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千葉県子どもの死因究明等の推進に関する研究会(通称CCDR研究会)

【チャイルド・デス・レビューについて】

#チャイルド・デス・レビューとは
チャイルドデスレビュー(Child Death Review; CDR)とは,事故や虐待を含むすべての子どもの死亡事例について,死亡時の状況や死亡者周辺の環境を調査するとともに,医学的検査を行うなどして幅広く検証し,その所見を集積し分析することによって死亡の再発の予防策について有効な勧告等を行い,子どもの健康や社会の安全・福祉に寄与することを目的とする制度です.

 

#チャイルド・デス・レビューの起源
CDRは1978年にロサンゼルスで小児科医が中心となって,当初は虐待の見逃し防止を目的として開始されました.その後米国の各地やカナダ,オーストラリア,英国等で法制度化が進み,多職種連携の下実施されています.

 

#ちなみに英米では…
CDRが発祥し,普及している英米諸国では,解剖を含む法医学的調査は警察による捜査ではなく,独立した専門機関である Coroner事務所等によりなされています.Coronerは死因の調査を専門・目的とした機関であり,犯罪捜査のための機関ではありません.また,死因調査から得られる情報は厳密に秘匿されるべきものというより社会に公開されうるものとされてきた歴史的経緯もあるようです*.このような社会的な背景もあり,CDRなど公共の利益を目的とした情報共有が比較的容易に可能になっていると考えられます.

*有色人種が白人警察官に射殺された,などの状況を想像すると,公益のために死因の調査情報が社会に公表されうることの必要性が想像しやすいかもしれません(極端な例に思われるかもしれませんが).米国の死亡診断書はオンラインで取り寄せ可能になっています.

 

#なお日本では…
日本では死因不詳のご遺体は警察が取り扱い,主に事件性の有無(事件性がある可能性の有無)によって解剖の要否を判断し,事件性がある・否定できない場合が法医学教室で法医解剖(司法解剖,死因身元調査法解剖)が行われます.従って,死因の究明そのものを目的とする,英米におけるCoronerやMedical Examinerのような制度はありません*.このような背景も関係し,日本の解剖率は先進諸外国と比較して低い状態です.

ちなみに,東京23区内や大阪など,一部の大都市では警察が解剖不要と判断したご遺体を監察医が診て,必要に応じて解剖を実施する制度があり,監察医制度と呼ばれています.米国の監察医と同様にMedical examinerと表記されますが,扱うご遺体の種類や捜査能力の有無などから全く別の制度であると言えます.

* Coronerは検死官と訳されることが多いですが,英国発祥の死因を決定する専門職を指す単語です.国や地域によりますが,法律家や警察署長などの非医療従事者がその職にあたることが多いようです.しばしば混同されますが日本における検視官とは異なり,日本においては変死体を取り扱う警察官のことを検視官と呼称します.米国ではCoroner制度をとる州と Medical Examiner制度をとる州があります.Medical Examinerは米国の一部の州でCoronerに代わり設置された比較的新しい制度で,事務所には独自の調査員(Investigator)を持ち,解剖も行う,いわゆる監察医のことを指します.

 

#日本でCDRを実施するには
全体の解剖率が低いことから,小児事例についても死因の種類を判断するための調査(解剖,薬物検査等の医学的検査と周囲の状況の調査)が不十分であることが多い可能性が強く疑われます.死因診断は病院が持つ臨床情報のみでは困難なことも多く(CDRの対象となるような事例,例えば事故や中毒などを含む外因死についてはなおさらです),正確な死因診断を行えていないとCDRを実施するのに十分な情報が得られない懸念になります.

また,法医解剖の大半を占める司法解剖は刑事捜査の一環として実施されます.Coroner等による解剖と異なり,死因調査が主な目的ではないことから,特に犯罪と関係の薄いと思われる場合の周囲の状況調査が不十分である懸念があります.これに加えて,司法解剖に関する情報は刑事記録の扱いとなるため,刑事訴訟法の規定により原則的に公判まで開示されず,医療機関はもとより児童相談所や市町村などの関係機関と情報が分断されている状況もあります.さらに,多くの事例が不起訴になる等して裁判に至らず,開示されないままであることも日本でCDRを実施する際の懸念の一つとして挙げられます.

これらの死因調査に関する問題を認識・クリアし,精度の高い適切な死亡調査を行い,これに基づいてさらに多職種・多機関にわたってReviewを行うことが,日本でCDRを行うにあたっての出発点となるかと思います.

 

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