり50万に設定されていることを考慮しても、その金額は妥当と思われますが、一方で、新法解剖の費用を一方的に15万円に設定するなど警察庁の主張はあまりに常識はずれといえます。警察庁の主張をうのみにしては、大学の研究・教育業務にあてるべき費用を大学業務とは本来無関係な事業に流用することを強要されることとなり、学問の発展の妨げになる可能性もあります。

警察庁の最近の動向からはからはわが国の死因究明制度をどういう方向にもっていくのか、といった大局観がまったく見えず大いに問題があると考えています。

平成28年2月8日 岩瀬博太郎