2018.12.01.
千葉大学附属病院小児科に臨床法医外来を開設
法医学教室と千葉大学小児科では被虐待児診察において以前より協力していましたが、2018年7月、正式に千葉大学医学部附属病院小児科に臨床法医外来を開設いたしました。
千葉大学附属法医学教育研究センターでは全国に先駆けて2014年より臨床法医学部門を立ち上げています。臨床法医学部門では、外傷等の客観的な証拠保全と意見書の作成を目的とし、警察、検察、児童相談所から依頼を受けています。一時保護中の児童の身体的虐待やネグレクトの評価を目的として、診察や写真による評価、病院で撮影されたCTやX線などの画像評価の依頼を受け、意見書を作成しています。
法医学教室では損傷の成因の考察を専門とする法医学者による外表評価や、法医画像診断の経験が豊富な放射線専門医による画像読影を行って、詳細な意見書の作成を行っておりました。しかし、法医学教室は医療機関ではないため、損傷の評価に必要な場合でも通常診療で行われる医学的検査の実施は困難です。他の医療機関への受診について児童相談所を経由してお願いしていました。
千葉大学医学部附属病院小児科に臨床法医外来を開設し、診療を行うことで、病院で行える検査(血液を用いた貧血や出血傾向、栄養状態の評価、医用画像を用いた頭蓋内の新旧血腫や陳旧性骨折、歯科レントゲンなどの画像評価など)、専門他科(眼科や整形外科など)へのコンサルテーション、必要に応じた医学的フォローアップ、他機関紹介などが可能になります。また小児科と法医学教室が連携することによって各々単体の診療ではカバーできない薬毒物評価(意識障害などの鑑別における処方薬物及び危険ドラッグなど違法薬物の分析)や歯科ネグレクト等の法歯学的評価も可能となります。
まだまだ痛ましい児童虐待対応は続くことが予想されますが、その解決の一助になることを目指し、活動していきます。